決算だけの棚卸では経営ができない

棚卸が決算だけの会社は倒産リスクが高い

棚卸が決算だけの会社は倒産リスクが高い

 

棚卸が決算だけの会社は倒産リスクが高いです。

 

なぜなら、毎月の棚卸がないということは、毎月の損益計算がいい加減ということだからです。

 

棚卸を毎月行わないと、売上原価の算定がいい加減になり、正しい損益が把握できなくなってしまいます。

 

当然ながら、いい加減な損益計算から、正しい会社経営は生まれません。

 

棚卸を決算月に年1回だけ行うケースは、いい加減な棚卸(※1)の最たる例です。

 

また、棚卸業務を毎月行わない会社は、総じて在庫管理もいい加減です。

 

売上原価の算定と在庫管理がいい加減では、正しい会社の数字は見えてきません。

 

つまり、まともな会社経営ができなくなってしまうのです。

 

 

いい加減な棚卸の一例

 

いい加減な棚卸の一例を紹介します。

 

例えば、期首商品在庫が「0」、商品の仕入を「100」行い、その月に出荷販売された商品が「50」、期末商品在庫が「50」だった場合の売上原価の算式は、それぞれ下記の通りです。

 

棚卸をしている会社:(期首在庫0+ 仕入100)- 期末在庫50= 売上原価50

 

棚卸をしていない会社:(期首在庫0+ 仕入100)- 期末在庫0= 売上原価100

 

下の図は、上記棚卸の計算結果を図解したものです。

 

 

左側が棚卸をしている会社、右側が棚卸をしていない会社です。

 

月末に棚卸をしている会社は、売れ残った期末商品50が原価から差し引かれており、その月の売上に応じた正しい売上原価が算定されています。

 

一方、月末に棚卸をしていない会社は、売れ残った期末商品50が差し引かれず、仕入100=売上原価100となっており、その月の売上に応じた正しい売上原価が算定できていません。

 

このように、棚卸をする、しないの差で、売上原価に大きな差が生じるのです。

 

下の図は、上記例の損益例を図解したものです。

 

 

左側が棚卸をしている会社、右側が棚卸をしていない会社です。

 

損益例の算定式は下表の通りです。

棚卸をしている会社

売上200- (売上原価50+ 販売管理費100)= 営業利益50

棚卸をしていない会社

売上200- (売上原価100+ 販売管理費100)= 営業利益0

 

売上原価同様、棚卸をする、しないの差で、営業利益にも大きな差が生じています。

 

また、下表のとおり、経営指標を比べてみても、大きな差が生じています。

棚卸をしている会社

棚卸をしていない会社

売上原価率 25%

売上原価率 50%

売上総利益率(粗利率) 75%

売上総利益率(粗利率) 50%

営業利益率 25%

営業利益率 0%

※計算式は末尾参照

 

毎月末に棚卸業務を行わないと会社の正しい損益状況が把握できません。

 

当然ながら会社の数字が正確に把握できない状態で、適切な経営改善を行うことは出来ません。

 

また、会社の実態に即した適正な利益目標や経営指標の改善目標を設定することもできません。

 

正しい数字が把握できなければ、日々の経営は、勘に頼るほかありません。

 

会社に利益があり、現金水準に余裕があるうちは良いですが、知らぬ間に利益が減少し、現金水準が低下してきたら打つ手がなくなります。

 

 

適正な棚卸が正しい経営判断を生み出す

 

勘に頼った会社経営ほど危険なものはありません。

 

会社の小さな数字の変化に気が付かず、ある日突然、大きな危機的変化を実感してからでは最早手遅れです。

 

自覚症状を感じたときは、既に倒産の方向に傾きつつあります。

 

会社の数字(利益増減や経営指標の変化等々)は毎月毎月、刻一刻と変化しています。

 

数字の変化を捉えるには正確な数字を継続的に観察するしかありません。

 

そして、数字を継続的に観察することが出来れば、業績悪化の芽を事前に摘むことができます。

 

「会社経営」と「経営改善」の基本です。

 

棚卸は毎月行わなければなりません。

 

