見切り千両とは、江戸中期に米沢藩を立て直した名君「上杉鷹山公」が残した言葉である。
事業撤退の遅れが原因で急速に会社が衰退する例は数多にあるので、見切り千両の言葉通り、事業撤退はとても価値のある決断になる。
この記事では、見切り千両の価値、並びに、事業や損失を見切る判断基準やタイミングについて、詳しく解説する。
見切り千両とは、江戸中期に米沢藩を立て直した名君「上杉鷹山公」が残した「見切り千両、無欲万両」と続く言葉が語源になっている。
見切りの決断と無欲な経営姿勢は成功社長の必須スキルとマインドであり、また、事業撤退の遅れが原因で急速に会社が衰退する例は数多にあるので、「見切り千両」は、まさに金言といえる。
なお、相場の世界においては「見切り千両、損切り万両」とアレンジされた言葉が格言として定着している。
言葉の意味は、保有している投資物件や株式等の損失が少ない内に見切りをつけることは千両の価値があり、損失が更に大きくなる前に損切りすることは万両の価値がある、という意味だが、この考え方も会社経営においてとても重要である。
見切り千両を成功させるには「採算」と「タイミング」の二つの基準が重要になる。
採算とは、儲けの有無のことだが、新商品や新規事業の収支を独立採算で管理することで明らかになる。
採算が合っていれば問題ないが、採算割れの赤字収支の場合は、事業撤退(見切り・損切り)を考えなければならない。
また、事業を正しく見切るには、事業撤退することで被る損害が最小限に済むタイミングを如何にして掴むかが重要になるので「回収期間」と「損失額」を注視することも必要になる。
回収期間とは、投資した費用の回収期間のことだが、大型投資は例外として、できれば1年以内、最低2年以内に投じたコストが回収できない事業は、撤退(見切り・損切り)を考えなければならない。
損失額とは、新商品や新規事業を展開することで被る損失の累積のことだが、会社の本業に支障が出る金額、或いは、当初の予算で計画した金額を超える事業は、撤退(見切り・損切り)を考えなければならない。
何れにしろ、始めた事業の損失がどこまで膨らむのかを正しく把握し、事業をタイミングよく見切る判断基準を持つことが、見切り千両を成功させる秘訣になる。
新たに始めた事業が最初からうまく行くことは殆どなく、失敗しながら成功に近づくのが自然である。
しかし、取り返しのつかない失敗は、成功そのものの可能性を著しく低下させる。従って、一定の失敗ラインで事業を見切る「見切り千両」の意識は成功社長の絶対スキルといって過言ではない。
また、最初から事業を見切る覚悟を決めていれば、精一杯目の前のビジネスに熱中することができる。万が一、損失が限界に達したら、一旦止めて、再出発すればよいだけのことである。
とは言っても、見切り千両という言葉が生まれたように、これがなかなかできない経営者が多いのが実情である…。