会社の成長と衰退は借金の仕方で決まる

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中小企業の借入限度額の計算方法

中小企業の借入限度額の計算方法

 

中小企業は上場企業に比べて資金調達の方法に限りがある。

 

資金調達の方法に限りのある中小企業にとって、最も一般的な資金調達方法は銀行借入だ。

 

銀行借入は中小企業の成長を後押しするメリットがあるが、借入金が会社の支払余力を超えてしまうと返済に苦しくなり、資金繰り難から経営が傾いてしまうことがある。

 

従って、中小企業経営者が銀行借入を検討する際は、事前に会社の借入限度額を把握することが欠かせない。

 

会社が銀行借入を検討する際に活用する経営指標を「借入限度額」という。

 

借入限度額の計算方法は、月商倍率で計算する方法が一般的である。業種業態によって範囲が広がるが、月商の1~5ヵ月が目安といわれている。

 

月商倍率の借入限度額計算式=(年商÷12ヵ月)×1~5ヵ月

 

下記は過去に会社再建で調査に入った年商50億円程度の中小企業の借入金の残高である。

 

A社:8億円

 

B社:10億円

 

C社:12億円

 

月商倍率で借入限度額を計算すると、(50億円÷12ヵ月)×1~5ヵ月=4億円~20億円となる。

 

A社、B社、C社、何れも適正な借入限度額の範囲内に収まっているので、借入金の残高に問題なし、ということになる。

 

ただし、、、

 

ひとつ注意しなければならない点がある。

 

それは、銀行借入は返済しなければならないということだ。

 

借入金を返済するには、借入金の返済原資となる利益を出すために黒字経営を継続しなければならない。

 

もし万が一、赤字経営に転落するとどうなるだろうか?

 

言うまでもなく、返済原資である利益がなくなるので、たちまち返済に滞ってしまう...。

 

 

実は、A社、B社、C社は何れも赤字経営だった。

 

A社:経常利益▲8千万円

 

B社:経常利益▲7千万円

 

C社:経常利益▲2千万円

 

借入限度額を月商倍率で計算すると「適正判定」という結果が出たが、経常利益が赤字であっては、返済原資がないので、借入金の返済に支障が出る。

 

借入金の返済が滞ると、場合によっては債務不履行で会社が倒産することもある。

 

このように、月商倍率で借入限度額を計算すると、返済能力の実態を見落としてしまい、銀行借入がきっかけで会社衰退のリスクが高まる場合がある。

 

 

返済能力を誤らない借入限度額の計算方法

 

月商倍率だけで借入限度額を計算すると、返済能力の実態を見落としてしまい、適正な借入限度額の判断を誤ってしまうことがある。

 

返済能力の安全性を考慮した借入限度額は、会社の「経常利益」を使った借入限度額の計算方法が有効だ。

 

借入限度額の計算式は下記の通りである。

借入限度額=過去3年分の経常利益の平均×50%×”5~10”

 

例えば、過去3年分の経常利益の平均が1,000万円であれば、1,000万円×50%×”5~10”=「借入限度額2,500万円~5,000万円」ということになる。

 

”5~10”と係数に幅があるのは、会社の経常利益が拡大中なのか、或いは、縮小中なのかによって、係数を使い分けるためである。

 

年商に関係なく、会社の収益性から借入限度額を計算するので、返済能力の安全性が考慮された借入限度額が分かる。

 

この方法で借入限度額を計算すれば、誤って多額の借入を行ったり、返済に苦しんだりすることはなくなる。

 

借入限度額を見誤り、多額の借入金を抱えてしまい、返済に苦しんでいる中小企業は少なくない。

 

もしも、既に借入限度額を超過している中小企業は、なるべく追加の銀行借入を行わずに、経営健全化を進めた方が良いだろう。

 

 

借入限度額を会社経営に活かすポイント

 

稀に「銀行借入=悪い経営」という論調を見かけるが、銀行借入中心に資金調達を行い会社を成長発展させることは決して悪いことではない。

 

例えば、銀行借入を積極活用した方が資金効率と投資効率が高まるので、会社の成長スピードが加速する場合がある。

 

ただし、繰り返しになるが、銀行からの借入限度額を見誤ると、返済に苦しむ事態に陥る可能性があるので注意は欠かせない。

 

お金を借りるということは、同時に、お金を返す義務が生じるということでもある。

 

そして、借入返済の原資は会社の売上(収入)ではなく、利益(収益)である、という点も重要なポイントである。

 

借入金を元手にした成長投資が売上と利益を押し上げれば問題ないが、期待に反して売上と利益が増えないことは珍しいことではない。

 

返済の苦労を予防するには、借入限度額を月商倍率で計算するのではなく、常に、経常利益をベースに計算し、なお且つ、借入限度額を絶えずモニタリングすることが大切だ。

 

然るべき借入限度額をモニタリングしていれば、次のような借入コントロールが容易にできる。

 

☑経常利益が増加したら借入枠を拡大して成長投資を拡大する

 

☑経常利益が縮小したら借入を停止して、利益拡大の経営改革を断行する

 

常に経常利益を基準に借入限度額を判定している限り、借入で失敗することも、返済に苦しむこともない。

 

➡NEXT「債務償還年数と預貸率の計算式と適正水準」へ

 

 

 

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