ビジネスチャンスは至るところに転がっているが、大きなビジネスチャンスをものにするには、チャンスを見つけて活かす二つの思考を身につけなければならない。
ひとつは「成功のチャンスは1回しかない」と考える思考、もう一つは「成功のチャンスは何度でも訪れる」という思考である。
前者は緻密な計画と全身全霊の姿勢が成功のチャンスを左右し、後者は計画の検証力と諦めない根気強さが成功のチャンスを左右する。
何れの思考もビジネスチャンスを見つけるため、或いは、ビジネスチャンスを活かすために不可欠な思考であり、正否も優劣もつけることはできない。
例えば、世界的企業であるアップル創業者のスティーブ・ジョブスは前者の思考を重要視した。
ジョブスは「成功のチャンスは一回しかない」という思考をベースに、たとえ完成間近の商品やサービスであっても、良くない部分が少しでも見つかると、発売を延期してでもゼロからやり直すことを躊躇なくやった。
「正しくやれるチャンスは一回しかない。良くない部分があった時、それを無視して、あとで直せばいいというのはダメだ。」とも語っていて、この思考をベースに数多くの大きな成功を収めている。
会社を経営していると、良くない部分を発見したとしても、販売に間に合わない、或いは、今更逆戻りできない、といった目の前の現実に流されがちになるが、たった一回の妥協が大きなビジネスチャンスを逃すことは良くあることだ。
また、ビジネスチャンスに限らず、不祥事の対応、新商品の品質レベル、新規事業の立ち上げ、など等、正しくやれるチャンスをふいにした結果、散々な結末を招くことは歴史が証明している。
ビジネスチャンスが花開くか否かは、今の行いで決まる。
今の誤りに気が付いていながら、その誤りを修正しなければ、ビジネスチャンスをものにすることは絶対にできない。今すべきことをやらずにチャンスがあると考えるのは、ただの怠慢なのだ。
前章で解説した「成功は一回しかない」という思考とは真逆の「成功のチャンスは何度でも訪れる」という思考で大きなビジネスチャンスを掴む例もある。
事実、成功のチャンスは何度でも訪れる、という思考をベースにビジネスで成功した経営者は数多にいる。
ただし、この思考には成功の条件がある。
それは、果敢な実行力と計画の検証力、並びに、成功するまで諦めない根気強さである。
成功のチャンスは何度でもあると言っても、努力すればチャンスが訪れるほど、ビジネスは甘くない。
やはり、正しい努力の上に成功のチャンスが何度も訪れるのであって、その前提なくして、ビジネスチャンスをものにすることはできない。
じつは、正しい計画を持っている中小企業は決して多くない。
せいぜい10社に2~3社程度であり、その他は計画を持っていたとしても内容が正しくない、そもそも計画を持っていない会社も珍しくない。
また、誤った計画をもとに努力している、或いは、計画の検証方法が正しくない、はたまた、努力の成果が出ないからといって途中で諦める中小企業も少なくない。
繰り返すが、果敢な実行力と計画の検証力、並びに、成功するまで諦めない根気強さがなければビジネスチャンスは決して訪れない。
今すべきことをやらずにチャンスが訪れると考えるのは、ただの怠慢なのだ。
思いがけずチャンスに恵まれることを「棚からぼた餅」という諺で例えられますが、大切なのは、そうしたチャンスを得るために、今すべきことに全力を尽くすことです。特にビジネスの世界においては、経営者のチャンスにかける実行力なり、決断力が脆弱だと、チャンスをものにすることはできません。