売上よりも利益が大切なことは、殆どの経営者が直観的に理解している。
なぜなら、利益がなければ成長投資や資金繰りの状況が悪化し、会社が衰退することを肌で感じているからだ。
この記事では、売上よりも利益が大切な本当の理由について、詳しく解説する。
売上より利益が大切なことは殆どの経営者が理解していることだが、売上より利益を優先する前に、売上の重要性を知る必要がある。
なぜなら、利益を上げるには、売上を作る必要があるからだ。しかも、売上は必ず一定ペースで自然減少するので、売上拡大の意識が弱まると、会社は簡単に衰退する。
また、創業間もない頃、或いは、スタートアップ段階の新規事業は、利益を犠牲にして売上拡大を優先しなければならない局面もある。
そして、何といっても、モノを売るのはじつに難しく、さらに言えば、モノを売り続けるのは至極難しい。
顧客は気分屋で、ライバルは一切攻撃の手を緩めないので、少しでも気を抜くと、顧客やライバルに出し抜かれ、売上は簡単に消え去ってしまう。
従って、創業から歴史を重ねて作り上げた売上は、まさに努力の結晶ともいえる貴重な代物であり、売上拡大の手を緩めることは、会社の衰退を早める危険な判断といえるのだ。
経営者にとって、売上の規模を拡大することは当たり前のことである。
しかし、売上の規模が大きいからといって会社が安泰かというと、そうではない。
顧客が認める事業価値は利益の大きさと比例するので、たとえ売上が大きかろうが、利益が小さければ、それだけ会社の魅力も劣ってしまう。
さらに、利益が出ない赤字経営に陥っていれば、成長投資がゼロになるので、会社は先細る一方になる。
例えば、売上100億円で赤字経営、売上1億円で利益1千万円の黒字経営の二つの会社があった場合、将来有望なのは後者の黒字経営の会社である。
利益は成長投資の原資になるので、利益が大きいほど成長投資の規模が拡大し、売上の伸びが加速する。
しかも、成長投資が継続されるほど、モノが売れ続ける環境が整うので、よほどのことがない限り、売上が減少することがなくなる。
売上は努力の結晶である。
そうした売上の規模が大きいことは素晴らしいことだが、一番大切なことは、売上に見合った利益を生み出し、成長投資を継続することだ。
この成長サイクルさえ回し続ければ、売上は簡単に増え続け、企業の永続性もどんどん高まる。そして、売上より利益が大切と云われる所以はココにある。
売上があって利益がない会社は、じつに勿体ない状況といえる。
なぜなら、利益さえ出せば、前章で解説した成長サイクルが回り始め、売上と共に利益が拡大するからだ。
そこそこの売上がありながら赤字経営に陥っている会社や大きな売上を獲得している上場企業の業績悪化の事例を見ると、つくづく勿体ないと思う。
それこそ、倒産してしまえば努力の結晶である売上は勿論、会社もろとも無くなる訳なので、その思いはひとしおである。
利益が少ないことは勿体ないこと。そして、勿体ないことを繰り返していれば、何れバチ(罰)が当たる。
この認識があれば、利益を上げるための意識が強くなるので、会社経営の質はガラリと変わる。自ずと成長サイクルが定着し、売上と共に利益が拡大する好循環が回り始める。
売上と利益は会社繁栄の両輪である。売上を大切にしつつ、利益を軽んじないこと。利益を見落とさないこと。利益あっての繁栄ということを決して忘れてはならない。