中小企業の節税方法のポイント

会社経営者が理解すべき節税の本質と事例

会社経営者が理解すべき節税の本質と事例

 

会社経営と税金は密接な関係があります。

 

例えば、税金の知識が不十分がために、会社の資金繰りが窮して経営に失敗する経営者や、行き過ぎた節税ばかりに気を取られて会社が衰退してしまった中小企業などは、決して珍しいケースではありません。

 

会社経営者が節税で失敗しないためには、法人税と課税のルール、並びに、節税の本質を理解することが大切です。

 

まず理解すべきは、税金の仕組みです。

 

中小企業が支払うべき税金、いわゆる法人税は、会社の売上から費用を差し引いた利益に対して課税されます。

 

課税の対象となる利益のことを「課税所得」といいます。

 

この課税所得に一定の法人税率を乗じた金額が、納付すべき税金となります。

 

課税所得を決定する要素は、「売上」と「費用」の2つしかありません。

 

従って、正しい会計処理の範囲内において、課税所得が最小化されるような「売上」と「費用」の計上がされていれば、支払う税金が最小化されることになります。

 

当然ながら、正しい会計処理を理解せずに、売上を過大計上した場合、或いは費用を過少計上した場合は、課税所得が多くなり、支払う税金も多くなってしまいます。

 

会社の税金を最小限に抑えるための節税のポイントを事例を交えて解説していきます。

 

 

中小企業の節税ポイント

 

中小企業において、売上の過大計上と経費の過少計上は税金の過払いに繋がる最たる会計ミスです。

 

ちなみに、売上が過大計上される要因は、会計期間外の売上を計上した場合に起こります。費用が過少計上される要因は、会計ルールに則った費用計上をしなかった場合に起こります。

 

節税効果を高めるために理解しておきたい代表的な事例を解説していきます。

 

 

前受売上

 

前受売上とは、商品又はサービス提供前に受け取る売上のことです。1年分の塾や講座受講料を前払いにて受け取る売上等が該当します。

 

本来、前受売上を受け取った場合は、会計期間に対応する相応分のみが売上に計上されます。

 

例えば、会計期間が1/1~12/31の会社があったとします。

 

この会社が、前受売上120万円(サービス提供期間が7/1~翌年6/30迄)を6/1に受け取った場合、売上計上は会社の会計期間に対応する6ヵ月分の60万円となります。残りの60万円は貸借対照表の負債欄に、「前受金」として計上されます。

 

法人税額を比較すると、下表の通りとなります。

 

適正な処理

過大計上の処理

売上計上(P/L)

60万円

120万円

法人税率

40%

40%

法人税額

24万円

48万円

※ 売上=利益としています。
※ 法人税率は大よその実効税率40%としています。

 

このように、事前に受け取った売上を会計期間に対応させずに会計処理してしまうと、売上が過大に計上されてしまい、結果として税金が2倍に増額してしまいます。

 

売上計上基準をしっかりコントロールすることは節税効果を高める有効な方法です。

 

 

減価償却費

 

法人の場合、減価償却費の計上は任意となっています。従って、費用計上できるにも関わらず計上しなければ、費用の過少計上で利益が増額してしまい、節税効果は生まれません。

 

減価償却費は現金流出の伴わない費用ですので、投資原資を賄う役割もあります。従って、適正な減価償却費用の計上は節税に繋がるだけでなく、健全な会社経営を助ける働きもあります。

 

また、会社に供する建物等の減価償却資産は経営者個人で保有せずに、会社で保有した方が費用化できる金額が大きくなります。

 

例えば、減価償却で費用化できない土地は個人保有、費用化できる建物等は会社保有という分別ルールを徹底するだけでも、節税効果はグッと高まります。

 

減価償却資産に該当する社用車などは、新車よりも中古車の方が短期間で減価償却として費用化できますので節税効果が高まります。

 

減価償却費は節税対策として積極的に活用したい費用科目です。

 

 

旅費交通費

 

旅費交通費には出張時の交通費や宿泊費のほか、「日当」という経費項目も含まれます。

 

就業規則等で出張日当の取り決めがされていない会社では、日当分を費用計上していないことがあります。本来費用計上できる日当を計上しなければ、費用の過少計上で利益が増額してしまい、節税効果は生まれません。

 

日当は、非課税報酬の性格もありますので、節税対策として積極的に活用したい費用です。

 

 

人件費

 

人件費には基本給のほか、諸手当、残業代なども含まれます。

 

サービス残業を社員に強要している会社は、正確な人件費が計上されていないことがあります。本来費用計上できる人件費を計上しなければ、費用の過少計上となり利益が増額してしまいます。

 

赤字経営であれば致し方ありませんが、黒字経営であれば残業代の計上をしっかり行って節税する方が得策です。

 

 

諸保険料

 

経営者個人の保険料の中には、会社で費用計上できるものがあります。法人として負担できる保険料を個人負担していては、費用の過少計上で利益が増額してしまい、節税効果は生まれません。

 

但し、注意も必要です。

 

例えば、中小企業の会計ルールで費用化できる積立型の保険などは、解約した際に受け取る保険収入に税金がかかりますので、節税ではなく、税金の繰り延べ(先延ばし)という意味合いが強いです。

 

この手の保険の節税メリットはさほどありません。

 

なぜなら、ムダな保険料を支払わずに、利益を確定させて然るべき税金を支払った方が、自由に使えるお金が増えるからです。

 

節税対策で保険に加入する際は、保険内容をしっかり吟味する必要があります。

 

 

売上や費用の操作は経営の足を引っ張る!!

 

銀行や株主を気にするあまり、売上の過大計上、費用の過少計上を繰り返し、財務諸表の数字を操作する会社経営者が稀にいますが、小手先の操作は、業績改善に少しも貢献することはありません。

 

むしろ、本来の損益が不明瞭になり、会社経営の問題点が見えなくなってしまいます。

 

会社を長く経営していれば、一時的に業績が悪化することはよくあることです。

 

業績が良いときは良い時なりに、悪いときは悪い時になりに、常に正確な損益状況を把握することは、健全な会社経営を実現するうえで、とても大切な心がけです。

 

そして、体面を気にせずに、常に、正しい会計処理で財務諸表を作ることが、無駄な税金を支払わずに済む、確かな方法です。

 

中小企業の節税の本質は、「正しい会計処理を行うこと」に尽きます。

 

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