企業は人なりの言葉通り、社員満足度の高低は、会社の業績に大きな影響を及ぼす。
例えば、会社に不満を抱く社員をひとりでも放置すると、時を待たずして他の社員へも不満が伝播し、加速度的に組織力が低下することがある。
一度、低下した組織力を回復させるには、問題社員の解雇など大掛かりな改革が伴うので、日頃から社員満足度に気を配り、社員満足度を上げる取り組みを推進することが欠かせない。
この記事では、社員満足度を高める取り組みと社員満足度の調査方法について、詳しく解説する。
社員満足度とは、社員が会社で働くことに対しての満足度を計る指標である。
社員満足度は、組織力に直結するので、会社の業績に大きく影響を及ぼす重要な指標といえる。
事実、社員満足度を追求しているヒト重視の企業ほど、好調な業績をキープしている。逆に、倒産の危機に瀕するような企業は、社員の不満が会社に蔓延していて、社員満足度が極めて低い傾向にある。
会社が社員満足度を高めるには相当な気遣いと苦労を要する。
なぜなら、働くということは、しんどいことや、辛いことを経験するということだからだ。
また、人間には喜怒哀楽という感情があるが、喜びと楽しさといったプラスの感情が一瞬で萎むのに対して、怒りや哀しみといったマイナスの感情は長く尾を引く特徴を持っている。
当然ながら、ひとたび、会社が社員に対してマイナス感情(不満等)を与えてしまうと、そのマイナス感情を払しょくするのも、社員満足度を高めるのも、極めて困難な状況に陥ってしまう。
社員満足度を高めるには、社員に対して極力マイナスの感情を与えず、なお且つ、苦しみの先へ希望を実現する経営者の姿勢が不可欠になるのだ。
社員満足度の調査はなかなか難しい。
なぜなら、不満と満足の基準は社員の主観で決まるからだ。
従って、社員満足度を調査する場合は、社員が客観的基準で満足度の評価ができるように、会社側から社員満足度を測定するための項目を提供しなければならない。
社員満足度を調査する際の項目は「将来の不安、生活の不安、雇用の不安、会社の姿勢、会社の文化や風土、能力開発の姿勢、能力活用の姿勢、やりがい、風通し、モチベーション、上司部下同僚との人間関係、肩書、報酬」など等の項目を段階評価させると、数値という合理的評価で社員満足度を把握することができる。
また、社員満足度の調査を社内で行う場合は、匿名アンケートや第三者を活用しなければ社員の本音を捉えることは出来ない。
なぜなら、同じ会社内の上司に対して本音(経営者や上司の問題)をさらけ出す社員など、殆どいないからだ。
例えば、社員満足度の調査担当が自分の上司だった場合、「わたしの不満足の原因はあなたです」と面と向かって上司に本音をぶつける社員はいないだろう。
従って、社員満足度の実態を捉えるには、匿名アンケートや利害関係のない第三者を活用しなければならない。
当たり前だが、社員満足度の実態が反映されていない調査結果をベースに改善に取り組んでも、社員満足度が高まることはない。
社員の本音をいかに客観的に捉えるかが、社員満足度調査の重要なポイントなのだ。
社員満足度を高める取り組みで最も大切なのは社員とのコミュニケーションである。
なぜなら、社員が会社に不満を抱く最大の理由は、経営者、或いは、上司との関係悪化だからだ。
殆どの社員にとって、肩書や報酬に対する不満は小さな問題である。過去に1,000名を超える中小企業の社員面談を行ってきたわたしの経験からも、社員が抱いている不満の最大の原因は、経営者とのコミュニケーション不足にあると断言できる。
社員とのコミュニケーションを深めるうえで大切なことは、社員を理解し、社員に目線を合わせることである。
ラジオの電波も合わせなければ向こうの声が聞こえないように、コミュニケーションも相手に合わせなければ本音を捉えることはできない。相手に合わせることが上手なコミュニケーションの秘訣なのだ。
こちらの論理や価値観を押し付けることなく、社員とコミュニケーションを深めていくと、全く違う知識や考えを持った人との対話が活発になり、社員の成長や進歩が生まれ、社員満足度が自然と高まる土壌が整っていく。
社員とのコミュニケーションが円滑に進んでいる限り、社員満足度が低下することはそうそう起こり得ない。
もしも、経営者がしっかりコミュニケーションをとっているにも関わらず、社員満足度が上がらない社員がいる場合は、その社員は、この会社(会社の理念や社長の方針)に向いてない可能性が高い。
その場合は、なるべく早く転職を進めた方が良い。なぜなら、社長と別の方向を向いた社員に良い仕事は期待できないし、社長の方針に従わない社員を放置するほど、組織全体に不満が蔓延するからだ。
こうした判断も社員満足度を高める取り組みになるので、是非とも、日頃から注意深く社員とのコミュニケーションを深めてほしい。
社員満足度を高めるために経営者が社員に対してプラスの感情を与える方法も有効だ。
例えば、忘れられない感動や良い思い出などは、プラスの感情として残りやすく、社員満足度を高める効果がある。具体的な取り組みとしては、社員旅行やサプライズイベントなどだ。
ただし、喜怒哀楽の喜楽に該当するプラスの感情は持続しない特徴があるので、よほどの感動を与えない限り、効果が長続きすることはない。
また、この方法は、社長の技量やセンス、或いは、社員の好みによって期待する効果が得られないことがあるので万能ではない。
社員満足度を高めるために社員にプラスの感情を与える方法として万能かつ効果的な方法は、普段の何気ない経営者の優しさである。
例えば、ありがとうや大丈夫などの何気ない声掛けや、ちょっとした差し入れなどは、どんな経営者でも実践でき、なお且つ、社員に対して持続的にプラスの感情を与えることができる。
社員に対するプラスの感情は、太く短くではなく、細く長く与え続けることが社員満足度を高める秘訣なのだ。
社員満足度の高低は、会社の業績に大きな影響を及ぼす。
例えば、会社に不満を抱く社員をひとりでも放置すると、時を待たずして他の社員へも不満が伝播し、加速度的に組織力が低下する。
社員満足度を高める取り組みと社員満足度の調査方法について詳しく解説したが、社員満足度を高めるためには、経営者の姿勢が最も重要なポイントになる。
なぜなら、会社のトップである経営者の姿勢は、社員に伝染するからだ。
例えば、経営者がネガティブ思考の人間だと、社員もネガティブになり、陰湿で不満の多い、暗く自信がない社員が増えやすくなる。
一方、経営者がポジティブ思考の人間だと、社員もポジティブになり、少々の不満を吹き飛ばす明るく自信に満ち溢れた社員が増えやすくなる。
社員満足度を追求しない会社に明るい未来はない。
社員が求めているのは、社員満足度を追求し、社員の明るい未来を実現する経営者だ。
社員満足度は会社経営を左右する重要な要素です。社員とのコミュニケーションを充実させて社員の不満を捉え、その不満を解消する努力が満足度を上げる確かな方法です。また、絶えず社員に感謝すること、謙虚に接することも、社員満足度を高める、或いは、社員満足度をキープする秘訣になります。