検証の精度を高めて事業を拡大する方法|検証なくして事業の拡大なし

検証の精度を高めて事業を拡大する方法

 

事業を拡大するうえで、計画や実行と共に重要になるのが検証の精度だ。

 

なぜなら、検証の精度が低ければ、事業拡大の計画と実行の誤りを、正すことができないからだ。

 

この記事では、検証の精度を高めて事業を拡大する方法について、詳しく解説する。

 

 

検証なくして事業の拡大なし

 

事業活動の検証なくして、事業拡大はあり得ない。

 

なぜなら、未来を100%当てることができない以上、全ての決断、強いては、事業活動には想定外の失敗リスクがついて回るからだ。

 

当たり前だが、事業拡大の活動結果を一切検証せず、計画や実行の成否を正すことなく突き進むと、会社はいとも簡単に衰退する。

 

事業拡大の活動結果と検証作業はセットで運用することが大切で、検証精度が高まるほど、事業拡大の方法なり戦略の精度が上がる。

 

また、確かな検証作業が定着すると、事業拡大の活動が絶えず最善化されるので、自ずと事業拡大のスピードが加速する。

 

 

事業拡大の活動の検証精度を高めるポイント

 

事業拡大の成功と失敗は、検証の精度が握っているといっても過言ではないが、事業拡大の活動の検証精度を上げるには、最低限、次の3つのポイントを抑える必要がある。

 

ひとつは「数字を使うこと」、ふたつ目は「利益を見ること」、三つ目は「分析手法を知ること」だ。それぞれのポイントについて、さらに詳しく解説する。

 

数字を使う

数字ほど、状況を正確かつ客観的に捉える道具はない。例えば、今日の売上がいくらで、なぜその金額なのか、どうすればその売上を上げることが出来るのか、という状況分析と改善提案はすべて数字で説明することができる。そして、数字の積み重ねが多いほど、検証の精度が増し、事業拡大の方向性が確かなものになる。

 

利益を見る

利益なくして、事業は成り立たない。従って、事業拡大の活動結果は常に利益を注視することが大切になる。直ちに利益が出ない場合は、何年後に利益が出るのか、或いは、何年後に利益が回収できるのか、という先行きの利益も注視することが大切で、会社の衰退は、大概は利益を見落とすところから始まる。

 

分析手法を知る

数字や利益といったデータの羅列から確かな検証結果を導き出すには、管理会計などの分析手法を活用しなければならない。なぜなら、事業拡大の活動結果である数字や利益の背景に何があるのか、その背景から予測できる数字や利益はどのようなものなのかを分析しなければ、検証精度が上がらないからだ。分析手法の中でも、会社の数字を有益な情報に変換、管理、運用し、会社の経営分析力を高める会計手法である管理会計は必須ツールといって過言ではない。

 

 

事業拡大の活動の検証精度を高める管理会計

 

管理会計とは、会社の数字を有益な情報に変換、管理、運用し、会社の経営分析力を高める会計手法である。

 

管理会計は、運用次第で事業拡大の成功と失敗が決まるといってよいほど、検証精度に大きな影響を及ぼす。事業拡大に役立つ管理会計の分析手法は様々あるが、実践的な手法をいくつか紹介する。

 

適正な利益率と目標水準

適正な利益率と目標水準は「売上総利益高営業利益率」でコントロールするのが良い。売上総利益高営業利益率は、売上総利益に占める営業利益の構成比率のことで全業種共通で使える。計算式は「(営業利益÷売上総利益)×100」で、標準水準は10%、優良水準は20%になる。適正な利益率をキープしつつ、売上拡大を図ることが、安定的な事業拡大の秘訣になる。

 

適正な経費率と目標水準

適正な経費率と目標水準は「売上総利益高経費率」でコントロールするのが良い。売上総利益高経費率は、売上総利益に占める経費(販管費)の構成比率のことで全業種共通で使える。計算式は「(営業利益÷経費)×100」で、標準水準は90%、優良水準は80%になる。適正な経費率をキープしつつ、経費削減を図ることが、安定的な事業拡大の秘訣になる。

 

ABC分析

ABC分析とは、20:80の法則(パレートの法則)を用いた分析手法だ。経営資源の効率化に欠かせない実践的分析手法で、事業拡大の活動を最適化(最善化)する効果がある。詳しくは「中小企業の売上ABC分析方法」の記事で解説しているので参考にしてほしい。

 

投資回収基準

中小企業の投資回収期間の適正水準は2年以内、できれば1年以内がベストである。投資回収期間の計算方法は、投資総額を投資対象事業の年間予測収益で割ることで計算できる。例えば、投資総額が100万円で年間予測収益が50万円であれば、100万円÷50万円=2年が、投資回収期間ということになる。

 

事業撤退基準

中小企業の事業撤退は「貢献利益が赤字で黒字化の見込みがない」段階をひとつの基準にすると良い。貢献利益とは、会社全体への貢献度を示す利益のことで、対象事業の売上総利益から直接経費を引くことで計算できる。貢献利益が多ければ貢献度が高く、貢献利益が赤字(マイナス)であれば、会社の足を引っ張っている事業ということになる。「見切千両」という言葉がある通り、事業撤退は経営者の専権事項として躊躇なく決断することが大切だ。

 

伊藤のワンポイント
 

事業拡大において検証ほど重要な作業はありません。検証なくして事業拡大の成功はあり得ないといっても過言ではなく、検証精度の良し悪しで、事業の行く末が決まります。検証精度を上げるために最低限必要なスキルは管理会計です。管理会計を導入・運用するだけで、事業拡大の成功率は飛躍的に高まります。