経営コンサルタントの資格・仕事内容・料金相場・相談効果まで徹底解説

経営コンサルタントの資格・仕事内容・料金相場・相談効果まで徹底解説


経営コンサルタントは、経営の専門家として会社経営(主に社長業)をサポートする職業だ。


その前提から言えば、経営の専門家ではない人間は経営コンサルタントではなく、会社経営の本質である事業の永続性をサポートできない人間も、経営コンサルタントとは言えない。


この記事では、私のこれまでの経験から、経営コンサルタントの定義、資格や仕事内容、経営コンサルタントの料金相場や相談効果に至るまで、詳しく解説する。



経営コンサルタントとは


わたしは経営コンサルタントとして数十年のキャリアを積み重ねて、様々な会社経営に関わってきたが、経営コンサルタントという職業に対する社会の認識はじつに曖昧だ。


そうした背景もあってか、経営コンサルタントという職業が独り歩きしている風潮を強く感じるし、然るべき能力を持ち合わせていない経営コンサルタントに会社を食い物にされた衰退企業の実例も数多に見てきた。


私の個人的定義ではあるが、経営コンサルタントとは、経営の専門家として会社経営(主に社長業)のサポートをする職業だ。


従って、経営の専門家として、会社経営の本質である事業活動の成長発展と永続性をサポートできない人間は、経営コンサルタントとは言えない。


また、経営の専門家ではない、弁護士、税理士、会計士等の士業、或いは、事業の一部分のアドバイザーを主業務とする部分コンサルタントも、経営コンサルタントとは言えない。


経営の専門家であり、企業の永続性を高められる人間こそが、正真正銘の経営コンサルタントである。


経営コンサルタントの始まり


経営コンサルタントの始まりは、現代経営学や経営マネジメントの発明者である「ピーター・F・ドラッカー(1909-2005年)」と云われている。


ドラッカーは、世界的企業の経営コンサルから地域密着型の慈善団体の経営コンサルまで、幅広いジャンルの経営をサポートしたことで知られているが、生涯、どの組織にも属さず、経営者とマンツーマンのスタイルでの経営コンサルティングを貫き通した。


経営コンサルの依頼電話もドラッカー自身が対応し、面談の調整も本人がしていたらしいが、


経営コンサルは企業のトップに寄り添い、高い専門性を発揮しなければならない仕事なので、ドラッカーの経営コンサルスタイルは理にかなっており、わたし自身も、ドラッカーの経営コンサルスタイルを踏襲している。


一方で、ドラッカーとは別のスタイルの経営コンサルティングを構築した大手コンサルティングファームが誕生したのも、この時代だ。


マッキンゼー・アンド・カンパニー、A.T.カーニー、少し時代が下り、ボストン・コンサルティング・グループなどの大手コンサル企業は、今もなお、世界的規模で業務を展開し、コンサル業界に君臨している。


経営コンサルタントの資格


経営コンサルタントと名乗り、経営コンサルタント業務を始める上で必要な資格は一切ない。


経営コンサルタントという職業の胡散臭さ、或いは、経営能力のない経営コンサルタントが生まれる背景には、資格がないというハードルの低さが一因として考えられる。


誰でも参加できるのが経営コンサルタントという職業ではあるが、わたしが思う経営コンサルタントの資格(定義)は、前章で解説した通り、「経営の専門家として会社経営の本質である事業の永続性を高められる人間」という一点に尽きる。


その資格を得るために最低限必要なことは「社長業の実務経験・会計法務の知見・士業との連携力」の三点だ。


社長業の実務経験があれば、社長の心情に寄り添い、自信を持って社長の決断をサポートすることができる。


会計法務の知見があれば、経営資料から有益な情報をキャッチアップできるし、専門性の高い課題に対してはベストなタイミングで士業の先生方との連携も取れる。


以上の特徴を持ったコンサル、あるいは、コンサルチームを活用すれば、社長業の精度が上がり、事業成果が拡大し、自ずと企業の永続性が高まる。


経営コンサルタントの仕事内容


経営コンサルタントの仕事は、ドラッカーのようなマンツーマンタイプの経営コンサルタントと、世界的規模で展開している大手コンサル企業とでは、目的(目標)は一緒であっても、その仕事内容は異なる。


わたし自身がマンツーマンタイプの経営コンサルタントなので、ここでは、私の経営コンサルタントとしての仕事内容をご参考までに解説する。


経営コンサルタントの仕事内容は、経営相談、経営診断、経営サポートの三種類に分かれる。(このほかにも講演、執筆、セミナー等もあるが割愛する)


