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管理会計は会社の経営分析力を高める|中小企業の管理会計入門

管理会計は会社の経営分析力を高める

 

管理会計ほど優れた経営分析手法はない。

 

なぜなら、日常的に管理会計を運用していると、会社の経営状況が明快になり、経営判断や成長戦略を誤るリスクがグッと低下するからだ。

 

事実、管理会計を運用している中小企業の経営状況は極めて良好な一方で、管理会計を運用していない中小企業の経営状況は決まって芳しくない。

 

この記事では、管理会計の概要から管理会計の導入方法、並びに、管理会計の運用方法に至るまで、管理会計の基本を詳しく解説する。

 

 

 

管理会計とは?

 

管理会計とは、財務諸表等の経営データの数値を有益な情報に変換、管理、運用し、会社の経営分析力を高める会計手法のことである。

 

簡単にいえば、会社の数字を有益な情報に変換する優れた経営分析ツールである。

 

例えば、財務諸表に記載されている数字は紛れもない事実の羅列である。

 

財務諸表をみれば、資産がいくらある、負債がいくらある、売上がいくらある、利益がいくらある、など等、それぞれの実績金額を把握することができる。

 

しかしながら、資産と負債のバランスが適正なのか、売上の成長率は適正なのか、利益の水準は適正なのか、など等、会社経営の適正度合いを実績金額だけで判断するのは困難である。

 

つまり、何ら手を加えていない財務諸表等の経営データを眺めていても、データの性質や意味を知ることはできないのである。

 

そこで活躍するのが「管理会計」だ。

 

管理会計は、さまざまなデータ分析を通して、正しい経営判断を支える良質な根拠情報を生み出す。

 

言ってみれば、管理会計とは、「会社の数字」を「良質な情報」に変換するフィルターのようなものである。

 

 

管理会計と財務分析の違いとは?

 

管理会計と財務分析は、似て非なるものである。

 

管理会計は内部分析に活用する会計手法、一方の財務分析は外部公表を前提とした会計手法である。

 

財務分析は、どんな会社であっても、大よそ共通の公式や分析手法で会社の実態を外部に公表するために行う分析である。

 

財務分析の数字は、主に株式市場や投資家向けの判断情報になるので、極めて高い公平性と透明性が求められる。

 

一方の管理会計は、内部分析に活用する会計手法なので、いかに経営の実態を掴むか、或いは、経営に役立つ数字をいかに導き出すか、という点が運用の基本になる。

 

従って、業種業態によって計算手法が変わるし、その企業オリジナルの分析手法も沢山ある。

 

例えば、管理会計には、売上成長率、営業利益率、自己資本比率、など等の経営指標が数多く活用されるが、会社を取り巻く事業環境によって、経営指標の選別、経営指標の適正水準、経営指標の活用方法、など等の方針や基準が微妙に変わる。

 

当然ながら、管理会計の運用期間が長いほど、自社にマッチした内部分析のノウハウが蓄積され、管理会計の効果が高まるが、管理会計の運用期間が短いと、管理会計の効果は思うように出ない。

 

経営力を高めるには、管理会計を長期運用することが欠かせないのだ。

 

 

管理会計を導入すると経営力が高まる

 

管理会計を導入すると経営力が高まる。

 

なぜなら、管理会計を導入すると手元の情報精度が高まり、経営者の経営判断の精度が飛躍的に上がるからだ。

 

下のグラフは、中小企業の管理会計の導入率と赤字経営率を表したものである。

 

 

ご覧の通り、中小企業の管理会計導入率は20%程度、一方、管理会計未導入の会社は80%と云われている。

 

中小企業の70%が赤字経営と云われているので、管理会計未導入と赤字経営率は相関がとれている。

 

会社の大小関係なく、不確定要素が多い経営環境を、経験と勘だけで乗り切れるほど会社経営は甘くはない。

 

資本力に乏しい中小企業は、たった一つの判断ミスが致命傷になることがあり得るので、正しい根拠情報を導く管理会計なくして、安定経営は不可能といっても過言ではない。

 

例えば、陸上選手が100m走と10,000m走のどちらに出走しているのか分からずにスタートを切った場合、結果はどうなるだろうか?

