事業分析に役立つ数値指標と計算公式|事業活動をセルフチェックする

 

事業分析を定期的にセルフチェックすることはとても重要である。

 

事業活動の現状が分かれば、経営課題やライバルとの差が明確になり、経営改善の効率が格段に上がるからだ。

 

この記事では、事業分析に役立つ数値指標と計算公式について、詳しく解説する。

 

 

事業分析に役立つ指標「粗利率」

 

事業分析に役立つ「粗利率」について、詳しく解説する。

 

粗利率は経営者やビジネスパーソンにとって最も身近な指標だと思うが、事業分析においても非常に役立つ指標と言える。

 

粗利率は、正式名称を売上総利益率と言うが、事業活動の収益性を示す重要指標になる。

 

売上総利益率=(売上総利益高÷売上高)×100

 

粗利率が競合他社よりも高い場合の事業分析結果の典型例を挙げる。

 

  • 付加価値の高い商品を提供している
  • コスト吸収力が高く、競争優位性が高い
  • 原価(仕入)を低く抑えて、収益性の高い売上を獲得している

 

万が一、競合他社よりも粗利率が低い場合は、全て真逆の事業分析結果になるので、事業付加価値を高める為の対策を早急に打つ必要がある。

 

このように、粗利率を用いて事業分析するだけで「事業付加価値の良し悪し」が良く分かる。また、事業分析の結果に応じて先手先手で対策を打てば、効率よく粗利率を改善することができる。

 

 

事業分析に役立つ指標「売上成長率」

 

事業分析に役立つ「売上成長率」について、詳しく解説する。

 

売上成長率は、事業の成長率を示す指標で、事業の営業力・販売力・将来性等の分析に活用できる。

 

売上成長率=((当期売上高-前期売上高)÷前期売上高)×100

 

売上成長率が競合他社よりも高い場合の事業分析結果の典型例を挙げる。

 

  • 市場の将来性が大きい
  • 顧客からの信用信頼が大きい
  • 商品力・営業力・販売力・マーケティング力が高い

 

万が一、競合他社よりも売上成長率が低い場合は、全て真逆の事業分析結果になるので、商品力や営業力を強化する対策を早急に打つ必要がある。

 

なお、売上成長率の適正水準は5-20%の緩やかな成長曲線である。

 

成長率が20%を超える場合は、一時的な流行に乗っただけ、或いは、顧客サービスの悪化を招く可能性が高いので注意が必要だ。

 

また、売上成長率の公式を応用すれば、利益、顧客数、アクセス数などの成長率も計算でき、活用の幅を広げるほど事業分析の内容が充実する。

 

 

事業分析に役立つ指標「売上占有率」

 

事業分析に役立つ「売上占有率」について、詳しく解説する。

 

売上占有率は、顧客毎の売上の占有率を示す指標で、顧客の貢献度や依存度の分析に活用できる。

 

顧客毎の売上占有率が分かれば、貢献度上位の顧客を特定し営業攻勢を強める、或いは、貢献度下位の顧客を特定し集中的に育成するなどの戦略を効率的に展開することができる。

 

また、売上占有率の高低は、そのまま事業リスクに直結するので、リスクマネジメントの観点からも、とても役立つ指標と言える。

 

売上占有率=(顧客単体売上高÷全体売上高)×100

 

売上占有率は1社当たり10%以下が目標になる。すべての顧客が目標に収まっている場合の事業分析結果は以下の通りである。

 

  • 下請構造になっていない
  • 連鎖倒産のリスクがない
  • 販売網のリスクヘッジができている

 

万が一、売上占有率10%を超える顧客が1社でもいる場合は、全て真逆の事業分析結果になるので、新規顧客や販売網を開拓するなどして、大口顧客の占有率(依存度)を下げる努力が必要になる。

 

なお、売上占有率は、顧客単位だけではなく、販路別(法人・個人,小売・卸売、実店舗・ネット、直接販売・間接販売等)の分析にも活用できる。当然ながら、多角的に分析するほど、事業リスクがより明快になる。