新人教育のコツと心構え|新人の教え方・育て方

新人教育のコツと心構え|新人の教え方・育て方

 

四月になると、街のあちこちで新入社員の姿をよく見かけるが、みんなハツラツとした顔つきで、じつに応援したくなる。

 

しかも、素直な心で初心を思い出させてくれるだけでなく、年齢を重ねることの自覚、責任、覚悟など、自分を見つめ直すよいきっかけも与えてくれる。

 

新人の社会的役割りは、案外、大きいのかも知れないと、つくづく感じるが、この記事では、新人教育のコツと心構え、並びに、新人の教え方・育て方に至るまで、詳しく解説する。

 

 

新人教育のコツ

 

毎年、新人を採用している中小企業は多くないが、新人教育や組織マネジメントに悩みを抱えている経営者はじつに多い。

 

儲かっていようが、儲かっていまいが、どうも、組織の悩みは経営者共通のテーマのようだ。

 

新人を教育して、いかにして立派な戦力に仕立てるかが、その後の会社の業績を左右するわけだが、新人教育のコツは、自主性と責任感を育てることに重きを置くことが大切だ。

 

顧客に幸せを与える人間(社員)になるには、自主性と責任感が不可欠だからだ。

 

 

新人教育の心構え

 

ソニー創業者の盛田昭夫氏は、新入社員に対して次のような言葉を贈っている。

 

「会社は学校ではないので教育する義務はない。一方、社員は、入社日から自分自身で考え、自らの責任で行動する義務がある。先輩や上司から教えを乞うことを期待してはいけないし、指導を受けることも期待してはならない。もし、自覚と努力が足りずに置き去りにされるのであれば、仕方のないことだ。」

 

この言葉が生まれた時代は、半世紀も昔だが、時代にマッチしない考えと一蹴することはできない。

 

事実、社会人たるもの、このような心構えなくして大成することはないと思うし、自分で考える自覚と努力なくして、自主性と責任感を習得することはできないからだ。

 

ソニーで働く知人に話を聞くと、実際の新人教育プログラムはかなり充実しているらしい。しかし、仕事の要求レベルは高く、根底には厳しさがしっかりある、と仰っていた。

 

世の中に面白い仕事をたくさん生み出しているリクルート社も、恐らく、同じような姿勢で新人教育をしている気がする。

 

また、ホウレンソウ(報告・連絡・相談))禁止や命令禁止で有名な未来工業も、きっと、同じような姿勢で新人教育を施し、好業績をたたき出しているのではないかと思う。

 

新人の自主性と責任感が立派に育つと、仕事に向き合うたびに「自分ならどうするだろうか?」或いは「自分ならこうする」というように、常に自分の意見を考えることができる思考力の高い人財に生まれ変わる。

 

このような人財を生み出すには、やはり、新人の自覚と努力を促す一定の厳しさが必要なのだ。

 

 

新人の教え方・育て方

 

新人教育は、社長と新人という人間同士のぶつかり合いなので、教える側も育てられる側も、お互いストレスがかかる。

 

ストレスを軽減するには、まずは、社長が新人を信頼することが大切で、そうした社長の姿勢に、社員は信頼し、ついてくる。

 

そして、喜怒哀楽の感情のうち、喜びと楽しさをなるべく共有することも重要だ。

 

例えば、「ありがとう」や「よくできた」など、社長にとっては何気ないひと言であっても、新人にとっては、とても嬉しいものだ。

 

新人のなかには、自宅に帰ってから家族に対して「社長にこんな一言をかけてもらえた」、「社長は自分の仕事を見てくれている」と嬉しそうに話す方もいる。

 

ちなみに、喜びと楽しさの感情は一瞬で萎む一方で、怒りや哀しみの感情は長く続いてしまう。

 

従って、喜びと楽しさは長く引っぱり、怒りや哀しみは後を引かない配慮を忘れないでほしい。

 

喜びと楽しさを持ったポジティブ思考の新人は明るく自信に満ち溢れているように見えるが、怒りや哀しみを持ったネガティブ思考の新人は暗く自信がないように見えてしまう。

 

会社にとって、顧客にとって、どちらが望ましい新人かは明白だろう。

 

 

新人教育のコツと心構えのまとめ

 

会社で働くということは、苦労するとういう事だ。

 

しんどいことも、辛いことも、叱られることもあるのが働くということだ。

 

最近は、叱られると「自分が嫌われている」と誤解し、上司と距離を置く新人も増えてきているようだが、これは、対人コミュニケーションの減少に伴う弊害の一つといえる。

 

こうした弊害を解消するには、叱ることは教育すること、教育することは自主性と責任感を育てること、自主性と責任感を育てることは社会で広く活躍できる人財に育てること、という新人教育の目的をよく諭し、厳しい社会環境に慣れさせることが大切だ。

 

(この記事は2019年4月に執筆掲載しました)