資金繰りは会社の生命線になる。
なぜなら、資金繰りに失敗し、現金が枯渇すると、いかに儲かっていようが、会社が倒産するからだ。
この記事では、5つの数字で資金繰りを改善する具体的方法について詳しく解説する。しっかり実践して、資金繰りの改善に役立ててほしい。
資金繰りは会社の生命線であり、会社経営の根幹を成す仕事になる。
なぜなら、会社は資金繰りで始まり、資金繰りで終わるからだ。どういう事かというと、資金繰りに失敗し、現金が枯渇すると、いかに儲かっていようが、会社が倒産するということだ。
売上が拡大傾向にあったとしても、資金繰りが杜撰な会社は黒字倒産のリスクが高まる一方になるし、黒字経営だろうが、赤字経営だろうが、資金繰りに失敗すれば、会社は簡単に倒産する。
ある年に倒産した企業のうち、黒字倒産の割合が44.7%(東京商工リサーチ2012年調査結果)という結果からも分かる通り、会社の成長と衰退は、資金繰りひとつで決まるといっても過言ではない。
資金繰りに失敗する根本理由は、経営者が現金の流れを把握していないことに尽きる。
また、資金繰りを改善するために見るべき数字の大半が貸借対照表に偏っていることも、資金繰りに失敗する原因として考えられる。(損益計算書は読み解けても、貸借対照表が読み解ける経営者はじつに少ない)
以下に、5つの数字で資金繰りを改善する具体的方法を解説するので、しっかり実践して資金繰りを改善してほしい。
資金繰りを改善するには、会社に現金を貯める必要がある。
現金を貯めるには、売上から経費を差し引いた利益を残さなければならない。
当然ながら、利益がなければ現金が残らないので、資金繰りは一向に改善されず、むしろ、資金繰りが悪化し、会社倒産のリスクが高まる。
また、一定の売上と利益では、少しの経営環境の変化で利益が吹き飛び、一気に資金繰りが悪化することもある。
資金繰りを改善するには売上と利益の拡大が不可欠であり、この二つの数字の動きを日頃から注意深くチェックしなければならない。
資金繰りとは、現金の流れを管理することなので、管理対象である現金残高は超重要な数字になる。
ひと月の入金がどの程度あるのか、月末の支払いがどの程度かかるのか、といった資金繰りを大きく左右する現金の流れは、貸借対照表の現金残高を見ることで分かる。
現金が増加傾向にある限り、資金繰りが悪化することはない。逆に、現金が減少傾向にある場合は、資金繰りが悪化している証拠なので、原因を突き止めて、早々に資金繰りを改善しなければならない。
当然ながら、資金繰りの悪化原因を改善しなければ、会社倒産のリスクは高まるばかりとなる。
なお、現金減少に伴う資金繰りの悪化は、以下に紹介する売掛金と棚卸資産の数字を見ることで防ぐことができる。
売掛金(受取手形含む)とは、商品代金の未入金残高のことだ。
売掛金等は回収してはじめて現金化されるので、売掛金が増加し続けると、資金繰りがどんどん悪化する。
例えば、売上1,000万円増加の一方で、売掛金残高が2,000万円増加すると、未回収の売掛金が1,000万円増加することになるので、その分、資金繰りが悪化する。
売上と売掛金の数字を絶えずモニタリングし、なお且つ、売上増加分よりも売掛金を減らす努力を継続することが、資金繰りを改善する方法になる。
売って終わりでは資金繰りは改善されない。売って回収してこそ、資金繰りが改善されるのだ。
棚卸資産とは、商品在庫のことである。
棚卸資産は販売されて、なお且つ、その販売代金が回収されてはじめて現金化されるので、棚卸資産が増加すると、資金繰りがどんどん悪化する。
例えば、利益1,000万円増加の一方で、棚卸資産残高が1,000万円増加すると、利益がそっくりそのまま棚卸資産、つまり、商品在庫に姿を変えたことになるので、利益分の現金が増えることはなく、資金繰りは一向に改善されない。
また、棚卸資産の現金化のスピードは、売掛金よりも遅いので、棚卸資産が増えることで資金繰りが悪化する威力は半端ない。
利益と棚卸資産の数字を絶えずモニタリングし、なお且つ、利益増加分を下回る範囲で棚卸資産の増減をコントロールすることが、資金繰りを改善する方法になる。
資金繰りは会社経営の根幹を成す仕事であり、中小企業においては、社長の重要な仕事でもある。
資金繰りに悩みを抱える中小企業経営者は少なくないが、この記事で解説した5つの数字をしっかり見ていれば、資金繰りの悩みは確実に緩和される。
見るべき数字のポイントは「売上拡大・利益拡大・現金増加・売掛金減少・棚卸資産減少」で、この5つの数字の傾向が逆に振れた場合は、資金繰り悪化のサインと捉え、速やかに数字の改善に取り組むことが大切になる。
資金繰りの失敗で会社が衰退するケースはじつに多い。
経営の成功と失敗は間違いなく資金繰りで決まるので、資金繰り改善に不可欠な数字を、日頃から厳しくチェックすることをお薦めする。