経営課題の簡単な見つけ方|課題は経営環境の変化と共に絶えず生まれる

経営課題の簡単な見つけ方|課題は経営環境の変化と共に絶えず生まれる

 

経営課題は経営環境の変化と共に絶えず生まれる。

 

従って、経営環境の変化に目を光らせていれば、簡単に課題を見つけることができる。

 

この記事では、経営環境の変化から経営課題を簡単に見つける方法について、詳しく解説する。

 

 

経営課題の見つけ方「数字編」

 

神は細部に宿ると云うが、会社の業績も同じで、些細な変化は、すべて会社の数字に表れる。

 

従って、日頃から数字の変化に目を光らせていれば、経営課題を簡単に見つけることができる。特に、売上・利益・現金の変化は経営課題と直結するので、重要視すべき数字になる。

 

売上キープは言うまでもないが、特に重要視すべき数字は「経常利益」と「現金残高」で、経常利益は売上総利益(粗利)の2割以上、現金残高は月商の2倍以上(年商2億円以下は4倍以上)が目標になる。

 

この目標との乖離が大きいほど経営課題が大きいと言え、この目標を達成するための課題解決策(経営改善プラン)、あるいは、目標を達成するためにチャレンジすべき成長投資がそのまま今向き合うべき経営課題になる。

 

こうした経営課題を一つひとつクリアすれば確実に目標達成に近づき、後は、目標を引き上げながら絶えず課題を見つける姿勢を定着させることが大切になる。

 

数字で見つかる経営課題や数字で解決できる経営課題はとても多いので、日頃から数字をしっかり活用することをお薦めする。

 

 

経営課題の見つけ方「顧客・市場・競合編」

 

経営課題は「顧客・市場・競合」の変化に目を向けることで簡単に見つけることができる。

 

顧客の変化

顧客は時の経過と共に変化する。顧客の変化に無頓着な会社は大事な経営課題を見落とし、間違いなく会社が衰退する。顧客の変化(成長率・要望・思考等)と現状を対比すれば、解決すべき経営課題が簡単に見つかる

 

市場の変化

市場は絶えず変化する。将来の市場の変化を予測して経営課題を発掘し、課題解消の準備と実践を繰り返すことでしか、市場の変化に対応することはできない。特に、有力な販売チャネル(市場への流通経路)や購買の主戦場(メイン市場)等は絶えず変化するので注意が必要だ。市場の変化に追従する姿勢は、解決すべき経営課題を鮮明に照らすので、自ずと会社発展のチャンスに恵まれる。

 

競合の変化

競争の優位性を保つための付加価値は、競合ライバル会社に追い付かれた瞬間に陳腐化する。つまり、失敗と成功を分かつ経営課題はライバルの変化を見ていれば簡単に見つけることができる。また、ベンチャー等の新興企業はどこからでも勝負に挑んでくるので、俯瞰的かつ客観的に競合の変化に目を光らせることが、経営課題を上手に見つける秘訣になる。

 

 

経営課題の見つけ方「経済・環境・政治編」

 

経営課題は「経済・市場・政治」の変化に目を向けることで簡単に見つけることができる。

 

経済の変化

経済の変化を如実に表すのは、景気の良し悪しである。例えば、景気悪化が予測されていながら、十分な利益水準や現金水準を確保しなければ、景気の悪化と共に衰退の一途を辿る。経済の変化に目を光らせていれば、本質的な経営課題を見つけ易くなるので、自然と成長のチャンスに恵まれる。

 

環境の変化

顧客や市場は、環境破壊や大気汚染などの環境変化に敏感に反応する。環境の変化を無視した会社経営に成功はない。これからは、環境の変化と共に生まれる環境課題に向き合う姿勢が企業の盛衰を決定付ける。また、自然災害等の環境変化に対応する課題・準備を怠らないことも大切になる。

 

政治の変化

その時代の政治の動きひとつで、会社を取り巻く経営環境が一変することは良くある。景気悪化という経営課題に直結する増税等だけでなく、規制緩和から生まれる経営課題も政治の変化から生まれる。当然ながら、政治の動きに無頓着な会社は、衰退に繋がる経営課題を見落としがちになる。

 

 

経営課題の見つけ方「社会・技術・世界編」

 

経営課題は「社会・技術・世界」の変化に目を向けることで簡単に見つけることができる。

 

社会の変化

社会の価値観は、各種メディア、社会インフラ、世論、流行など、様々な要因が影響して、絶えず変化する。社会の価値観の変化がきっかけで売上が増加する、生産性が向上する、社員の働き方や労働意欲が変わる等は良くあるパターンだ。社会の価値観の変化をしっかり捉えると、解決すべき経営課題が見つかり、発展のチャンスが確実に増える。

 

技術の変化

技術の変化は、事業活動のあらゆる面に大きな影響を与える。事実、社会インフラやテクノロジーの進歩に伴う技術の変化を的確に捉えて、解決すべき課題を絶えず見つけている会社は目覚ましいスピードで繁栄している。

 

世界の変化

これからの経営者は世界情勢に反応できる思考を持つことが重要になる。農家であっても世界と戦う時代に突入しているし、街の商店や地方の工場では、外国人が働く光景が日常になっている。日本と世界の距離は縮まる一方なので、世界の変化に対応する姿勢が、更なる発展に繋がる経営課題を照らし、会社の成長を加速させる。

 

 

経営課題の発掘は客観性と専門性が肝になる

 

経営課題を見つけるには客観性と専門性が欠かせない。

 

会社経営の領域はじつに幅広く、近視眼的な思考や素人目線では見つけられない経営課題が無数にあるからだ。

 

また、会社の内部だけでなく、外部環境に目を向ける必要もあるので、社長ひとりで経営課題を捉え続けるのは難しい。

 

こうした課題を解決する方法として有効なのは、現場の声と専門家の声の積極活用である。

 

現場の状況、特定分野が得意な社員の声、種々の専門家のアドバイス等は、社長の視点や思考を補強し、経営課題を見つける力を高めてくれる。

 

業績が低迷していながら、なかなか経営課題を見つけられない時ほど、客観性と専門性を意識することをお薦めする。

 

(この記事は2021年5月に執筆掲載しました)