会社の利益を上げる10の方法(管理編)

会社の利益を上げる10の方法(管理編)

 

会社成長の大原則は「売上の最大化と経費の最小化」を同時に進めること、つまり「利益の最大化」にある。

 

なぜ、利益の拡大が会社の成長を支えるかというと、成長投資、内部留保、報酬増額、付加価値、事業価値など等、会社の成長発展を支えるすべての要素が「利益」から生まれるからだ。

 

また、会社はお金が無くなると倒産するが、会社のお金の源泉も利益になる。さらに、未上場で資金調達手段に限りのある中小企業は、利益体質が健全でなければ十分な内部留保も資金調達もできない。

 

つまり、中小企業においては、利益拡大なくして会社の存続はない、といっても過言ではないのだ。この記事では、会社の利益を上げる10の方法を管理編と戦略編に分けて、詳しく解説する。

 

 

見るべき利益を見る

 

会社の利益を上げるために経営者が見るべき利益は、本業の儲けを示す「営業利益」になる。

 

なぜなら、営業利益を見ずして、会社の利益を上げる正しい経営采配、或いは、優れた経営アイデアなどは生まれないからだ。

 

うちの会社は利益が沢山でていると自慢する経営者に限って、営業利益のひとつ手前の利益指標である売上総利益、いわゆる「粗利(あらり)」のことを言っているケースが多い。

 

このような会社の損益状況のフタを開けてみると、赤字経営、或いは、経営者自身が十分な報酬を得ていない、ということも珍しくない。

 

粗利から経費を差し引いた本業の営業利益、つまり、会社の真の儲けがどの程度あるのかを理解せずして、利益を上げる采配など出来るものではない。

 

むしろ、売れば売るほど損失が増える赤字商品や赤字取引を生み出すリスクが高まり、衰退することもあり得る。

 

中小企業が利益を上げるためには、経営者が「営業利益」をしっかり見ることが大切だ。

 

 

利益目標を立てる

 

会社の利益を上げるために、然るべき利益目標を持っている中小企業は決して多くない。

 

目標には現状課題を浮き彫りにする役割があるので、目標のありなしで、会社の経営効率は天と地ほど変わってくる。

 

例えば、目標のある経営は、明快な行動原理のもとで社員の動きがキビキビするので、自ずと事業活動が効率的なものになり、利益がどんどん上がる

 

会社の利益目標にお薦めの指標は「売上総利益高営業利益率」になる。

 

売上総利益(粗利)に占める営業利益の構成比率のことで、どんな業種業態の中小企業にも使える便利な利益指標で、計算式は下記の通りである。

 

売上総利益高営業利益率=(営業利益÷売上総利益)×100

 

売上総利益高営業利益率20%以上が目指すべき利益目標になり、20%を下回っている場合は、利益目標に向かってひたむきに経営改善を推進する必要がある。

 

但し、売上総利益高営業利益率が20%以上であっても、設備更新が不十分、社員への報酬還元が不十分、取引先を泣かせている、など等、誰か(何か)の犠牲の上に成り立っている利益は不健全だ。

 

この場合は健全な利益体質に是正した後に、再度、利益水準を測定する必要がある。

 

また、売上総利益高営業利益率が20%であっても、営業利益金額が少なすぎると安定経営に支障が出る場合があるので、売上拡大も必ずセットで運用しなければならない。

 

中小企業が利益を上げるためには、経営者が然るべき利益目標を立てて、経営の効率化を推進することが大切だ。

 

 

ムダと利益ロスをなくす

 

会社の利益を上げるために解消すべきムダな利益ロスは、会社の至るところに潜んでいる。

 

売上の中には赤字商品や赤字取引が、仕入の中には不良在庫や割高な条件が、経費の中には売上にさほど貢献してない惰性コストがなど等、会社の収支の中にはムダな利益ロスが必ずある。

 

1円のムダは、即、1円の利益ロスに繋がる。つまり、ムダの解消は、即効的に利益を上げる効果がある。

 

また、事業収支の他にも、働き方にもムダな利益ロスが潜んでいる。例えば、働き方ひとつとっても、非効率な受発注体制、営業体制、製造体制などはムダの温床の典型に挙げられる。

 

人件費は会社のコストの大部分を占めているので、働き方のムダ解消は大きな利益改善効果がある。

 

中小企業が利益を上げるためには、会社に潜んでいるムダとロスをなくす努力が欠かせない。

 

 

経営課題を見落とさない

 

経営課題とは、会社の存続を妨げるリスクのことだ。

 

会社が倒産する最大の理由は「経営課題の見落とし」だが、どんなに小さな経営課題であっても見落とし続けると大きなリスクに育ち、会社の衰退を招く。

 

会社が衰退するということは、利益が先細るということなので、「経営課題の見落とし」と「利益の減少」は対の関係にある。

 

逆にいえば、経営課題を解消し続けている限りは、利益が上がり続けるともいえる。

 

経営課題は、これで終わりという終点がない。

 

なぜなら、世の中の変化、社会や技術の進歩、競合他社の台頭、など等、会社経営を取り巻く環境が変化すると共に、新たな経営課題が生まれ続けるからだ。

 

中小企業が利益を上げるためには、経営者が経営課題を見落とさないことが何よりも大切だ。

 

 

経営改善を継続する

 

経営改善の目的を端的にいうと「利益の最大化」である。

 

従って、利益最大化のための経営改善を実践しなければ、利益が上がることはなく、経営改善を継続することこそが利益を上げる唯一の方法といっても過言ではない。

 

経営改善を成功させるには、正しい現状認識と目標設定が不可欠だ。

 

なぜなら、正しい現状と目標の間にあるギャップ(経営課題)を捉えることが、経営改善の成功の秘訣だからだ。

 

例えば、

 

☑売上が増えているのに利益が増えない

 

☑経営改善の効果(利益増加)が一向に実感できない

 

といった症状が出ている会社は、現状認識と目標設定を誤っている可能性が高い。

 

誤った現状認識や目標設定から端を発した経営改善にいくら一生懸命に取り組んでも、売上は上がらず、むしろ、衰退まっしぐらということもあり得る。

 

中小企業が利益を上げるためには、第一に正しい現状認識と目標設定をしたうえで、正しいギャップ(経営課題)を捉えることが重要で、その上で正しく捉えた経営課題を解消すべく経営改善を継続することが、利益を上げる正攻法になる。