中小企業が安定経営と拡大経営を確立するには、事業活動を通して然るべき利益を上げ、成長投資を継続することが絶対条件になる。
利益なくして成長投資はなく、成長投資なくして安定経営と拡大経営の確立はあり得ない。
この記事では、安定経営と拡大経営を確立する方法について、詳しく解説する。
利益を上げるには黒字経営が大前提になるが、利益を拡大する事ほど困難を伴うものはない。
如何にして1円の利益を10円、20円と拡大すればよいのか?
利益拡大に頭を悩ます経営者は少なくないが、利益拡大の理屈は、利益拡大を支える要素を理解すると見えてくる。
利益拡大を支える要素は「安定経営」と「拡大経営」である。それぞれの要素について詳しく解説する。
安定経営とは、高収益体質、リピート購入、継続利用、など等、会社の存続を担保する要素の安定化を意味する。高収益体質を維持し、顧客や取引先が継続して商品を購入している限り、安定経営が破綻することはない。
拡大経営とは、新商品の投入、新事業の展開、顧客の創造、など等、事業の規模拡大を意味する。昨年よりも今年、今年よりも来年というように、常に顧客や市場が拡大している限り、拡大経営が破綻することはない。
安定経営と拡大経営は利益拡大の両輪を成していて、安定経営と拡大経営の一方が破綻した状態での利益拡大はあり得ない。
どんな時代、どんな業種であっても、安定と拡大は、利益拡大の変わらぬ原則になる。安定と拡大の両輪を意識した会社経営の概要と共に、安定経営と拡大経営を確立する方法について、更に詳しく解説する。
安定経営とは、高収益体質、リピート購入、継続利用、など等、会社の存続を担保する要素の安定化を意味する。
つまり、高収益体質を維持しつつ、継続的に会社に利益をもたらす顧客環境や販売環境を整えることが、安定経営確立のポイントになる。
安定経営を確立するには、会社の商品やサービスを安定的に販売する環境構築(マーケティング)が不可欠だが、会社の商品は、常に選択の脅威にさらされている。
経営者は、どんなに優れた商品であっても、顧客が買い続けてくれる保証はどこにもない、ということを忘れてはならない。
従って、安定経営を確立するには、顧客からの選択の脅威に打ち克つ必要がある。
選択の脅威に打ち克つ手段は限られている。
「一定の品質をキープする」、或いは「品質を上げ続ける」の何れかだ。
そして、この品質向上(安定経営)に欠かせない取り組みが「本業の深掘り」になる。
深堀りするほど安定経営に繋がるのが本業分野だが、じつは、多くの中小企業は本業分野に注意を払っていない。
本業の深堀りを成功させるうえでのポイントは2つある。
ひとつは、最新テクノロジーの導入、もう一つが、時流に乗るひたむきな経営努力である。
例えば、どんなに本業分野を極めたとしても、その事業価値を研鑽し続けなければ、時間の経過とともに事業価値が陳腐化する。
事業価値が陳腐化すると、競合他社との差が縮まり、安定経営の土台が脆弱になり、万が一、事業価値が競合他社よりも下回ると、市場競争から脱落することになる。
従って、本業の深堀りに終わりはない。
☑顧客が求めるサービスは何か?
☑顧客が求めている商品を提供するにはどうすべきか?
☑顧客が喜ぶ独自商品やサービスを提供するためには何をすべきか?
既存の商品と市場であっても、見方を変えると改善点は無限に出てくるものだ。本業の深掘りなしに安定経営の確立はあり得ないので、しっかり取り組んでほしい。
拡大経営とは、新商品の投入、新規事業の展開、顧客の創造、など等、事業の規模拡大を意味する。
つまり、新たな商品やサービスを提供し、潜在顧客を発掘する積極投資を推進することが、拡大経営確立のポイントになる。
新商品や新規事業の展開を成功させる上で、まず抑えるべき点は、事業を成立させている要素を理解することだ。
全ての事業は2つの構成で成り立っている。
ひとつは「市場(顧客)」、もう一つは「商品」だ。
市場と商品の一方が欠けると事業は成り立たないので、拡大経営の基本は、市場か商品のどちらか一方でも、絶えず拡大し続けるところにある。
ただし、闇雲な拡大経営は失敗リスクを高め、成長はおろか、衰退のきっかけを作りかねないので注意が必要だ。
失敗リスクを抑えつつ拡大経営を確立するには、第一に、現在保有している市場と商品の付加価値を高めることが先決になる。
付加価値とは、端的に、オンリーワン市場のことで、例えば、事業を長く続けていると、自社が保有する市場と商品に独自性(オリジナリティー)が生まれる。
市場の独自性が高まれば「ここで買いたい」というファンが増え、商品の独自性が高まれば「これが買いたい」というオンリーワンの要素が濃くなる。
そして、市場と商品、双方の独自性が高まると、オンリーワン市場が強固なものになる。
本業の市場と商品の独自ノウハウは、失敗しない拡大経営に大いに活用できる。
例えば、「本業の市場に全く新しい商品を投入する」、或いは、「本業の商品を全く新しい市場に投入する」といった拡大戦略はじつに効果的だ。
本業の市場と商品の独自ノウハウは既にプロの領域に達しているので、成功の確率も五分五分になる。
もしも、市場と商品の両方が全く未知の分野、つまり完全に素人分野の市場と商品の掛け合わせで事業を拡大すると、成功の確率は限りなくゼロになる。市場も商品も共に素人分野の事業拡大が成功するはずはない。
なお、本業の市場と商品の独自ノウハウの活用は、拡大経営の秘訣ではあるが成功確率は五分五分なので、成功の確率を上げるための綿密な仮説と検証は、決して疎かにしてはならない。
安定経営の確立は、会社の存続を担保する要素の安定化、つまり、継続購入を促すマーケティングが肝になります。拡大経営の確立は、事業規模の拡大、つまり、本業の派生ビジネスの成功率を高める付加価値研鑽と顧客創造の取り組みが肝になります。安定経営と拡大経営の両輪が円滑に回ると、会社は自然と成長します。