管理会計とは会社の数字を、有益な情報に変換、管理、運用し、企業の経営力を高める会計手法のことである。
中小企業の安定経営を実現するうえで、管理会計ほど優れた効果を発揮するツールはなく、管理会計の有り無しで、会社の成長が決まるといっても過言ではない。
この記事では、中小企業の成長を後押しする管理会計の基本について、詳しく解説する。
管理会計とは会社の数字を、有益な情報に変換、管理、運用し、企業の経営力を高める会計手法のことで、計数管理や統計学も管理会計の範疇に入る。
管理会計は自社の数字の活用(分析)が基本になるので、運用するほどに経営采配の根拠、或いは、問題解決の糸口が充実し、会社の経営力が一段と高まる。
管理会計は決して難しいものではなく、例えば、当期と前期の売上を用いて計算する売上成長率のモニタリングも立派な管理会計になる。
売上という数字を管理会計にインプットすると、売上成長率という情報がアウトプットされ、その情報が経営采配の根拠や問題解決の糸口になる。
つまり、管理会計とは、会社の数字を良質な情報に変換させるフィルターのようなもの、ともいえる。
管理会計を有効に運用するには、会社の数字の活用が不可欠だが、管理会計にインプットする基本の数字は、決算書(月次試算表含む)の情報になる。
決算書(月次決算書)は、会社経営の実態を最も忠実に表しているので、決算書の数字は管理会計のインプットに最適な情報といえる。
例えば、決算書の実績金額を眺めただけでは、資産と負債のバランスが適正なのか、売上の成長率は適正なのか、利益の水準は適正なのか等々、会社経営の正否を判別することはできないが、管理会計に決算書の数字をインプットすると、有益な情報がアウトプットされる。
つまり、管理会計は、数字の羅列を有益な経営情報に変換し、経営をサポートする役割を果たしてくれるのだ。
また、管理会計は、幾通りにも及ぶ膨大な会社の数字(経営データ)を、有益な情報に整理・分類することも可能にする。
経営者の正しい判断と決断を支えるのは良質な情報なので、管理会計ほど安定経営をサポートするツールはない。
管理会計を会社に導入すると、経営判断の環境が飛躍的に向上する。
なぜなら、正しい根拠材料(判断材料)が沢山増えて、経営判断の失敗リスクが低下するからだ。
管理会計が導き出だす答えは実績の裏付けなので、この情報を頼りに経営采配している限りは、たとえ経営者の経験値が多少劣っていたとしても、経営判断を大きく誤ることはない。
管理会計は四則演算(加減乗除・+-×÷)の世界なので、簿記や会計の知識ゼロであっても、誰にでも習得することができるが、中小企業の管理会計導入率は極めて低い水準にある。
下表は、中小企業の管理会計未導入率と赤字経営の比率を表したグラフである。
ご覧の通り、中小企業の管理会計未導入率は8割と云われている。
中小企業の7割が赤字経営と云われているので、管理会計未導入と赤字経営は相関がとれており、管理会計なしの会社経営は、衰退リスクが極めて高いと言わざる得ない。
管理会計最大のメリットは、小さな変化をいち早く察知できる点だ。
業績悪化の小さな芽をいち早く察知できれば、会社が大きく傾くことはなく、赤字経営に転落するリスクも著しく低くなる。
管理会計の基本メリットはこの他にも様々あるが、主だったものを挙げると下記の通りである。
経営が可視化される。例えば、業績と適正値(目標値)とのかい離が一目瞭然で把握できる。また、会社の健康状態が把握できるので、経営判断の精度が一層高まる。
1年後の業績予測が可能になる。良い面も、悪い面も事前に対策を講じることが可能になり、より効率的かつ効果的な会社経営が実現できる。また、将来がみえることで漠然とした不安が払しょくされる。
具体的な経営課題が浮き彫りになる。重要度別に優先順位をつけて経営課題に取り組むことで、よりスピーディーに、会社を成長させることができる。
経営改善効果の数値変化が把握できる。自ずと経営改善効果の検証と実行サイクルのスピードが加速する。さらに、手ごたえをしっかり感じながら経営改善に取り組むことができる。
経営者の業績理解が深まり、経営者の数字力が高まる。また、経営者の決断力が高まり、会社経営の成功確率が格段に高まる。
管理会計は経営マネジメントの肝であり、経営者の必須スキルです。従って、管理会計の運用は成功企業の絶対条件になります。管理会計を運用すると決断と検証精度が高まりますので、自ずと、衰退リスクが低くなります。専門家の力を借りてでも、いち早く、自社にフィットする管理会計を構築することをお薦めします。