中小企業の経営指標|固定比率

固定比率の計算方法と適正水準

固定比率の計算方法と適正水準

 

固定比率とは、購入した固定資産が自己資金でどの程度まかなわれているかを示す経営指標のことです。

 

固定比率の算定対象となる固定資産とは、長期間に亘って使用可能な資産のことです。

 

固定資産には、土地、建物、機械設備等の有形固定資産と、営業権、特許権、商標権等の無形固定資産がありますが、何れも会社成長のために先行投資して購入した収益を生み出すための資産です。

 

固定資産を購入するには資金が入ります。

 

会社に利益を積み上げて、自己資金だけで購入する経営者もいれば、銀行融資等で他人から資金を借り入れて購入する経営者もいます。

 

購入した固定資産が想定通りの収益を生み出していれば、自己資金でも他人の資金でも支障は出ません。

 

しかしながら、他人の資金で固定資産を購入した場合、固定資産の収益が想定よりも下回ったとたんに、資金返済に支障が出る恐れがあります。

 

資金返済に支障が出ると、当然、会社の倒産リスクも高まります。

 

従って、固定資産の購入は、なるべく自己資金に頼った方が経営の安全性が高まります。

 

下図は貸借対照表の構成図です。

 

 

青枠が固定資産、赤枠が自己資本です。

 

「固定比率」は、購入した固定資産が自己資金でどの程度まかなわれているかを示す経営指標ですので、

 

固定比率が小さければ、自己資本の占める割合が大きく、

 

固定比率が大きければ、自己資本の占める割合が小さいということになります。

 

 

固定比率の計算方法

 

固定比率の計算式は下記の通りです。

固定比率=(固定資産÷自己資本)×100

 

 

固定比率の適正水準

 

固定比率の適正水準は下記の通りです。

100%以下

固定比率が100%以下であれば優良水準です。固定資産の購入資金が100%自己資金で賄われていますので、万が一、設備投資の失敗があったとしても影響が小さく済みます。

 

 

101%~120%

固定比率が101%~120%の範囲内であれば標準水準です。

 

 

121%~150%

固定比率が121%~150%の範囲内であれば改善の必要があります。

 

 

151%以上

固定比率が151%以上であれば、過剰投資の可能性があります。他人から調達した資金の返済計画を作成して、返済に支障がないか否か検証する必要があります。

 

更に、過剰投資を継続し、万が一、投資に失敗した場合は、購入資金の返済が滞り会社経営が危機的状況に転落する可能性もあります。また、固定資産の中に遊休資産や不良性資産が含まれていないかの選別作業も行う必要があります。

 

固定比率は、設備投資が多い業種業態と少ない業種業態で適正水準に差があります。

 

従って、上記適正水準に合致しない場合は、固定比率の推移を定点観測(※1)することをお薦めします。

 

※1 定点観測とは、同じ方法(定点)で継続的にある一定の項目を観察し、以前のものと比較してその差異を分析することです。

 

 

<<前の記事  次の記事>>

 




 


人気記事ランキングTOP3


社長!!その〇〇、大丈夫ですか?例えば、売上、利益、計画、見通し、お金、投資、人事、など等、経営の落とし穴は至るところに潜んでいます。経営者必見の失敗しない会社経営のノウハウをたっぷり紹介しています。

巷の書店などに出かけると様々な経営書が並んでいることに驚きます。中小企業の会社経営をする上で、すべてを鵜呑みにして受け入れることが出来るか否か?答えはノーです。その理由とは?

