見逃せない債務不履行のリスク

支払遅延は危険な債務不履行リスク

支払遅延は危険な債務不履行リスク

 

中小企業が取引先の債務不履行を見逃すと、会社経営に大きな被害を受けるリスクが高まります。

 

債務不履行とは、債務者が、正当な事由がないのに債務(※1)の本旨に従った給付をしないことをいいます。

 

例えば、

 

・契約内容の約束を守らない

 

・商品の購入代金を支払ったのに商品を送付してくれない

 

・商品代金の支払いの約束日に代金を支払ってくれない

 

等々、中小企業の会社経営において、債務不履行のケースは様々あります。

 

万が一、相手方に債務不履行が生じた場合は、損害賠償請求に発展するケースもあります。

 

とはいっても、日本国内においては、中小企業に限らず、法人間の商取引は信頼関係のうえに成立している面が大きいですので、商品代金の支払が遅延したり、商品の納品が遅延したりしたとしても、そのたびに損害賠償請求を行う会社は稀です。

 

債務不履行の原因が天候不良等の不可抗力かも知れませんし、人員が限られている中で社員が急遽休んだのかも知れません。

 

原因が不可抗力であれば致し方ありませんが、中小企業の経営者としては、ひとつ注意しなくてはいけない債務不履行があります。

 

それは「支払遅延」です。

 

 

支払遅延は倒産のサイン!!

 

中小企業の支払遅延は会社倒産のサインです。

 

経験上、支払遅延が始まって3ヵ月後には倒産状態に瀕しており、1年以内には完全に倒産してしまいます。

 

当然ながら、倒産のサインを見逃し続けて、ある日突然、取引先が倒産してしまったら本来回収すべき売掛金は貸し倒れてしまい、大きな損失を被ることになります。

 

損失の金額が大きい場合は、連鎖倒産の被害に巻き込まれる可能性もあります。

 

では、中小企業間の取引で支払遅延が起きた場合、経営者はどのような判断を下せばいいのでしょうか?

 

支払遅延一回目

 

約束の支払日を過ぎて1週間以内の支払いであれば、原因を聞いて納得できる範囲であれば相手に対してはお咎めなしとしますが、社内では倒産危険先としてマークします。

 

但し、売掛金の依存度が10%を超えている場合は、貸倒対策を講じます。また、約束の支払日から1週間以上過ぎても代金の全額の支払いがない場合も、同様に貸倒対策を講じます。

 

貸倒対策は「信用取引金額の上限を決める」ことです。

 

まず信用取引部分の売掛金に対して上限設定を行います。上限設定後に、上限金額を超過したら、超過分の代金支払いが完了するまで商品発送を停止します。

 

上限の設定金額は、最悪、回収できなくても経営に影響がない金額に設定します。

 

更に、1カ月以上も代金の全額支払いがなければ、商品供給を停止して、支払条件を信用取引(※2)から前金決済制(※3)に切り替えます。

 

売掛金は全額回収に動きます。

 

 

支払遅延二回目

 

支払遅延が2回起こるということは相手先の会社は相当資金繰りに困っています。恐らく会社は債務超過で、倒産の危機に瀕しているはずです。

 

支払遅延は信頼関係が破たんするに値する事象です。

 

従って、温情は不要です。

 

この場合は、問答無用で商品供給を停止して、支払条件を信用取引から前金決済制に切り替えます。

 

売掛金は全額回収に動きます。

 

義理があって前金決済制に切り替えられない場合は、売掛金に上限設定を行い取引を継続しても構いませんが、売掛金は回収できないと思った方が良いです。

 

 

社員達は債務不履行が起きても会社の倒産は見通せない!?

 

大企業であろうが、中小企業であろうが、会社が倒産するか否かは社員が知るよしのないことです。

 

なぜなら、会社の倒産は経営者と弁護士が一切の情報を遮断した状態で完全秘密裡に進めるからです。

 

既に倒産状態に陥っている会社であっても、そこで働く社員は、取引先への支払いや給料の振り込みが遅れている程度のことは認識できても、自分の会社が倒産状態まで追い込まれているとは夢にも思っていません。

 

会社が倒産する事実を知るのは社員も取引先も倒産した後です。

 

この法則は、古今東西、不変です。

 

従って、双方の担当者同士の情報や心情は全くあてになりません。

 

中小企業の場合は、支払遅延等の倒産サインを経営者がキャッチしなければ、事前に貸倒対策を講じることは不可能なのです。

 

 

経営者は債務不履行のリスクを見逃してはいけない!!

 

中小企業の経営者は、「支払遅延は会社倒産のサイン」ということを胸に刻んで、冷静に即断即決しなければなりません。

 

こればかりは、決して社員任せにせず、経営者自身が決断しなければなりません。

 

万が一、対策を講じるのが遅れて倒産まで信用取引を続けてしまうと、貸し倒れの被害が大きくなるばかりか、連鎖倒産に巻き込まれるリスクも高まります。

 

貸し倒れの被害を最小限に食い止めるためにも経営者が倒産のサインを見逃さずにキャッチし、事前に貸倒対策を講じることが重要なのです。

 

なお、支払遅延が常態化している会社は経営管理が杜撰で倒産リスクが高い特徴がありますので、前払い等の対策をとったうえで取引を継続した方が良いでしょう。

 

※1 債務とは、ある者(債務者)が他の者(債権者)に対して一定の給付をしうることを内容とする義務の事。例えば、借りたお金を返す義務のこと。

 

※2 信用取引とは、お互いの信用で売買を行うこと。例えば、先に商品を納品して、代金は後払いでもらうこと。

 

※3 前金決済制とは、商品代金を先払いでもらってから商品を納品すること。

 

※4 連鎖倒産とは、取引先の倒産によって売掛金などが回収できなくなり、そのために経営が行き詰まり連鎖的に倒産すること。

 

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