顧客創造は企業の生命線になる。
しかし、商品やサービスが良くても、顧客創造に悩む中小企業は少なくない。
この記事では、顧客創造の良くある5つの失敗パターンについて、詳しく解説する。
顧客創造の失敗パターンの最たる例が「お客様に情報を発信しない」ことである。
顧客は知り得る情報の範囲内でしか商品やサービスの価値を評価することができないので、情報量が少ないほど、商品価値を評価するのが難しくなる。
どんなに良い商品やサービスを提供していたとしても、その情報が顧客に届いていなければ商品価値はゼロであり、顧客創造もうまく運ばない。
また、品質不良や接客ミスなどの悪い情報を顧客に発信することでも、顧客の創造に失敗する。大概の顧客は、離脱(不買)することで自らの意思を表明するので、顧客の声を待つのではなく、顧客の声に耳を傾ける姿勢が欠かせない。
つまり、良い情報を顧客に発信するだけではなく、商品やサービスを利用している顧客の情報も拾い上げる経営姿勢が大切になるのだ。
安値を強みに掲げた顧客創造は、失敗リスクが高い。
価格にしか強みがなければ、ライバルが価格を引き下げた瞬間に、すべての顧客を失うからだ。
安値で獲得した顧客は、購買の基準が価格にあるので、離脱率や流動性が極めて高く、リピーターが定着しにくい。
さらに、事業の収益性も極めて低くなるので、成長投資が鈍化し、商品や設備等の陳腐化と共に衰退しやすくなる。しかも、一度衰退に傾くと、経営姿勢を改めるのが困難で、大概は打つ手がないまま衰退の一途を辿る。
安値追求の顧客創造は資本力に乏しい小さな会社ほど危険なので、最初から安値以外の付加価値をしっかり研鑽・アピールすることをお薦めする。
商品に強みがなければお客様から選ばれないので、当然、顧客の創造に失敗する。
顧客を創造するうえで強みがないのは論外だが、強みを見誤る・見過ごすパターンも良くある失敗例になる。
例えば、手作りの強み(良さ)を効率優先の機械化(自動化)で失う、商品の付加価値を十分に顧客に発信していない、あるいは、商品の強みを磨いていない等のパターンは失敗の典型といえる。
なお、強みを見過ごす失敗パターンは行動を是正すれば一瞬で挽回できるが、強みを見誤る失敗パターンは取り返しのつかない事態を招くので、くれぐれも気を付けることをお薦めする。
また、小さな会社ほど、大企業の方針に追従した途端に強みが無くなるので、大企業との差別化を徹底することも忘れないでほしい。
顧客の創造に失敗する会社に限って、本業が曖昧になっている。
本業が曖昧だと事業カテゴリーや顧客ターゲットも曖昧になるので、必然的に顧客創造の活動がミスマッチに陥り易くなる。
また、本業の経営基盤が脆弱にも関わらず、多角化で顧客創造を狙うパターンも失敗リスクが高く、大概は多角化事業が低迷し、顧客創造に失敗する。
本業が盤石になるほど顧客創造が容易に運ぶので、顧客創造に陰りが出た時ほど本業回帰を意識することをお薦めする。
流通チャネルとは商品やサービスの流通経路のことだが、流通チャネルがフィットしないことで顧客の創造に失敗するパターンがある。
流通チャネルには、「自らの商品を顧客に直接販売するパターン」と「自らの商品を店舗や卸しを通じて間接販売するパターンの二つに大別できる。
最初から直接販売にこだわりすぎると販路の構築に時間がかかって顧客創造が停滞するリスクが高まり、間接販売一辺倒だと販売先の店舗や卸の衰退と共に顧客創造が減速する。
流通チャネルで顧客創造に失敗しない為には、常に会社を取り巻く環境、市場の環境、商品の特性等を考慮し、ベストの販路を構築する姿勢が欠かせない。
(この記事は2021年5月に執筆掲載しました)