経営と数字は切っても切れない関係にあります。数字に強い経営者がどのようにして会社の数字を捉え、会社の数字を経営に活かしているか事例を交えて紹介しています。

人気記事ランキングをもっとみる⇒⇒

関連ページ

管理会計入門|経営力をグッと上げる管理会計とは?
管理会計入門です。管理会計を導入するか、しないかで、経営判断の精度と優劣は大きく変わります。中小企業の経営力を飛躍的に上げる管理会計とは一体何なのか?入門者向けに分かり易く解説しています。
安全な売上成長率と危険な売上成長率
会社の売上がどの程度成長したかを表す経営指標を「売上成長率」といいます。売上成長率をみれば、その会社の将来性が自ずと見えてきます。売上成長率の計算式と適正水準を紹介しています。
必要運転資金の計算式と適正水準
運転資金とは事業活動を円滑に進めるために必要な現預金のことです。運転資金が枯渇すると事業活動に支障をきたします。適正な運転資金の水準と計算方法を紹介しています。
自己資本比率の計算方法と適正水準
自己資本比率とは会社の総資本に占める自己資本の構成比率のことです。自己資本比率は会社の資本力や安定経営の度合を示す経営指標として活用されます。自己資本比率の計算式と適正水準を紹介しています。
事業撤退の判断基準とタイミング
事業を見限るうえで大切なのは事業撤退の判断基準とタイミングです。そして、事業撤退の判断を正確に下すためには、正確な損益集計が欠かせません。損益集計の方法と共に事業撤退の判断基準とタイミングを紹介しています。
労働分配率の計算方法と適正水準
労働分配率とは売上総利益に占める人件費の構成比率のことです。労働分配率とは会社の分配可能な付加価値が、どの程度労働の対価(人件費)に支払われているかを示す経営指標です。労働分配率の計算式と適正水準を紹介しています。
コストダウンの目標指標と手法
会社のコストダウンを成功させるには適正な目標指標と改善手法を理解しなければなりません。加えて、現状と目標指標も明確にしなければなりません。コストダウンに使える目標指標とアプローチ方法を紹介しています。
中小企業の収益性の分析方法
中小企業の収益性は企業の果実を求めることで算定できます。企業の果実の収縮が把握できれば会社の収益性と共に競争力の判定もできます。企業の果実の計算式と共に収益性を高める秘訣を紹介しています。
経費率と人件費率の計算方法と適正水準
経費率と人件費率の適正水準が分かれば明確な改善目標を掲げることができます。また、人件費以外の経費や営業利益の改善目標も明確になります。全ての業種業態で活用できる経費率と人件費率の計算式と適正水準を紹介しています。
流動比率の計算式と適正水準
流動比率とは会社の支払能力を示す経営指標です。流動比率は1年以内に現金化される流動資産と1年以内に支払期限が到来する流動負債を用いて算出します。流動比率の計算式と適正水準を紹介しています。
当座比率の計算式と適正水準
当座比率とは会社の支払能力を示す経営指標です。当座比率は、1年以内に現金化される流動資産の中でも換金性の高い現金等の当座資産と1年以内に支払期限が到来する流動負債を用いて算出します。当座比率の計算式と適正水準を紹介しています。
中小企業の借入金限度額の計算方法
会社が銀行借入を検討する際に活用する経営指標を「借入限度額」といいます。借入限度額の計算式は、一般的な月商倍率での計算式を採用せず、返済能力の安全性を考慮した独自の計算式を紹介しています。
投資のタイミングと安全な投資金額は?
投資のタイミングや投資金額を誤ると会社経営に大きな打撃を受けることがあります。投資経費の項目と共に過剰投資を未然に防止するための投資経費率の計算式と適正水準を紹介しています。
在庫回転率の計算方法と適正水準
商品が効率よく売上に転換されているかを計る経営指標を「在庫回転率」といいます。在庫回転率は、主に、製造業、小売業、卸売業で重要視する経営指標の一つです。在庫回転率の計算式と適正水準を紹介しています。
利益目標と営業利益率の適正な水準
然るべき会社の利益目標、或いは、適正な営業利益の水準が分かれば効率的な会社経営が実現できます。全ての業種業態で活用できる利益目標の計算式と営業利益の適正水準を紹介しています。
総資本回転率の計算式と適正水準
資本効率の適正度合いを判定する経営指標を「総資本回転率」といいます。総資本が効率よく売上に転換していれば資本効率が高いということになります。総資本回転率の計算式と適正水準を紹介しています。
負債比率の計算方法と適正水準
負債比率とは返済義務のない自己資本と返済義務のある負債である他人資本のバランスを示した経営指標です。負債比率は返済余力を表す経営指標ともいえます。負債比率の計算式と適正水準を紹介しています。
売上総利益率の計算方法と適正水準
売上に占める売上総利益の構成比のことを「売上総利益率」といいます。売上総利益率は会社の収益性を求める経営指標として活用されています。売上総利益率の計算式と適正水準を紹介しています。
持株比率の計算方法と株主の権利
株式の出資割合のことを「持株比率」といいます。株主は会社経営を左右する重要な存在です。従って、持株比率は会社経営するうえで重要な経営指標となります。持株比率の計算式と持株比率に応じた株主権利(支配権)を紹介しています。
売上原価率の計算方法と適正水準
