わたしは経営コンサルタントとして潰れる会社の惨状を目の当たりにしてきた。
潰れる寸前の会社を再建した経験もあり、潰れる会社の特徴がどんなものであるかを実体験から体得することもできた。
潰れる会社には共通の特徴が間違いなくあり、殆どの会社は、日常の会社経営の中に、会社が潰れる前兆が顕在化している。
当然ながら、会社が潰れる前兆を見逃し続けると、結末は、会社倒産という残念な結果が待っている。
この記事では、潰れる会社の特徴から潰れる会社の雰囲気や前兆に至るまで、詳しく解説する。
潰れる会社の特徴と共通点を挙げると以下のようなものがある。
明確な経営ビジョンがない、赤字経営を容認している、どんぶり経営に陥っている、利益目標がない、資本が欠損している、売上と利益が減少している、成長投資を行っていない、違法行為が常態化している、問題社員がいる、後継者やナンバーツーがいない、組織力が脆弱、継続的経営改善をしていない、本業とは全く関係ない新規事業に手を出している、資金繰りに困窮している、借入過多に陥っている、離職率が高い、など等の特徴と共通点がある。
この中で、潰れる会社に多い共通点は、赤字経営の容認、脆弱な組織力、経営改善の放棄、どんぶり経営である。
会社を潰さないために赤字経営からの脱却は必須条件であり、赤字経営を脱するには、社長の下で一致団結する組織力、会社の強みを伸ばす、或いは、会社の欠点を解消するための経営改善、経営改善効果を測定検証する緻密な計数管理が不可欠になる。
以上に挙げた潰れる会社の特徴と共通点に一つでも該当する項目があれば、そこが原因で会社が潰れるリスクが大きくなるので、折にふれ、セルフチェックしてほしい。
潰れる会社の社長の特徴を挙げると以下のようなものがある。
謙虚さがない、責任感がない、運が悪い、愛人がいる、モラルがない、意志が弱い、儲け話に弱く金銭にだらしない、浪費家、情報の価値を知らない、数字に弱い、利益意識が低い、社員満足度を追及していない、顧客満足度を追及していない、社長がワンマン化、或いは、ブラック化している(パワハラ、モラハラ、セクハラ、身内優先、社員軽視、利益独占、贅沢独占、離職加速、等々)、など等の特徴がある。
この中で、潰れる会社の社長の多くに共通している特徴は、責任感がない、数字に弱い、利益意識がない、社員と顧客軽視の姿勢である。
会社を潰さないためには、すべての経営責任を社長自身に帰結し、社員と顧客の満足度を追及し、数字をもとに事業計画(PDCAサイクル)を回し、然るべき利益目標に向かう姿勢が欠かせない。
以上に挙げた潰れる会社の社長の特徴に一つでも該当する項目があれば、そこが原因で会社が潰れるリスクが大きくなるので、折にふれ、セルフチェックしてほしい。
潰れる会社の社員の特徴を挙げると以下のようなものがある。
素直でない、誠実でない、挨拶をしない、笑顔がない、覇気がない、責任感がない、利益意識が低い、風紀が乱れている、仲間意識がない、愛社精神がない、顧客満足度を追及していない、など等の特徴がある。
この中で、潰れる会社の社員の多くに共通している特徴は、素直でない、誠実でない、顧客軽視の姿勢である。
社員に素直さと誠実さがないと、どんなに優れた社員教育を施しても、その社員が成長することは殆どなく、むしろ、問題社員化してしまい、取り扱いに困る存在になってしまう。顧客軽視の姿勢は、取引解約や売上減少の元凶になり得るので、会社にマイナスダメージを与える存在になってしまう。
以上に挙げた潰れる会社の社員の特徴は、経営者や経営幹部の姿勢が原因で作られることもあるので、まずは、経営者自身が我がふりを直したうえで、問題社員の是正に取り組むことが大切だ。
潰れる会社の雰囲気を挙げると以下のようなものがある。
暗い、汚い、覇気がない、挨拶がない、在庫が多い、横柄な態度がまかり通っている、社員同士が険悪、社長と社員が険悪、問題社員がいる、すぐに社員が辞めている(離職率が高い)、パワハラやセクハラを見かける、社長ひとりが贅沢三昧している、会社に宗教を持ち込んでいる、など等の特徴がある。
以上に挙げた潰れる会社の雰囲気にひとつでも当てはまる特徴があれば、その部分が原因で会社が潰れるリスクが大きくなるので、くれぐれも注意してほしい。
また、会社訪問した際に、その会社から潰れる会社の雰囲気を感じとったならば、相当なリスクを想定した対応が必要になる。
潰れる会社の前兆は前章で解説した「潰れる会社の特徴等(潰れる会社の特徴と共通点・潰れる会社の社長の特徴・潰れる会社の社員の特徴・潰れる会社の雰囲気)」を基準に、会社の状況を客観視することで見破ることができる。
また、会社の決算書を分析し、資本欠損や債務超過に陥っていないか、或いは、売上と利益が減少傾向にないか、現金不足や借入過多に陥っていなか、など等、経営データから合理的に潰れる会社の前兆を捉える方法も有効だ。
繰り返すが、殆どの会社は、日常の会社経営の中に、会社が潰れる前兆が顕在化している。
会社倒産という残念な結末を回避するために、日頃から冷静な眼で会社経営を点検してほしい。
会社が潰れる前兆は目の前にあります。数字、現場、顧客、社員、取引先などを見渡せば、必ず見つかります。これは、すべての企業に共通する理です。会社を潰さないためには日頃から小さな変化に目を光らせ、経営の足を引っぱる変化を見逃さないことです。変化の見過ごしは、倒産リスクを高めるだけです。