利益目標なくして、会社の拡大はあり得ない。
しかし、正しい利益目標の立て方を知っている中小企業経営者は決して多くない。
この記事では、会社を拡大する正しい利益目標の立て方、並びに、正しい利益水準から利益金額に至るまで、詳しく解説する。
利益目標なくして会社の拡大はあり得ないが、中小企業において、利益目標を運用している経営者は多くなく、中には、会社の利益すら見ていない経営者もいる。
然るべき利益目標がなければ合理性のない行き当たりバッタリの会社経営に陥り、会社を拡大することが難しくなる。
事実、利益目標がない中小企業の赤字経営率は非常に高い。
会社経営者の使命は利益拡大にある。
新しい価値観を顧客に提供し続け、なお且つ、競合他社に勝ち続けることができなければ、利益拡大は頓挫する。
そして、こうした成長投資の源泉は利益になる。
新しい価値観を提供するための開発投資、或いは、競合他社よりも優位な市場環境を構築するための成長投資は、すべて会社が生み出す利益が源泉になる。
利益目標なくして会社の拡大はあり得ないと云われる所以はココにある。
利益目標は3つの指標を使って立てると、会社の拡大を後押しする利益目標に仕上がる。ひとつは「率」、もう一つは「額」、そして「現金」である。
率は、掛け算の世界だ。プラスの率は儲けを加速するが、マイナスの率は損失を加速させる。つまり、利益目標の達成速度は、率によって決まる。
額は、足し算の世界だ。額は絶対的な利益目標を示すので、率で追いつかない利益拡大策を考えるきっかけを与えてくれる。
現金は、会社の生存を保障する唯一の要素だ。なぜなら、現金がなくなると、会社が倒産するからだ。利益の大きさと現金の大きさは比例関係に無いので、利益目標と共に現金残高の目標も掲げないと、経営に失敗するリスクが高まる。
売上拡大と共に、この3つの指標を使って利益目標を立てると、会社の拡大スピードが加速する。それぞれの利益目標の立て方について、順を追って詳しく解説する。
利益率の目標は、売上総利益高営業利益率を用いて立てる。
売上総利益高営業利益率とは、売上総利益に占める営業利益の構成比率のことだ。
業種業態関係なく活用できる指標なので、使い勝手の良い目標でもある。
売上総利益高営業利益率=(営業利益÷売上総利益)×100
利益率の目標水準は20%である。(標準水準は10%)
利益目標を目指して経営改善を進めると、会社拡大のスピードが一気に加速する。
利益金額の目標は、前年よりも大きい金額を目標にする。(金額指標は営業利益金額)
例えば、前年の利益金額が1,000万円であれば、今期の目標金額は1,500万円にする、というように、常に前年の利益を上回る目標金額に設定する。
利益率が目標水準に達している状態でさらに利益金額を増やすには、利益金額を目標に加えて、売上拡大と経費削減を同時に推進しなければならない。
率に加えて金額を利益目標に立てると、会社拡大のスピードが更に加速する。
率と額の利益目標と共に、現金水準の目標を立てることも重要だ。
なぜなら、安定経営を支えるのも、成長投資の原資も、すべて現金だからだ。
利益目標を達成したとしても、税金を支払えば現金が減る。また、せっかくの利益が売掛金や商品在庫に流れてしまっては、会社の現金は一向に増えない。
つまり、一定の現金を残さなければ、利益目標の達成効果が無くなってしまうのだ。
現金水準の目標は下記計算式の通りである。
現金目標水準=〔月商-(減価償却費+営業利益金額)〕×2
現金残高が目標水準に達した後は、前年を上回る現金残高を目標に立てて、現金残高の更なる拡大を推進する。
以上の通り、利益率、利益金額、現金水準の3つの指標を使った利益目標が、会社を拡大する正しい利益目標の立て方である。