クレーム対応で経営者が心掛けること|会社社長のクレーム対応法

クレームの対応で経営者が心掛けること

 

会社を経営していると不測のクレームに直面することがある。

 

このような時に、クレームの発生を後悔する、損得勘定する、責任追及する、など等、事態の解決に役立たない経営者の言動は、何も意味を成さない。

 

この記事では、クレーム対応で経営者が心掛けること、並びに、会社社長のクレーム対応法について、詳しく解説する。

 

 

クレーム対応で経営者が心掛けること

 

クレーム対応は、目の前のクレームに意識を集中させ、最善を尽くすことが円満解決の秘訣になる。

 

従って、経営者は、起きたことはしょうがないという前向きな姿勢で、事態が好転するまで、冷静且つ迅速に最善を尽くすことが大切だ。

 

例えば、顧客に不良品を届けてしまった場合、迷惑をかけた顧客に対して最善を尽くすことが第一優先となる。

 

後悔、責任追及、損得勘定は全て後回しで、第一に、顧客に事態の原因と対策をご理解頂いたうえで、不良品を新品に交換(或いは返金手続き)して、直筆の詫び状を発送する。

 

さらに、不良品と同ロット商品に問題がないか否かの検品作業と検証作業も速やかに済ませて、責任追及や損得勘定等はクレーム対応が終わった後に行う。

 

顧客のクレーム対応に最善を尽くし、事態が円満解決すれば、後悔することはない。

 

逆に、クレーム対応の順番が、クレーム発生→後悔→責任追及→損得勘定→顧客対応となると、クレーム対応は失敗に終わる。

 

迷惑をかけた顧客へのクレーム対応が最後尾になるのは本末転倒もいいところで、クレームの対応が後手後手に回ると、場合によっては、火に油を注ぐ結果になり、クレームの深刻度と共に経営者の後悔も膨らんでしまう。

 

クレーム対応は初動が命といっても過言ではなく、誤ったクレーム対応は企業衰退のきっかけを作るので、くれぐれも注意してほしい。

 

 

クレーム対応から見えてくる経営者の能力

 

クレーム対応の優先順位が的確に判断できない経営者は、一事が万事、まともな会社経営などできるものではない。

 

例えば、クレーム時に後悔やパニックに陥るような経営者は、社員や取引先からの信頼を勝ち取ることはできない。

 

不安感は動物の防衛本能なので、不安から後悔の念が膨らむことは自然の摂理だが、後悔に引きずられて最善の対応が疎かになってしまっては顧客はもとより、周囲の信頼も得られない。

 

過去には戻れないし、起こったことを元に戻すことはできない。やはり、クレームに怯まず対応するには、現実を受け入れる度量と、優先順位を的確に判断する経営能力が欠かせない。

 

過去は不変だが、未来は変えられる。そして、未来を変えるのは「今の言動のみ」である。

 

多少大掛かりな問題(クレーム)が生じても、事態が好転するまで最善を尽くせば、必ず道は開ける。

 

過去を省みることは後からいくらでもできるし、長い目で見れば、誠実な対応は損得勘定を元に戻してくれる。

 

「起きたことはしょうがない。最善を尽くそう。」という経営者の意識ひとつで、結果は大きく変わるのだ。

 

 

クレーム等の有事に強い経営者は経営能力が高い

 

中小企業の業績は、経営者の能力に比例する。

 

経営者の能力を計る基準は様々あるが、クレームの対応等の有事(非常事態)に強いという特徴は、優れた経営能力といえる。

 

なぜなら、日頃から何が大事で、何が大事ではないのかという判断基準を持った会社経営が実践できていなければ、有事に強い経営者にはなれないからだ。

 

有事に強い経営者は、概ね、経営判断が的確で、10年で終わる会社と100年続く会社の違いは、経営者の個人的能力というより、経営者の意識の違い(判断力)といっても過言ではない。

 

過去を振り返り「あの時の判断がなかったら今がなかった」など、今にして思えばゾッとするような体験は、殆どの経営者が持っていると思うが、それほどに、会社経営は紙一重の連続で成り立っている。

 

クレームなどの不測の事態は、経営者の慢心や油断から端を発することが多いので、クレームを抑えるには「白珪尚可磨(はっけいなおみがくべし)」の禅語の通り、白珪のような磨きようのないものを更に磨く努力が大切になる。

 

また、「好事魔多し」の通り、会社の調子が良い時ほど、気を引き締める意識を持つことも忘れないでほしい。