会社の生存は、資金繰りで決まる。
なぜなら、資金繰りが悪化し、現金が底をつくと、会社が倒産するからだ。黒字経営だろうが、いかに儲かっていようが、会社の資金がなくなると、会社はあっさり倒産する。
この記事では、売上増でも資金繰りが悪化する本当の原因について、詳しく解説する。
資金繰りが悪化する根本原因は現金の減少にあるが、現金の源泉になる売上を上げさえすれば、資金繰りが改善されるかというと、そうでもない。
売上が増加傾向にあっても、資金繰りが悪化している中小企業は沢山あるし、ある年の倒産企業の内、黒字倒産の割合が44.7%(東京商工リサーチ2012年調査結果)という結果もある。
つまり、売上が増えようが、黒字経営だろうが、資金繰りが悪化する中小企業は珍しくなく、資金繰り悪化の原因は単純ではないのだ。
また、資金繰りを改善する為に貸借対照表の理解が欠かせないことも、資金繰りの悪化原因を複雑にしている要因として考えられる。
損益計算書に馴染みのある経営者は多いが、貸借対照表を読み解ける経営者は決して多くない。
じつは、資金繰り悪化の原因は、貸借対照表のなかに隠されている。
従って、資金繰りの悪化に連動している貸借対照表のチェックポイントをモニタリングすることが、資金繰り悪化原因を捉える秘訣であり、効果的に資金繰りを改善する方法になる。
資金繰りの悪化原因が分かる貸借対照表のチェックポイントを、順を追って詳しく解説する。
資金繰りの悪化原因が分かる貸借対照表のチェックポイントは、「現金預金・売掛金(受取手形含む)・棚卸資産」の3つになる。
この3つの数字をモニタリングしていれば、資金繰りの悪化原因を捉えることができ、資金繰りを効率よく改善することができる。
現金預金は、常に増加傾向が適正基準になる。
減少傾向にある場合は、利益が減少している、或いは、売掛金と棚卸資産が増加している、のどちらかの原因で資金繰りが悪化している可能性がある。
利益を増やす、或いは、売掛金と棚卸資産を減らせば、資金繰りを改善することができる。
売掛金(受取手形含む)は、売上の増減と連動している。
例えば、売上増加分よりも売掛金が増えると資金繰りが悪化する、逆に、売上増加分よりも売掛金が増えなければ資金繰りが良好になる。
売掛金は回収してはじめて現金になり、資金繰りに役立つ資産になる。いかに早く売掛金を回収するかが、資金繰りを改善する秘訣になる。当然ながら、売上が一定なのに、売掛金ばかりが増えていくと、資金繰りは悪化する一方になる。
棚卸資産は、商品在庫のことで、せっかく利益を上げても、利益以上に商品在庫が増えると、資金繰りが悪化する。
例えば、期首からの利益が100万円増えたとしても、期首からの商品在庫が200万円増えれば、現金残高がマイナス100万円になり、それだけ資金繰りが悪化する。
また、商品在庫は現金化までのスピードが非常に遅いので、資金繰りを悪化させる大きな原因になり得る。
繰り返すが、会社の生存は資金繰りで決まる。
会社倒産の半数が資金繰りの悪化というデータもある通り、良好な資金繰りの実現なくして、会社の生存はないといっても過言ではない。
資金繰りの悪化原因は、売上を増やしても解消することはできない。また、損益計算書の数値を改善しても解消することができない。
資金繰り悪化の殆どの原因は、貸借対照表の中に隠されている。
貸借対照表の「現金預金・売掛金(受取手形含む)・棚卸資産」の3つの数字をモニタリングすることが、資金繰りの悪化原因を捉える秘訣であり、効果的に資金繰りを改善する秘訣になる。
他にも、利益以上に固定資産が増えている、利益以上に借入返済金がある、などの状況も資金繰りを悪化させる原因になり得る。
資金繰りの悪化を防ぐには、貸借対照表の理解が欠かせない。是非とも、この記事で解説した貸借対照表のチェックポイントのモニタリングを継続し、資金繰りの改善に取り組んでほしい。
売上を増やしても資金繰りは良くなりません。現金の源泉になる利益を増やし、更に、現金が眠る「売掛金と在庫」を減らす努力が資金繰りを改善する秘訣です。資金繰りは社長の仕事です。ですから、貸借対照表の理解を深め、資金繰り表も自分の責任で作成する事が大切です。
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