できる社長の部下の叱り方|恩人化する経営者の叱り方とは

できる社長の部下の𠮟り方

 

経営者の部下の叱り方ひとつで社員のモチベーションが一気に低下することがある。

 

何といっても部下の性格は十人十色だ。同じように叱っても反応がみな違い、叱り方を誤ると、会社を辞めると言い出す部下もいる。

 

この記事では、できる社長の部下の叱り方を、事例を交えて詳しく解説する。

 

 

部下を叱るとは?

 

部下の叱り方に頭を悩ます中小企業経営者は多いと思う。

 

そもそも、叱るというのは、こちらの不満を感情のままに相手にぶつける「怒る」のとは少し違う。

 

あくまで人材育成の一環で相手(部下)の不足している部分を諭す教える励ます育むといった、前向きな姿勢が「叱る」ということだ。

 

一時は憎まれても、時の経過と共に恩人化していく経営者は、けっして怒ることなく、叱って人材(部下)を伸ばす上手な叱り方のポイントを抑えている。

 

それでは一体、正しい部下の叱り方とは一体どのようなものなのだろうか?

 

 

正しい部下の叱り方とは?

 

部下を叱る口調は、大声でも、穏やかな口調でも、どちらでも大丈夫だ。

 

大事なのは「罪を憎んで人を憎まず」の言葉通り、けっして怒ることなく、叱る理由を正しく伝えることが重要である。

 

例えば、

 

☑事実だけを伝える

 

☑なぜ叱るのかを教える(損失論、筋論、安全論、道徳論、組織論など等)

 

など等、けっして怒ることなく、愛情と事実を持って淡々と叱ることが大切だ。

 

また、叱った後に、「叱った部分が直ったらどうなるのか」を、具体的に教えてあげることも重要だ。

 

例えば、「その部分が直れば一流になる」、或いは、「その部分が直れば昇進できる」などのフォローだ。

 

叱ってすぐに直る社員などそうそういるものではないが、こうしたフォローは時間が経っても頭に残るものだ。

 

一時は憎まれても、時の経過と共に恩人化していく経営者はこうした叱り方のポイントを上手に抑えている。

 

ちなみに、人材育成機関がない中小企業の場合は、我慢せずにその場その場で叱った方が部下の成長スピードが早まる。

 

叱ることに辛抱は不要で、上手な叱り方は、間違いなく部下の成長を助ける。

 

 

やってはいけない部下の叱り方とは?

 

部下の叱り方は、言葉の扱いや言動ひとつで失敗に陥ることがある。

 

例えば、叱り方ひとつで、部下の反抗、非協力、離職、など等といった、組織力を低下させる原因を誘発することがある。

 

部下の叱り方を誤らないためには、やってはいけない叱り方のポイントを抑える必要がある。経営者がやってはいけないダメな部下の叱り方の主な例を紹介する。

 

ダメな部下の叱り方「人格を傷つける」

 

ダメ、アホ、バカ、カス、お前の代わりはいくらでもいる、出来ないのはお前だけ、男なのに、女なのに、など等、部下の人格を否定する、或いは、部下の人格を傷つける言葉は絶対に使ってはならない。

 

このような卑怯かつ汚い言葉を部下にぶつけると、心の距離が一気に離れて、信頼関係が破綻し、離職に繋がるリスクが飛躍的に高まる。

 

部下の人格を尊重する秘訣は、経営者自身の価値尺度を放棄して、徹底して客観性を保つところにある。

 

例えば、

 

☑自己中心(自分中心に相手を裁く)

 

☑自善他悪(自分が善くて相手が悪い)

 

☑自己独善(自分一人が善い・正しい)

 

など等、近視眼的な価値基準を相手に押し付けるような考え方では、部下の人格を尊重することはできない。

 

自分も部下と同じ立場だったらどうだろうか?

 

というような、常に部下の立場になって考える客観性なくして、上手な叱り方は実践できないのだ。

 

ダメな部下の叱り方「ずっと引きずる」

 

部下を叱ったことを引きずって「あの時もそうだった」、「また同じことをやって」、「どうせまた同じ失敗をするだろう」など等、過去を引きずって、部下を追い詰めることは絶対にやってはいけない。

 

部下を叱った後に無視をするなどの陰険な仕打ちも勿論NGである。

 

部下を叱るときは、その時に起こった事実のみを叱ることが鉄則になる。過去の失敗を持ち出したり、想像で結果を決めつけたりする必要な一切ない。

 

経営者自身が過去を引きずっている自分に気付いた場合は「執念深い!!」と自身を一喝すると心が晴れるので、ぜひ試してほしい。

 

過去を引きずらない経営者のもとでは社員が委縮することはないが、過去を引きずる経営者のもとでは社員が委縮してしまい生産性が著しく低下する。

 

そもそも、部下を叱る目的は、生産性を上げるためでもある。誤った部下の叱り方で生産性を低下させてしまっては元も子もない。

 

ダメな部下の叱り方「物に当たる」

 

物に罪はない。

 

従って、物に当たるのはお門違いというものだ。

 

物に当たるという高圧的な態度を経営者が取っていると、社長に進言する風土が失われ、ナンバー2不在、イエスマン天国など、ワンマン経営の末期状態に陥るリスクが高まる。

 

物に当たる叱り方は論外であり、人間として最低の言動である。

 

部下を圧倒する風格や威厳が経営者に身についていれば、物に当たらなくても上手に叱れるはずだ。

 

 

経営者と部下の関係悪化が離職を加速させる

 

部下が会社を辞める最大の原因は、経営者(もしくは上司)との信頼関係の悪化、或いは破綻である。

 

従って、経営者が部下とのコミュニケーションをしっかり深めていれば、部下の離職はそうそう起こり得ない。

 

経営者が心掛けるコミュニケーションの手段は難しくない。普段の声掛けや差し入れなどの気遣いで十分である。

 

そして、部下がミスを犯したときは、けっして怒ることなく、正しい叱り方を持って部下と接することが大切だ。

 

叱り方ひとつ意識するだけで、間違いなく人材が人財に育つ。

 

伊藤のワンポイント
 

人格否定、過去を引きずる、物に当たるといった言動を控えて、怒らず、急がず、焦らず、事実と期待を込めて、愛情持って叱ることが部下を育てる基本です。また、短所は仕組みでカバーし、長所は適材適所で伸ばす工夫も部下を伸ばすコツです。そして、最も大切なのは、社長が率先して部下とコミュニケーションを取ることです。