組織力が向上すると業績が上がり、組織力が低下すると業績が下がる。
組織力と業績は比例関係にあり、中小企業においては社員数が少ないほど、組織力が業績に及ぼす影響が大きくなる。
この記事では、中小企業の組織力向上に役立つ代表的なツールについて、詳しく解説する。
組織力の低下で業績が悪化する中小企業はじつに多く、事実、過去に再建調査に入った中小企業は、組織に深刻な問題を抱えていて、組織力が著しく低下していた。
組織力の低下は、企業の衰退に直結する由々しき問題なので、いかに組織力を向上させるかが、中小企業の安定経営を実現するポイントになる。
組織力を形成する社員の力は、経営者の活用次第で100の力が0にもなれば200にもなる不思議な経営資源である。
社員の力を最大限に引き出し組織力を高めるのは経営者の役目であり、限られた人材をいかに活用して、いかに組織力を向上させるかが経営者の腕の見せ所といえる。
組織力を向上させる方法は様々あるが、組織力向上に役立つ代表的な3つのツールを以下に解説する。
経営理念は組織力向上に役立つ重要なツールになる。
なぜなら、企業の方向性を示す経営理念を掲げると、組織の力が一点に集中し、自然と組織力が高まるからだ。
残念ながら、経営理念を有効活用している中小企業は決して多くないが、組織力向上ツールとして経営理念を上手に活用してほしい。
経営理念を定める際のポイントは、会社の使命、存在意義、経営姿勢、将来像、顧客像、提供価値等の事業目的の要素を具体的に明文化することが大切で、仕上がった経営理念を社員と共有することも必須条件になる。
社員と共有できていない経営理念は絵に描いた餅と一緒で、組織力の向上に少しも役立たない。
組織図も、組織力向上に役立つツールになる。
なぜなら、組織図は、社員の責任と役割を明確に示すからだ。
組織の秩序を保つには、上下関係、責任所在、役割分担を明確に示す組織図が不可欠である。
例えば、組織図の運用に失敗している中小企業の多くは、組織の秩序が乱れ、上司が不明、情報伝達が悪い、協力体制が希薄、など等、組織力と共に業績が悪化する弊害が山積している。
ひとたび組織が崩壊すると、経営者の意思や決定事項が末端まで届かないことも珍しくなく、組織力が低下する一方になる。
経営者から末端社員までの意思の疎通を円滑にし、尚且つ、各社員の立場と責任を明確にするには組織図の運用が欠かせない。
定例会議も組織力向上に役立つ。
定例会議は、会社の経営課題を整理し、課題解決を図る重要なコミュニケーションツールになる。
経営者と社員のコミュニケーションが推進されるので、課題解決の効率が上がるだけでなく、様々な情報を組織全体で共有することもできる。
社員との情報交換の場を設けずに会社経営を続けると、経営者が重要な情報を見落とすリスクが高まり、決断ミスを招くことがある。
しかも、社長の独りよがりな経営では組織力で業績を押し上げることができなくなるので、経営能力の限界点が会社成長の限界点になる。
定例会議は、組織力向上だけでなく、業績への波及効果も大きいので、導入したいコミュニケーションツールの一つである。なお、会議自体は時間をかけず、効率的な方法であっても問題ない。