経営者に必要な能力が不足した場合の弊害 その2|経営に失敗する社長の特徴

経営者に必要な能力が不足した場合の弊害 その2

 

倒産の危機に瀕する中小企業の経営者は、総じて経営能力が低い。

 

経営者に必要な能力が不足した場合の弊害は、会社の業績悪化だけに止まらず、社員のストレスの元凶になり、社員を不幸に導く先導者になるケースもある。

 

経営能力の低い経営者の弊害は、反面教師として、或いは、経営改善のヒントとして有効に活用することができる。

 

以下に紹介するケースは、わたしが過去に再建に関わった調査先企業に提示した調査レポートの一部抜粋になる。

 

経営者の能力不足が招く会社経営の弊害は衰退リスクを飛躍的に高める。経営者自身の日頃の言動と照合し、定期的にセルフチェックすることをお薦めする。

 

 

経営者起因の弊害「C社のケース」

 

社員は経営者の資質と、家族で牛耳られている不透明な経営姿勢に不信感を抱いています。先ずは、家族と経営者自身の公私混同を改め、社内外の関係者に公平且つ公正な態度で接し、透明性のある経営をすることです。

 

殆どの社員は会社の危機的経営状態を認知していませんでした。経営者が経営情報を開示し、具体的な経営目標指標を社員に提示しないということは、経営を放棄していることと同じです。

 

経営指標・経営目標がなければ、社員は自身の仕事の成果に手ごたえを感ずることができません。経営者は、月単位の経営情報(主に損益計算書)を社員に開示し、然るべき目標を社員に提示し、リーダーシップを発揮する必要があります。

 

多くの社員は、経営者から使用人か奴隷のような扱いを受けていると感じています。これでは、双方の信頼関係が築けないだけでなく、愛社精神も育ちません。社員がいなければ会社は運営できず、経営は成り立ちません。このことを自覚して、日頃から、社員を愛し、感謝の気持ちをもっと持つことが大切です。

 

赤字経営の放置、社員への対価支払の拒絶、費用対効果の検証放棄、保守修繕の要請無視等々、正常なコスト感覚ではありません。会社にとって何が大切か、優先順位をつけて客観的に判断し、必要経費を投じることが大切です。

 

会社を良くするも悪くするも経営者の能力次第です。社長業を一から学ぶ必要があります。

 

 

経営者起因の弊害「D社のケース」

 

社員は経営者の経営姿勢を問題視しています。また、身内で牛耳られている不透明な経営姿勢、知人・友人を優遇した人事、男尊女卑の人事、経営方針に、不信感を抱いています。

 

経営者としての資質を磨くにはこれからの経験と努力が必要ですので、時間が多少かかります。先ずは、経営者自身の公私混同や不公平人事を改め、社内外の関係者に公平公正な態度で接することが重要です。

 

また、経営指標、経営目標は、精神論などの抽象的な目標ではなく、具体的な経営数値目標と指標を社員に示さなければなりません。そのうえで、経営目標を社員と共有し、経営を行うことをお薦め致します。

 

経営方針が行き当たりバッタリ、現場に情報が伝わる前に変わる、伝わっても長続きせずに立ち切れになる、等々、経営方針に一貫性がないと、多くの社員が指摘しています。

 

考えられる原因は、現場の意見を聞かずに決めた決定事項を、一方的に押し付けるところにあります。

 

会社の方針や取組みを決める際は、先ず、広く現場の意見を聞いて、現場のスタッフに賛否を協議させて、その意見を参考に決めることをお薦めします。

 

会社の方針や取組みに一貫性がないと、社員にもお客様にも会社の文化が伝わりません。独自文化を作り上げるためにも、会社の基本方針や経営姿勢は一貫性のあるものでなければなりません。

 

 

経営者の能力不足を解消するには?

 

中小企業は、経営者一人の能力次第で会社の業績の良し悪しが決まる。

 

上記実例に、少しでも心当たりがあるようであれば、早急に是正することをおススメする。

 

伊藤のワンポイント
 

社員は常に経営者の背中を見ているので経営者の本性(真実)を良く理解しています。中小企業は経営者の能力で業績が決まります。常に客観性と謙虚さを持って社員の声に耳を傾け、業績不振に陥った時は自身の至らなさを補う努力を懸命にしなければなりません。そうした姿勢が、社員との信頼関係を強固にするのです。