経営者の仕事は決断すること、と云われるように経営者にとって決断ほど身近なものはない。
会社の業績は、経営者の決断の連続で形作られていくので、正しい決断は会社の拡大スピードを加速させる。
一方、誤った決断は会社衰退のリスクを高め、経営者の不安の種を作り出す。事実、自分の決断を思い返し、得も言われぬ不安感に押しつぶされ、眠れない夜を過ごした経験のある経営者は少なくないだろう。
中小企業は、すべての決断が経営者に集中するので、決断に対してストレスを感じている経営者も少なくないと思うが、正しい決断を下すには、それなりの方法とコツを理解する必要がある。
もっとも重要な点は、決断に時間をかけないことだ。
なぜなら、決断が遅れるほど会社の成長スピードが鈍化するからだ。できる社長ほど、瞬時に決断する傾向が強く、わたし自身も、数秒で決断するように心がけている。
また、次の3つの選択を瞬時に決断することも重要だ。やるかやらないか、はたまた、決断の先送りである。
決断は、やるかやらないかの二者択一だけではない。決断の先送りも立派な決断だ。
例えば、やるかやらないかの二者択一の決断をした後に不安感が残る場合は、決断が誤っている可能性が高い。この場合は、決断の先送りを告げて、決断の根拠になり得る判断材料を速やかに再検証しなければならない。
当たり前だが、判断材料の再検証を求めない決断の先送りは、決断の放棄と変わらない。これでは、経営者の責任放棄と変わらず、会社の衰退リスクが高まるばかりとなる。
三者択一の決断を瞬時に下すことができるか否かが、会社の成長と衰退を分かつのだ。
経営者の決断力を高めるには、三者択一の決断を瞬時に下すスキルを磨くしかない。
決断のスキルを磨く方法は難しくない。決断の根拠になり得る判断材料の精度を高めること、これに尽きる。
入手した情報の内容を十分に精査し、判断材料の精度を高めることが、正しい決断、強いては不安のない決断を導く秘訣になる。
ちなみに、経営者の決断力を高めるための判断材料は、会社の至るところに転がっている。
例えば、事業活動のすべての結果が集約されている会社の数字、或いは、現場の声や顧客の声といった生の情報、又は、市場やライバルの動向などは、正しい決断を支える良質な判断材料になる。
また、物事が複雑化し過ぎて判断がおぼつかない場合は、物事を分解するか、相対比較で情報をシンプル化すると良質な判断材料に変換することができる。
繰り返すが、経営者の決断が遅れるほど会社の成長スピードが鈍化する。経営者の決断が1日遅れれば、成功が1日遠のくだけに止まらない。経営者の決断の遅れがライバルの台頭を許し、成功のチャンスを逃すこともあり得るのだ。
三者択一の決断を瞬時に下すスキルが身についているか否か、一度、チェックしてみることをおススメする。
経営者の仕事は決断する事です。決断の精度を上げるには、根拠情報の精度を上げる事が不可欠ですが、全ての決断に責任を持つマインドも大切です。決断の失敗を他人のせいにしているうちは決断力は上がりません。全ての決断の責任を経営者自身に帰結することが決断力を高める絶対条件です。