売上至上主義のダメな経営者|売上一辺倒の弊害と失敗リスク

売上至上主義のダメな経営者

 

高度成長期(1950~1970年代)の規模拡大の名残なのか、未だに、会社の至上目標に「売上」を掲げている売上至上主義の経営者を見かける。

 

売上を経営の至上目標に掲げる経営方針を「売上至上主義」というが、売上しか見ていない経営者は、ダメな社長の典型例である。

 

この記事では、売上至上主義のダメな経営者の事例について、詳しく解説する。

 

 

売上至上主義のダメな経営者

 

売上しか見ていない経営者は、ダメな社長の典型例である。

 

確かに、会社経営において売上を拡大することは欠かせないことだ。

 

会社の事業活動は売上を作るところから始まり、さらに、会社の成長発展を実現するためには、売上の拡大が不可欠だからだ。

 

こう考えると、売上拡大のために「売上至上主義」を掲げること自体に何の問題もないように思えるが、会社の成長に必要な要素を考えると、売上拡大と共に見落としてはならない大切な要素がある。

 

それは、会社の利益だ。

 

会社の売上と利益は、夫々持っている性質が全く違う。

 

売上とは、会社の商品やサービスに対して顧客が支払う対価のことだ。

 

対価の中には売上を作るために要した経費が含まれていて、対価よりも経費が多いと赤字経営になり、逆に、対価よりも経費が少ないと黒字経営になる。

 

この黒字経営の時に生み出されるプラス収支が「会社の利益」で、この利益が成長投資の原資となり、会社の成長を支える重要な要素になる。

 

売上拡大も成長投資も利益が源泉であり、利益がなければ会社は衰退するばかりとなる。衰退の先は、会社の倒産だ。

 

売上至上主義の欠点は、この「利益」の重要性を見落としているところにある。

 

 

売上至上主義の弊害とリスク

 

経営者が「会社の利益」を重要視せずに、売上至上主義に走ると、倒産リスクが高まる。

 

例えば、倒産リスクを高める売上至上主義の経営者にありがちな思考例を紹介する。

 

▶「今月は先月よりも売上が〇〇%多かった」

 

▶「ゆえに会社の経営状況が良好である」

 

このような思考では、売上の増減に一喜一憂するばかりで、肝心の利益の増減まで意識が届かない。

 

売上が増加している一方で、利益が減少し、赤字額が拡大していることはよくあることだ。

 

また、経営者が売上至上主義を追求するあまり、「人員を増員しても構わないので売上を増やせ」、或いは、「とにかく広告をだして売上を増やせ」という命令を下すケースもあるが、これも利益意識が欠落した売上至上主義者のよくある思考例になる。

 

☑売上と共に人件費が増加して利益が減少したら?

 

☑売上と共に広告費が増加して利益が減少したら?

 

経営者の誤った命令で会社の利益が減少してしまったら本末転倒もいいところだ。

 

 

売上一辺倒は危険な経営姿勢

 

売上が増加する一方で利益が減少すると、会社の資金繰りが徐々に苦しくなる。

 

資金繰りが苦しくなると、益々、売上拡大にひた走る経営者がいるが、これでは倒産まっしぐらである。

 

売上拡大を目指すことは決して悪いことではない。

 

大切なのは、売上拡大と共に「利益」を見落とさないことである。

 

経営者の頭のなかに「利益」という意識が常にあると、会社の経営は全く質の違うものになる。少なくとも、赤字経営に陥るリスクは格段に低くなる。

 

伊藤のワンポイント
 

売上至上主義だけでは会社経営はうまくいきません。安定成長を目指すのであれば、売上拡大と共に、しっかり利益を出し、モラルある采配を下し、顧客と社員の満足度を高める努力が不可欠です。利益意識の欠落した売上至上主義の中小企業はとても多いですので、絶えず、利益を意識することを忘れないでください。