中小企業の節税方法のポイント

中小企業が理解すべき節税の本質

中小企業が理解すべき節税の本質

 

法人税は、会社の売上から費用を差し引いた利益に対して課税されます。

 

課税の対象となる利益のことを「課税所得」といいます。

 

課税所得を決定する要素は、「売上」と「費用」の2つしかありません。

 

従って、正しい会計処理の範囲内において、課税所得が最小化されるような「売上」と「費用」の計上がされていれば、支払う税金が最小化されることになります。

 

当然ながら、正しい会計処理を理解せずに、売上を過大計上した場合、或いは費用を過少計上した場合は、課税所得が多くなり、支払う税金も多くなってしまいます。

 

 

売上の過大計上、経費の過少計上の一例

 

「売上」が過大計上される要因は、会計期間外の売上を計上した場合に起こります。

 

「費用」が過少計上される要因は、会計ルールに則った費用計上をしなかった場合に起こります。

 

代表的な要因は、下記の通りです。

 

前受売上

 

前受売上とは、商品又はサービス提供前に受け取る売上のことです。1年分の塾や講座受講料を前払いにて受け取る売上等が該当します。

 

本来、前受売上を受け取った場合は、会計期間に対応する相応分のみが売上に計上されます。

 

例えば、会計期間が1/1~12/31の会社があったとします。

 

この会社が、前受売上120万円(サービス提供期間が7/1~翌年6/30迄)を6/1に受け取った場合、売上計上は会社の会計期間に対応する6ヵ月分の60万円となります。残りの60万円は貸借対照表の負債欄に、「前受金」として計上されます。

 

法人税額を比較すると、下表の通りとなります。

 

適正な処理

過大計上の処理

売上計上(P/L)

60万円

120万円

法人税率

40%

40%

法人税額

24万円

48万円

※ 売上=利益としています。
※ 法人税率は大よその実効税率40%としています。

 

このように、事前に受け取った売上を会計期間に対応させずに会計処理してしまうと、売上が過大に計上されてしまい、結果として税金が2倍に増額してしまいます。

 

 

減価償却費

 

法人の場合、減価償却費の計上は任意となっています。従って、費用計上できるにも関わらず計上しなければ、費用が過少計上となり利益が増額してしまいます。

 

減価償却費は現金流出の伴わない費用ですので、投資原資を賄う役割もあります。従って、適正な減価償却費用の計上は健全な会社経営を助ける働きもあります。

 

また、会社に供する建物等の減価償却資産は経営者個人で保有せず、会社で保有した方が費用化できる金額が大きくなります。

 

 

旅費交通費

 

旅費交通費には出張時の交通費や宿泊費のほか、「日当」という経費項目も含まれます。

 

就業規則等で出張日当の取り決めがされていない会社では、日当分を費用計上していないことがあります。本来費用計上できる日当を計上しなければ、費用の過少計上となり利益が増額してしまいます。

 

 

人件費

 

人件費には基本給のほか、諸手当、残業代なども含まれます。

 

サービス残業を社員に強要している会社は、正確な人件費が計上されていないことがあります。本来費用計上できる人件費を計上しなければ、費用の過少計上となり利益が増額してしまいます。

 

諸保険料

 

経営者個人の保険料の中には、会社で費用計上できるものがあります。法人として負担できる保険料を個人負担していては、費用の過少計上となり利益が増額してしまいます。

 

 

売上や費用の操作は経営の足を引っ張る!!

 

銀行や株主を気にするあまり、売上の過大計上、費用の過少計上を繰り返し、財務諸表の数字を操作する経営者が稀におりますが、小手先の操作は、業績改善に少しも貢献することはありません。

 

むしろ、本来の損益が不明瞭になり、会社経営の問題点が見えなくなってしまいます。

 

会社を長く経営していれば、一時的に業績が悪化することはよくあることです。

 

業績が良いときは良い時なりに、悪いときは悪い時になりに、常に正確な損益状況を把握することは、健全な会社経営を実現するうえで、とても大切な心がけです。

 

そして、体面を気にせずに、常に、正しい会計処理で財務諸表を作ることが、無駄な税金を支払わずに済む、確かな方法です。

 

中小企業の節税の本質は、「正しい会計処理を行うこと」に尽きます。

 

 

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