仕事の優先順位は、企業の盛衰を分かつ。
経営資源が限られている中小企業ほど、仕事の優先順位が企業の盛衰を決定付ける重要な要素になる。
この記事では、会社の成長を加速する仕事の優先順位の付け方について、詳しく解説する。
会社の成長は仕事の優先順位で決まる。
特に、中小企業は、人員や時間など等、様々な経営資源に制約があるので、仕事の優先順位次第で、経営成績が大きく変わる。
例えば、会社の経営資源が均衡した二つの中小企業があった場合、成長と衰退を分かつのは仕事の優先順位になる。
正しい仕事の優先順位は会社の成長を加速し、誤った仕事の優先順位は会社の衰退を加速させる。
仕事の優先順位は、それほどに重要な要素を持っており、正しい仕事の優先順位の元、その仕事を正しく遂行することが安定成長の絶対条件になる。
また、正しい仕事の優先順位は、経営資源を最大化し、大企業や競合他社の脅威から身を守ってくれる。更に、経営資源の最大化と共に、会社の成長スピードが一段と加速する。
仕事の優先順位の基準となる経営資源は多種多様にある。
社員等の人的資源だけではなく、商品、設備、時間、会社の強みなど等、有形無形の様々な経営資源が含まれる。
など等、経営資源を最大化・最適化するための仕事は無限にあり、こうした仕事の優先順位の付け方次第で会社の成長が決まる。
また、限られた経営資源(生産性)を最大化・最適化するには、思い切って仕事を捨てる判断も不可欠であり、こうした仕事の取捨選択の成果(精度)も、優先順位の仕方で決まる。
諸々の経営資源を最大化(最適化)するには、最大化(最適化)の障害、いわゆる、経営課題に優先順位をつけて、順次解消するほかないが、経営課題の優先順位付けは経営者の仕事になる。
なぜなら、経営者が先頭に立って仕事の優先順位を決定することが、組織の力を集中させる正攻法になるからだ。
組織の力が一点に集中すると、経営資源の最大化・最適化は効率よく推進される。
などの症状が出ている会社は、仕事の優先順位が誤っている、或いは、そもそも仕事の優先順位が曖昧で行き当たりバッタリの経営に陥っている可能性が高い。
あっちもこっちも中途半端に手をつけるより、仕事に優先順位をつけて、一つひとつ一気呵成に経営課題を解消した方が、経営資源は最大化され易い。
小さな会社ほどこの傾向が顕著になり、ネズミがかじったような仕事では、その瞬間瞬間は仕事をしているように見えても、実は何にも成果が上がっていないということも珍しくない。
「急がば回れ」のことわざ通り、焦らず、急がず、仕事に優先順位をつけて、集中と選択で成果を上げる姿勢が大切なのだ。
仕事の優先順位を決めるという事は「今すべき仕事を明確にする」という事だ。
従って、優先順位の決定は「今これをすれば将来成長する」、或いは、「今これをしなければ将来衰退する」という基準をベースに考えることが大切になる。
今すべき仕事の優先順位は、企業の成長と衰退を予見し、現状の経営課題を徹底的に掘り下げると浮き彫りになる。
なお、仕事の優先順位の変更は慎重にしなければならない。
なかでも、やるべきことをやらずに投げ出す、成果が出ないから諦める、課題解決の道のりが険しいから諦めるといった行動は、課題の先送りに過ぎず、ただの「逃げ」である。
徹底的にやり尽くした上での先送りであれば、次につながる成果を生み出すが、「逃げ」からは、次に繋がる成果は何も生まれない。
最後に、優先順位を決めた仕事を最後まで遂行し優れた成果を上げるために抑えるべきポイントを解説する。
ポイントを外すと仕事の優先順位を誤り、仕事の成果が不十分になる。仕事の優先順位の決定(精度)に大きな影響を及ぼす要因について、順を追って解説する。
経営課題を効率的に解消するには仕事の優先順位が生命線になるが、そもそも経営課題の現状認識を誤ると、全ての取り組みが失敗に終わる。
わたしの経験上、現状認識は、中小企業が最も不得意とする領域ではないかと思う。なぜなら、業績の伸び悩みの根本原因は、現状認識の誤りから端を発しているからだ。
経営課題を明らかにする現状認識は、仕事の優先順位を決める上で、最も重要なポイントといっても過言ではない。
世界最大のカメラフィルム会社「米コダック社(2012年破綻)」や世界最大手の玩具専門店「米トイザラス(2017年破綻)」が経営破綻したのは、将来予測の見誤りにある。
具体的には、米コダック社はデジタルカメラ時代の到来に対応できず、米トイザラスはオンラインゲームとネットショップ時代の到来に対応できず、双方、経営が破たんした。
当然ながら、事前に将来を予測し「今これをしなければ将来衰退する」という仕事の優先順位が明確に定まっていて、なお且つ、その仕事に愚直に取り組んでいれば、結末は変わっていただろう。
将来予測は、現状認識と同様、仕事の優先順位を決定するうえで重要なポイントになる。
経営者の「信じる心」が弱いと、たとえ仕事の優先順位が決まっていたとしても、次のような結果を招きやすくなる。
また、仕事の優先順位や仕事の進め方について色んな人のアドバイスを過度に求めすぎて、何が正しいのか分からなくなる心理状態に陥るのも、信じる心が弱い経営者の特徴になる。
一度優先順位を決めた仕事を成功するまでやり遂げるには、信じる心を強く持たなければならない。
自分自身を信じて全身全霊で取り組んだ仕事は、たとえ望んだ成果が出なかったとしても、次に繋がる経験(失敗は成功の基)になる。