在庫と利益の関係と在庫とお金の関係に頭を悩ます経営者は少なくない。
在庫はお金そのものなので、在庫コントロールが杜撰な会社は、利益もお金も増えないことが往々にしてある。
この記事では、在庫と利益の関係、並びに、在庫とお金の関係について、詳しく解説する。
在庫と利益の関係は、単純だ。
なぜなら、会計上、適正な在庫評価(棚卸)がされている限り、在庫が多かろうが少なかろうが、利益は変わらないからだ。
在庫によって利益が不自然に変動するのは、在庫を水増しした時、或いは、在庫の評価額を作為的に操作した時だけである。
在庫の水増し等は、いわゆる粉飾行為だが、在庫の粉飾をしない限り、在庫が利益に与える影響は殆どない。
一方、在庫とお金の関係は、複雑だ。
例えば、在庫が売れても売上金の回収が完了しなければお金は増えない。或いは、在庫に然るべき利益を乗せて販売しなければお金は増えない。
さらに言えば、在庫が売れなければ、一生、お金が増えることはなく、最悪、在庫処分の費用がかかり、お金が減ることもあり得る。
このように、在庫とお金の関係は、在庫と利益の関係に比べて、非常に複雑になる。
会社は、お金がなくなると倒産するので、在庫とお金の関係を見失うと、簡単に会社が衰退することも珍しくない。
在庫と利益の関係を理解することも大切だが、在庫とお金の関係は、安定経営を目指すうえで欠かせないポイントといっても過言ではないのだ。
なお、在庫と利益の関係については当サイト内の「棚卸が決算だけの会社は倒産リスクが高い」の記事で詳しく解説しているので、是非、参考にしてほしい。
在庫はお金である。
従って、在庫を寝かせている状態は、お金を寝かせている状態と何ら変わりない。
また、多くの利益を稼ぎ出したとしても、その利益が在庫に消えてしまっては、お金が増えることはない。
例えば、年間1億円の利益を稼いだとしても、期首からの在庫残高が1億円増えれば、すべての利益が在庫に姿を変えたことになり、お金は一切増えない。
増えないどころか、税金支払い分のお金が無くなり、場合によっては資金繰りが悪化する。
利益が拡大しているにも関わらず資金繰りが悪化する会社の殆どは、在庫とお金の関係を見失ったことで起きている。
このケースは多くの中小企業で見受けられるので、是非とも、注意してほしい。
在庫を制するものはお金を制する。
例えば、
☑在庫の現金化が早ければお金に余裕が生まれ成長投資が加速する
☑在庫が少なければ、在庫の値下がりに伴うお金の損失リスクが小さくなる
☑在庫代金の支払いよりも販売代金の回収が早ければ、売上拡大と共にお金がどんどん増える
このように、在庫とお金の関係を理解し、在庫を制するものは、お金を制することができる。
当然ながら、会社のお金が潤沢になれば、会社の成長スピードは一段と加速する。
トヨタは、ジャスト・イン・タイム(必要なものを、必要なときに、必要なだけ)の生産体制(カンバン方式)を確立し、世界的自動車メーカーに躍進した。
材料在庫1日以下、製品在庫ゼロの生産販売体制を確立したデルコンピュータは、創業から早い段階で世界的企業の仲間入りを遂げている。
在庫は、会社の成長と衰退を分かつ重要な要素なので、決して、軽く見てはいけない。
利益が出ているにも関わらず、なぜかお金が増えない、という悩みを持つ経営者はとても多いです。原因を辿ると、在庫とお金の関係性を見失っているケースが実に多く、大概は、在庫の扱いを改善するだけで、お金が増え始めます。お金を増やしたければ、常に在庫とお金の動きに目を光らせることです。
全力で経営者様を支え、会社の繁栄を加速します!!!