社員教育なくして、会社の成長はない。
なぜなら、社員が成長しなければ、会社が成長しないからだ。
社員教育には一定の教育費用がかかるので、社員教育に消極的な中小企業が少なくないが、新卒採用が殆どなく、限られた社員で勝負せざる得ない中小企業こそ、積極的に社員教育に取り組んでほしいと思う。
また、社員教育は費用がかかる割には効果がでないと思っている経営者もいるかも知れないが、費用対効果の高い社員教育を実施することは工夫次第でいかようにもできる。
例えば、週1回の定例会議に社員教育に繋がるテーマを取り入れるだけで、費用ゼロで効果大の社員教育を実施することができる。
社員教育に繋がるテーマの具体例を挙げると、下表の通りである。
週 |
社員教育テーマ |
教育効果 |
---|---|---|
1週目 |
会社の経営理念を確認し、理念に即した仕事の達成度、或いは、理念から外れた仕事をしていないかを社員全員で検証する |
経営者のビジョンや価値観の共有度合が高まることで経営者と社員の価値観のギャップが小さくなり、組織の力が一点に集中する |
2週目 |
会社の数字を確認し、目標達成度を検証する |
社員の数字理解度が深まり、社員の数字に対する責任感が増す。また、社員の自主的な業績改善が促進される |
3週目 |
市場や顧客の声を確認し、商品やサービスの改善余地を徹底検証する |
社員の顧客理解が深まり、顧客満足度を考える社員が増える。また、商品やサービスの付加価値改善が促進される |
4週目 |
現場や社員の声を確認し、社員満足や業務改善余地を検証する |
経営陣と現場・社員のギャップが解消され、社員満足度が高まる |
このように、普段の定例会議のなかに教育効果のあるテーマを取り入れるだけで、費用ゼロで効果大の社員教育を実現することができる。
また、教育効果のあるテーマを繰り返し議論していると、自ずと社員のなかに経営者感覚が芽生え、指示待ち集団から、自らが考えて行動する集団に変貌していく。
社員教育の効果を上げるには、経営者が一番の勉強家でなければならない。
なぜなら、経営者が勉強していないことを社員に押し付けても、反発を受けるだけで、教育効果が十分に上がらないからだ。
また、経営者が勉強したことを、そのまま一部の幹部社員にだけ伝えるのも効果が限られる。
社員教育の効果をグッと引き上げるには、経営者が先頭に立って経営の勉強を行い、経営者自身が会社経営に役立つと思った知識やノウハウを自分流にアレンジし、さらに、経営者が社員と一丸になって学ぶ姿勢を見せることが不可欠だ。
費用ゼロで効果大の社員教育の方法は、先の例で述べた教育効果のあるテーマを社員に議論させる方法以外にもたくさんある。
例えば、大きな挨拶を習慣づける、全員参加の社内清掃、独自の技能試験と表彰制度、競合他社視察などの社員教育は、さほどの費用をかけずに行うことができる。また、社長の愛読書を社員に開放するライブラリーの設置も、社員教育に役立つ。
社員教育の効果は、社員の成長を加速させるだけに止まらない。
経営者と社員の距離がよりフラットになり、社員の経営参加の意識がどんどん高まる。当然ながら、社員一人ひとりに経営者感覚が身につくと、会社の成長スピードは一段と加速する。
会社経営において社員教育ほど重要なものはない。会社の成長発展のために十分に社員教育を施しているか否か、一度、点検してみてほしい。
費用をかけずにできる社員教育の方法は沢山あります。大切なのは、お金をかけることではなく、社長が先頭に立って経営の勉強をして、社員教育をけん引することです。勉強熱心な社長の姿勢(背中)を見ている社員は、益々ヤル気になるものです。社長が社員と共に成長すれば、組織力と共に、業績が一段と伸びます。