売上に占める売上原価の構成比のことを「売上原価率」といいます。売上原価率は会社の収益性を求める経営指標として活用されています。売上原価率の計算式と適正水準を紹介しています。
会社の付加価値の計算方法
付加価値とは、ある「モノ」が有している価値とそれを生み出す元となった「モノ」の価値との差のことです。会社の付加価値は手元に残る所得金額と考えるのが一番自然です。全ての業種業態で活用できる会社の付加価値の計算式を紹介しています。
社員一人当たりの付加価値の計算方法
社員一人当たりの付加価値とは、一人の社員が一時間働いて生み出す会社の付加価値のことです。会社の収益性のほか、労働生産性等の良し悪しも判定できます。全ての業種業態で活用できる一人一時間当たりの付加価値の計算式を紹介しています。
本部経費の公平な配賦方法と配賦基準
本部経費とは主に管理部門の経費のことです。本部経費の配賦方法と基準は一定でなければなりません。なぜなら、毎回、配賦方法と基準が区々では営業部門の損益を公平に判定することができないからです。本部経費の配賦方法と公平な基準を紹介しています。
中小企業の公平な役員報酬の決め方
会社を次世代へ引き継ぎ、事業拡大を目指す経営者であれば、経営の透明性と共に、自身の役員報酬の妥当性を検証することも大切です。公平な役員報酬の決め方と具体的計算方法を紹介しています。
中小企業の売上ABC分析方法
ABC分析はあらゆる経営分析に応用できますので、覚えておきたい分析手法のひとつです。ABC分析を行う上で必要な基準が「20:80の法則」です。20:80の法則を活用したABC分析の具体的手法を紹介しています。
中小企業の販売先のリスク管理手法
中小企業は販売先毎にリスク管理を行わないと思わぬところで倒産の危機を迎えることがあります。リスク管理を怠った場合に最も倒産のリスクが高い「売上構成比率(占有率)」のリスク管理手法を紹介しています。
損益分岐点分析に必要な固定費と変動費の分別
損益分岐点を分析するには売上に対応する全ての費用を「固定費」と「変動費」に分ける必要があります。正確な費用分解の手法と共に固定費比率、変動費比率の計算式を紹介しています。
損益分岐点の計算方法と適正水準
損益分岐点とは会社の採算ラインを示す経営指標です。簿記や会計が苦手な経営者でも運用しやすい経営指標でもあります。損益分岐点売上高と損益分岐点比率の計算式と適正水準を紹介しています。
労働生産性の計算方法と労働生産性の向上方法
労働生産性とは労働の投下に対する収益性の評価のことです。労働生産性は、少ない労働で大きな収益を生み出す割合が大きいほど良いとされております。全ての業種業態で活用できる労働生産性の計算方法を紹介しています。
人時生産性の計算方法と人時生産性の向上方法
人時生産性とは労働の投下に対する収益性の評価のことです。人時生産性は、少ない労働で大きな収益を生み出す割合が大きいほど良いとされております。全ての業種業態で活用できる人時生産性の計算方法を紹介しています。
飲食業に有効な経営指標
現場のムダムラを見つけるには財務諸表の分析だけでは物足りません。現場のムダムラを抽出するには独自の経営指標を用いた分析が必要です。飲食業に活用できる主な経営指標を紹介しています。
美容業に有効な経営指標
現場のムダムラを見つけるには財務諸表の分析だけでは物足りません。現場のムダムラを抽出するには独自の経営指標を用いた分析が必要です。美容業に活用できる主な経営指標を紹介しています。
製造業に有効な経営指標
現場のムダムラを見つけるには財務諸表の分析だけでは物足りません。現場のムダムラを抽出するには独自の経営指標を用いた分析が必要です。製造業に活用できる主な経営指標を紹介しています。
小売業に有効な経営指標
現場のムダムラを見つけるには財務諸表の分析だけでは物足りません。現場のムダムラを抽出するには独自の経営指標を用いた分析が必要です。小売業に活用できる主な経営指標を紹介しています。
ホテル・旅館業に有効な経営指標
現場のムダムラを見つけるには財務諸表の分析だけでは物足りません。現場のムダムラを抽出するには独自の経営指標を用いた分析が必要です。ホテル・旅館業に活用できる主な経営指標を紹介しています。
ネットショップ・通販業に有効な経営指標
現場のムダムラを見つけるには財務諸表の分析だけでは物足りません。現場のムダムラを抽出するには独自の経営指標を用いた分析が必要です。ネットショップ・通販業に活用できる主な経営指標を紹介しています。
経営に使えるパレート分析の活用方法
パレート分析とは「20:80の法則」を活用した分析方法です。パレート分析は会社の収益面や組織面を改善する際の分析手法としても用いることができ、会社経営のあらゆる面で活用できる法則です。パレート分析の活用例を紹介しています。
投資回収期間の適正水準と計算方法
杜撰な投資計画は経営の失敗リスクを飛躍的に高めます。投資の妥当性を計る「投資回収期間」は投資の正否を判断するうえで有効に活用できる経営指標です。適正水準や計算方法を紹介しています。
大型設備投資の判断基準とタイミング
大型設備投資の判断基準とタイミングを誤ると会社経営に大きなダメージを受けるリスクが高まります。大型の設備投資の判断基準とタイミングをはかる上で有効に活用できる2つの経営指標と夫々の計算方法と判断基準を紹介しています。

 
トップページ 全記事一覧 無料PDF冊子 無料経営講座 お問い合せ