 

考えるまでもなく、答えは明白だろう。

 

100m走と10,000m走では、出走するまでのトレーニング方法、ゴールまでのペース配分、全ての条件が変わってくる。

 

管理会計を無視した会社経営というのは、ゴールを知らずに走り出している陸上選手のようなものだ。

 

一等賞はもちろんのこと、一生、競争相手に勝つことは出来ないだろう。

 

 

管理会計は入門者でも簡単に習得できる!!

 

管理会計は、入門者でも簿記や会計の知識ゼロでも簡単に習得することができる。

 

なぜなら、管理会計(経営分析)は、原則、四則演算(加減乗除・+-×÷)の世界だからだ。

 

また、管理会計(経営分析)は会社の活きた数字を使うので、日常的に運用することで経営者の数字力がみるみる高まる。

 

運用開始から3ヵ月もすれば、数字に弱い社長が、数字に強い社長に変貌することも可能である。

 

但し、管理会計を導入するうえで気を付けるべきポイントがある。

 

それは、「継続性(継続したモニタリング)」だ。

 

管理会計で活用する経営指標、並びに経営指標の適正水準は、事業環境や業種業態、企業文化や経営者の方針によって変化する。

 

それぞれの企業に合った経営指標等は、管理会計を長期的に運用することでみえてくる。

 

継続性なくして、正しい経営指標等は見出せない。

 

従って、会社に管理会計を導入する場合は、まず初めにいくつかの経営指標の分析を定期化し、更に長期間継続することが不可欠になる。

 

会社に合った経営指標等が明確になると、経営分析の精度と共に、経営改善の効率が飛躍的に向上する。また、赤字経営に転落するリスクも著しく低下する。

 

 

管理会計を導入する場合のはじめの一歩は??

 

会社に管理会計を導入したいと考えても、どこから手を付けたらいいのか分からない、といった経営者もいるかも知れない。

 

そこで、管理会計を用いた経営分析を導入するうえで、はじめの一歩にお薦めの経営指標を紹介する。

 

紹介する4つの経営指標は業種業態関係なく、どんな会社にも通用する指標である。

 

損益面(収益性)

売上成長率売上総利益高営業利益率

資産面(安全性)

当座比率自己資本比率

 

それぞれの単語(ワード)をクリックすると各経営指標の詳しい解説がご覧いただける。

 

実際に、ご自身の会社の決算書を3期分手元に用意して経営分析してみてほしい。

 

管理会計を用いた経営分析が意外とやさしい手法であることが理解できると思う。

 

なお、経営指標の分析は、1ヵ月分、或いは、直近の決算書1期分の数字を分析しても、会社の経営実態は見えてこない。

 

決算書であれば、直近から過去3年から5年分の分析が必要だ。

 

点から線へ、線から面へというように、過去から現在までの一定期間の業績推移が分かると、経営実態が明らかになり、将来の業績予測も容易にできるようになる。

 

さて、損益面(収益性)と資産面(安全性)の分析結果は如何だったろうか?

 

良い方向に進んでいただろうか?

 

それとも、悪い方向に進んでいただろうか?

 

たった4つの経営指標であっても、過去3~5年分の数字を並べてみると、会社が良い方向に進んでいるのか、或いは、悪い方向に進んでいるのかを、一目瞭然で判別できる。

 

会社の数字は色んなことを経営者に教えてくれる。

 

例えば、売上総利益高営業利益率の水準が低い会社は、利益を上げるための経営改善策を真剣に考えるきっかけになる。

 

自己資本比率の水準が低い会社は、利益を拡大して、借金を減らし、純資産を増やすための経営改善策を真剣に考えるきっかけになる。

 

会社の数字を抜きにして、中小企業の安定経営を実現することは不可能に近い。

 

経験や勘が鋭いのに越したことはないが、更に数字にも強くなったら、経営者として言うことなしである。

 

管理会計を用いた経営分析手法は、決して難しいものではない。

 

本当に実効性のある僅かな経営指標だけでも、十分に効果のある管理会計を運用することができるのだ。

 

 

伊藤式管理会計の原点とは?

