中小企業の場合、社長がひとりで仕事を抱えてしまい、権限移譲が全くできていない会社も珍しくない。
社長の権限を社員に対して移譲しないと、いつまで経っても社長におんぶに抱っこ状態が続き、社員のスキルと責任感が一向に高まらない。
この記事では、社長の権限移譲で失敗しない秘訣、並びに、権限移譲で社員のスキルと責任感を高める方法について、詳しく解説する。
社員のレベルを引き上げ、会社の成長を成し遂げるには、社長の権限を社員に対して移譲することが欠かせないが、社長の権限移譲はじつに難しい。
事実、社長の権限を社員に移譲した途端に、ミスやクレームが多発する、或いは、業績悪化を招く失敗が頻発する、といったマイナスリスクが表面化することは珍しくない。
このようなマイナスリスクを回避するには、社長の権限移譲で失敗しない3つのポイントを抑える必要がある。
ひとつは、日常業務やルーティン的業務に限定すること、ふたつ目は、やらない事を決めること、3つ目は、経営者がしっかりフォローすること、である。
最低限、この3つのポイントを抑えたうえで社長の権限移譲を進めれば、大きな失敗リスクを減らすことができる。
社長の権限移譲で失敗しない3つのポイントについて、更に詳しく解説する。
社長の権限移譲は、日常業務や反復性があるルーティン的業務に限定することが失敗しない秘訣になる。逆に、非日常業務であるクレーム処理や銀行対応、或いは、重要業務であるお金の管理等は、社長が管理権限を持ち、決して社員に権限移譲してはならない。
社長の権限移譲は、やって良いことを決めるより、やらない事を決めた方が、社員のストレスが少なく済み、なお且つ、ミスが起こりにくい。例えば、創業精神や経営理念から外れた行動を取らない、基準見積条件を外さない、ミスやクレームは独断で対処しない、ミスやクレームを隠さない、赤字取引を容認しない、〇万円以上の費用は決裁なしで使わない、など等、やらない事を決めておくと、社員の自主性を尊重しつつ、安心して社長の権限を委譲できる。
社長が権限を社員に委譲した後に、社員に任せっぱなしの丸投げ状態にすると、かなりの高確率で権限移譲が失敗する。権限移譲の失敗を回避するには、一定間隔で仕事の進ちょくを確認し、社員の能力と権限移譲の範囲にギャップが生じていないかをチェックするなど、社員の活動をフォローしなければならない。
社長が社員に対して権限移譲した場合のメリットは、大きくふたつある。
ひとつは「社長の時間的・精神的余裕ができること」、もう一つは「社員の能力向上に繋がること」だ。
社長の権限を社員に移譲し、社長の時間的・精神的余裕ができると、日常業務に忙殺されることがなくなり、会社の成長をデザインする時間や行動が増え、会社の成長スピードが一段と加速する。
一方の社員側も、社長から権限を委譲されることによって、自分で考えて行動する力が磨かれ、組織全体が指示待ち集団から自らが考えて動く集団に変動する。
また、仕事のやりがいと責任感も増すので、能力向上のスピードと会社への業績貢献度が一層高まる。
権限移譲は右腕や幹部を育成するうえで不可欠です。ですから、出来る範囲でどんどん権限移譲を進めた方が会社の成長が加速します。但し、丸投げはNGです。委譲した権限が社員の重荷やストレスになっていないかを常にフォローして下さい。また、お金の管理、人事権、最終決断等の権限は委譲してはなりません。