経営目標がない会社の業績は悪化する。
なかでも、利益目標や経営改善目標といった、安定経営の実現に不可欠な経営目標がない会社は、一時は調子が良くても、かなりの高確率で業績が悪化し、倒産の危機に瀕する。
この記事では、経営目標がない会社の業績悪化の仕組み、並びに、経営目標の効果的運用方法について、詳しく解説する。
なぜ、経営目標がないと業績が悪化するのかというと、今すべきことが曖昧になり、日々の経営が行き当たりバッタリになってしまうからだ。
経営が行き当たりバッタリに陥ると、業績の上下に一喜一憂することに終始してしまうので、事業拡大のビジョンとパワーが生まれてこない。
当然ながら、事業拡大のビジョンとパワーが弱いと、少しの経営環境の変化で会社の業績が悪化し、会社が簡単に衰退してしまう。
経営目標には、事業拡大のビジョンとパワーを生み出す効果がある。
例えば、経営目標を掲げると、現状と目標の間にあるギャップが明かになるので、やるべきことがハッキリする。
また、経営目標を掲げると、組織の力が一点に集中するので、業績拡大のスピードが加速度的に上がる。
事業拡大のビジョンとパワーが大きいほど、業績悪化のリスクは低下する。
つまり、企業の盛衰は、経営目標で決まるといっても過言ではないのだ。
中小企業の経営者に対して「経営目標はありますか?」と問いかけると、明確な答えを持っていない経営者が稀にいるが、経営目標がない会社経営ほどリスクの高いものはない。
業績悪化のリスクを解消し、会社をさらに拡大するためにも、明確な経営目標を掲げることをお薦めする。
経営目標は掲げれば良いというものではない。
なぜなら、的外れな経営目標は経営を迷走させ、業績悪化のリスクを一段と高めるからだ。
事業拡大に役立つ経営目標を運用するには、正しい経営目標の見つけ方と活かし方のふたつのポイントを抑えなければならない。
当たり前だが、経営目標の見つけ方を誤れば経営が迷走し、活かし方を誤れば経営目標の効果が無に帰してしまう。
経営目標をいかに正しく見つけ、いかに活かすかが、経営目標の運用精度を左右するのだ。経営目標の見つけ方と活かし方のポイントについて、それぞれ詳しく解説する。
正しい経営目標を見つけるには「会社の数字・顧客の声・ライバル企業の動向」などの情報を最低限、把握しなければならない。
事業活動のすべての結果が表れている会社の数字は、売上、経費、利益などを改善するための合理的かつ客観的な目標基準になる。しかも、数字ベースの経営目標は、現状と目標の乖離を常に数字で把握できるため、結果を出すための事業活動が一段と効率化される。
顧客の声やライバル企業の動向は、商品やサービスの付加価値を上げるための合理的かつ客観的な目標基準になる。顧客の声やライバル企業の動向をベースに経営目標を掲げると、商品やサービスの付加価値が磨かれて、市場での競争優位性が一段と高まる。
経営目標を正しく活かすには「情報の共有・数字の活用・期日の徹底」の3つのポイントを抑えなければならない。
経営目標に関わる情報を共有すると、現場スタッフの状況判断精度が向上するので、自ずと目標達成の事業活動が効率化される。
数字を活用すると、事業活動の検証精度が向上するので、自ずと目標達成に向けた事業活動が効率化される。
期日を徹底すると、経営目標を絶対に達成するという気迫と熱意が高まり、目標達成の成功確率が飛躍的に高まる。
最後に、経営目標がない中小企業によくみられる症状をチェックリスト形式で紹介する。
ひとつでも当てはまる項目があれば、経営目標の運用に問題があり、業績悪化のリスクを抱えている可能性が高い。
会社の現状とチャック項目を照らし合わせて、経営目標の運用に問題がないか否か、定期的に自己診断することをお薦めする。
☑会社の数字を把握していない
☑顧客の声を把握していない。或いは、顧客の声を経営に活かしていない
☑ライバル企業の動向を把握していない。或いは、ライバル企業の動向を経営に活かしていない
☑経営目標に関わる情報を社員と共有していない
☑経営目標の設定、検証、修正に数字を活用していない
☑経営目標に期日を設けていない
☑経営目標に向かって活動しているが、なかなか成果が上がらない(経営目標の設定ミス、検証ミス、修正ミスがある)
経営目標の設定・管理は会社のトップである経営者の重要な仕事です。この仕事をおざなりにすると経営が迷走し、衰退しやすくなります。物事の成果は目標に対して動くことで初めて生まれます。ですから、トップが経営目標を掲げて組織の力を一点に集中させることが重要です。