 

わたしが運用している管理会計は、次の3つの経験と体験をベースに独自開発したものである。

 

会計の専門知識を習得

 

わたしの場合、プロ経営者になるためには会計の知識は抑えておく必要があるだろうと考えて、税理士学校に通って、会計の勉強をスタートした。

 

丸5年間は平日の夜と土日を勉強漬けの日々にしたので、肉体的にも精神的にも大変だったが、会社経営に活かせる基本知識(民法・会計・税法・etc)がどんどん身についたので楽しさの方が勝っていた。

 

中小企業の経営で実践

 

会計の知識を習得する過程で思ったのだが、実は、会計や税法には会社経営の実務にそのまま活かせる知識は殆どなかった。例えば、成長発展に有効な経営分析手法、衰退予防に有効な経営分析手法、売上や利益拡大に役立つ経営分析手法、安定経営を実現するための経営分析手法、など等、会社経営の実務に活かせる知識は殆ど含まれていなかった。

 

わたしが幸いだったのは、会計を学びながら、中小企業の経営に参画していたことだ。この時期に、会計の専門知識と会社経営の実学をベースに、会社経営に有効な管理会計の経営分析手法を次々と開発した。巷の経営コンサルタントや税理士の先生が持っている会社経営の知識が如何に浅いものか思い知ったのも、この時期である。

 

中小企業の経営指導で実践

 

経営コンサルティング会社を設立(2008年)してまもなくから数十社の会社再建の仕事に恵まれた。会社再建は経営力を磨く最短の近道である。経営状態がマイナスからのスタートなので、経営力を総動員しなければ再建は成功しない。

 

1社、そしてまた1社と会社再建に関わるたび、薄皮を一枚一枚重ねるように自身の経営力と共に管理会計技術を高めていった。苦労も多く時間もかかったが、会社経営の原理原則と共に、会社経営の実務に有効な管理会計技術を身につけることができたのだ。

 

 

管理会計は経営者を救う優れたツール!!

 

管理会計ほど中小企業の成長発展を支えるツールはない。

 

なぜなら、中小企業の安定経営の実現、中小企業に適した経営戦略の展開等々、堅実な会社経営を行う上で、管理会計ほど役立つツールはないからだ。

 

例えば、倒産の危機に瀕するような中小企業は、例外なく管理会計を導入していなかった。

 

そして、経営者は全員、数字に弱かった。経営者が数字に弱いゆえに、会社が傾いたといっても過言ではないケースもたくさんあった。

 

衰退する中小企業でも、例外なく利益水準が高く、好調な時期がある。

 

好調な時期に、どうして経営者自身の経営能力を上げるための投資をしなかったんだろう?

 

或いは、会社再建の仕事に関わるたびに「好調な時期に管理会計さえ導入していれば、、、」と、忸怩たる想いを抱いたことは数知れない。

 

会社再建に支払う犠牲は半端なく大きい。

 

倒産経験のない経営者には想像がつかないかも知れないが、わたしは、倒産の危機に瀕するような会社は1社でも少ない方が良いと、心の底から思っている。

 

当サイトで貴重な経営ノウハウを無料で公開しているのも「黒字経営のうちに適切に判断できる経営環境を多くの中小企業経営者に提供したい」という想いがあるからだ。

 

会社の数字から顔を背けても何も発展しない。

 

会社の発展は会社の数字と正面から向き合うところから始まる。

 

そして、会社の変調は必ず数字に表れる。

 

普段から数字を理解していれば、きっと数字に救われる。そのためにも管理会計を導入し、経営者の経営分析力を高めることが欠かせないのだ。

 

➡NEXT「中小企業に適した経営指標と経営分析手法」へ

 

 

 

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