経営コンサルの仕事Ⅰ「経営相談」

経営相談は、業種業態関係なく、あらゆる企業経営者の相談に応じている。社長様との対話を通じて、会社経営のリスクとチャンス、あるいは、個別の悩みにアドバイスを提供することが主になる。私の場合は初回30分無料、その後は30分ごとに1万円の相談料を頂戴している。初回の経営相談を無料で対応しているコンサルは多いので、単純に知見を得るために活用する手もある。また、コンサルと対面した時に相性や実力を確認することも忘れないでほしい。


経営コンサルの仕事Ⅱ「経営診断」

経営診断も、相談と同様、業種業態関係なく、あらゆる企業の分析診断に応じている。こちらが指定する経営資料を提出頂き、2ヵ月ほどの時間をかけて経営診断、並びに、あるべき姿を提示することが主になる。診断報酬は企業規模や分析の作業量によって変わるが、私の場合は概ね100万円からお受けしている。また、経営サポートをお受けする際は、会社の現状を社長様と共有するために、必ず経営診断をしてから臨んでいる。


経営コンサルの仕事Ⅲ「経営サポート」

経営サポートも、相談や診断と同様、業種業態関係なく、あらゆる企業のサポートに応じてる。経営の専門家として社長様に寄り添い、会社経営の本質である事業の永続性を確立するために全力を尽くしている。失敗の許されない仕事という意識を持って「報酬以上の利益をお返しすること」を信条に掲げて、一発全快、全力全速で経営サポートにすることを基本スタンスにしている。【さらに詳しく知りたい方はこちらの企業サイトをご覧ください


経営コンサルタントの報酬相場


経営コンサルタントの料金・報酬・費用相場はあってないようなものだが、


有能な経営コンサルタントの月額基本報酬は20~50万円が適正な相場(注:中小企業の相場)といえる。


単発の経営相談の料金相場は一時間当たり1~3万円、単発の経営診断(デューデリジェンス含む)の料金相場は100~200万円(年商100億超は500~1,000万円が相場)程度が適正な相場といえる。


また、経営コンサルタントに出張や同行を依頼する場合の日当料金の相場は、一日当たり10~20万円が適正な相場で、経営コンサルタントの旅費交通費や食事代等の実費も負担するのが一般的である。


年商2億円以下の小規模事業者の場合は、通常よりも低い料金設定をしているコンサル会社が多いので、依頼を検討する際は、こちらの年商規模と希望予算を伝えて見積もりを確認するとよい。


経営コンサルタントの相談効果


経営コンサルタントの相談効果は様々あるが、最も大きな効果は「リスクが減り、チャンスが増える」ことだ。


経営コンサルタントに相談すると、会社の経営課題と課題解決のための有益なアドバイスを得ることができるからだ。


自分の力だけで、会社経営のリスクとチャンスに気が付くには限界がある。


やはり、経営コンサルの力を得て社長業に客観性と専門性を持たせた方が、確実に、リスクが減り、チャンスが増え、社長業の精度が上がる。


また、会社が飛躍するチャンスは「今すべきことに全力を注ぐ」ことで得られるが、今すべきことの優先順位を見誤るリスクがなくなるメリットもある。


定期的な経営サポートが一番効果的(長い目で見れば費用対効果が最も高い)ではあるが、数万円の経営相談であっても、飛躍のチャンスが見つかると思えば、じつに安い買い物と言える。


中小企業の経営コンサルタント活用術


企業の盛衰は経営者の能力で決まる。


従って、経営者の経営力を補強するために、経営コンサルタントをブレーン(経営参謀)として活用することは、とても効果的であり、実に賢い選択だ。


経営相談をスポットで活用するなど、わずかな費用でうまく経営コンサルタントを活用することはいかようにもできる。


経営コンサルタントは業績が悪化した時に活用する存在だと思っている経営者は少なくないが、それは間違っている。


会社(経営者)の成長を一段と加速させたい時、あるいは、経営を一段と安定させたい時に活用するのが、経営コンサルタントの効果的な活用法である。


儲かる会社経営を実現するために会社の経営力を本気で上げたいと思っている経営者は、遠慮なく、どんどん経営コンサルタントを活用することをお薦めする。


(この記事は2019年1月に執筆掲載しました)


筆者プロフィール

ビジネスコンサルティング・ジャパン(株)代表取締役社長 伊藤敏克。業界最大手の一部上場企業に約10年間在籍後、中小企業の経営に参画。会社経営の傍ら、法律会計学校にて民法・会計・税法の専門知識を学び、2008年4月に会社を設立。一貫して中小・中堅企業の経営サポートに特化し、どんな経営環境であっても、より元気に、より逞しく、自立的に成長できる経営基盤の構築に全身全霊で取り組んでいる。経営者等への指導人数は延べ1万人以上。主な著書「小さな会社の安定経営の教科書」、「小さな会社のV字回復の教科書」