事業は社員の働きの連続で拡大するので、社員の仕事の質を高めれば自ずと事業も拡大する。
社員の仕事の質を高めるには、社員の思考力を高めることが欠かせない。なぜなら、社員の思考力が高まれば、指示待ち集団から、自らが考えて働く集団に変貌するからだ。
当然ながら、社員の自主性と仕事の質が高まれば、事業拡大のスピードは一段と加速する。
超速で事業を拡大するために社員の思考力を高める最も優れた方法は、情報を共有することである。
例えば、経営理念を共有すると組織の行動原理が明快になるので、生産性が飛躍的に上がり事業拡大のスピードが加速する。
経営目標を共有すると、組織の力が1点に集中するので、組織の生産性が上がり、事業拡大のスピードが加速する。
会社の数字を共有すると、数字への責任感が高まりムダとムラがなくなるので、利益が拡大し、事業拡大のスピードが加速する。
ミスやクレームを共有すると、同じ過ちがなくなり、顧客満足度が高まるので、売上増加と共に事業拡大のスピードが加速する。
このように、「経営理念・経営目標・会社の数字・ミスやクレーム」など等、事業拡大に役立つ情報を共有するほど、社員の思考力が高まり、事業拡大のスピードが加速する。
業績が悪化する中小企業ほど、経営者や一部の社員だけが情報を独占しているケースが多いが、情報は共有してこそ初めて事業拡大に役立つ。
事業拡大を支える思考力を上げる方法は、前章で解説した「経営理念・経営目標・会社の数字・ミスやクレーム」など等の情報を共有することが効果的だが、このほかにもお薦めの方法がある。
それは、情報の収集方法と社員の教育方法だ。例えば、情報の収集方法に落ち度があれば、優れた情報を共有することが出来ないため、社員の思考力が一向に高まらず、事業拡大のスピードが鈍化する。
或いは、社員の思考力を高めるための教育方法に落ち度があれば、共有した情報が活かされず、事業拡大のスピードが鈍化する。
社員の思考力を高め、事業拡大のスピードを加速するには、正しい「情報の収集方法」と「社員の教育方法」のポイントを抑える必要がある。それぞれのポイントについて詳しく解説する。
優れた情報は現場にある。そして、現場の情報を吸い上げるには、経営者自らが現場スタッフに語りかけ、自らの力で情報収集する努力が欠かせない。現場からの報告を待っているようでは、良質な情報は決して集まらない。例えば、ミスやクレームといったマイナス情報などは、まずもって上がってこない。情報収集の精度は経営者の姿勢ひとつで決まる。つまり、事業拡大のスピードは経営者の姿勢ひとつで決まるのだ。
社員教育は自社の情報教育を最優先すると、業績拡大を後押しする思考力が短期間で身につく。例えば、週一ミーティングで「経営理念の具現化レベル」、「会社の数字の理解度」、「顧客や現場の声の活用度」、「ミスやクレームの実情と対策の共有度」といった4つのテーマを週替わりで協議させるだけで、十分な社員教育の効果を得ることができる。わずか4つのテーマであっても、協議が深まるほど、会社の業績や置かれている立場、やるべき事や目指すべきことの理解が深まるので、社員の思考力と共に事業拡大のスピードが上がる。
事業は人なりと云いますが、本当にその通りで、経営者と社員の力量次第で事業規模が決まります。経営者が能力研鑚に努めることは絶対条件になりますが、やはり、社員の思考力を高める努力も不可欠です。社員教育ほど骨の折れる仕事はありませんが、できる限り、情報の共有と収集、そして、社員教育を推進して下さい。