時間的な制約があるのであれば実地棚卸(※2)ではなく、帳簿棚卸(※3)でも構いません。

 

棚卸は、正確な会社の数字を知るために必要な大事な仕事なのです。

 

 

※1 棚卸とは、月末時点の商品在庫数量に仕入単価で乗じて、期末在庫商品の評価金額を算定すること

 

※2 実地棚卸とは、実際に目視にて商品等の在庫数量を確認し、期末在庫商品の評価金額を算定すること

 

※3 帳簿棚卸とは、在庫管理表等の帳簿上で商品等の在庫数量を確認し、期末在庫商品の評価金額を算定すること

 

※ 売上原価率=売上原価÷売上

 

※ 売上総利益率(粗利率)=(売上-売上原価)÷売上

 

※ 営業利益率=営業利益÷売上

 

 

<<前の記事  次の記事>>

 

 

おすすめ記事

 


 


 


 

⇒⇒カテゴリトップ「倒産しそうな会社の特徴」に戻る

 






 


人気記事ランキングTOP3


社長!!その〇〇、大丈夫ですか?例えば、売上、利益、計画、見通し、お金、投資、人事、など等、経営の落とし穴は至るところに潜んでいます。経営者必見の失敗しない会社経営のノウハウをたっぷり紹介しています。

巷の書店などに出かけると様々な経営書が並んでいることに驚きます。中小企業の会社経営をする上で、すべてを鵜呑みにして受け入れることが出来るか否か?答えはノーです。その理由とは?

経営と数字は切っても切れない関係にあります。数字に強い経営者がどのようにして会社の数字を捉え、会社の数字を経営に活かしているか事例を交えて紹介しています。

人気記事ランキングをもっとみる⇒⇒

関連ページ

会社が倒産する原因とは?
大きな失敗を犯さない限り、会社経営が破たんすること、つまり、会社が倒産することははそうそう起こり得ません。会社の経営が破たんする倒産の主たる原因を分かりやすく解説しています。
会社が倒産する前兆
倒産の危機に瀕する会社の殆どは、倒産の前兆を見逃したことが原因で末期状態に至っています。会社が倒産する前兆は必ずあります。倒産の前兆の見抜き方を分かりやすく解説しています。
経営改善を放棄すると業績が悪化する
経営改善を放棄すると業績が悪化し、最終的には倒産の危機に瀕する事があります。経営改善で失敗しない秘訣と共に、正しい経営改善の手法を分かりやすく解説しています。
倒産する会社には稟議制度がない
稟議制度とは経営に関わる事案に対して稟議書を作成し、社内の役職者の承認を経て最終的に社長が決裁する仕組みです。安定経営を支える稟議制度の仕組みを分かりやすく解説しています。
倒産する会社は組織が崩壊している
倒産する会社は組織が崩壊しています。事実、私自身が過去に再建調査に入った全ての会社で組織体制に問題を抱えていました。組織崩壊の原因と対策を分かりやすく解説しています。
部門別の損益を把握しないと倒産する
倒産する会社は部門別の損益管理が杜撰です。部門別の損益を把握していないと会社の倒産リスクが非常に高くなります。部門別損益計算書の重要性を分かりやすく解説しています。
社長が仕事をしない会社は倒産する
社長が仕事をしない会社は倒産します。例えば、社長が経営管理を放棄すると会社は倒産の危機に瀕します。重要な社長の仕事である経営管理を放棄した場合の弊害を分かりやすく解説しています。
問題社員の対応を誤ると倒産する
非協力的な問題社員が一人でもいれば組織の力が大きく損なわれてしまい、その問題社員の対応を誤ると会社はいとも簡単に倒産します。問題社員の対応を分かりやすく解説しています。
原価計算をしない会社は倒産リスクが高い
原価計算をしない会社は倒産リスクが高まります。赤字経営の根本原因が杜撰な原価計算にある場合もあります。原価計算をしない場合の弊害と対策を分かりやすく解説しています。
減価償却をしない会社は倒産リスクが高い
減価償却をしない会社は倒産リスクが高まります。赤字経営の根本原因が杜撰な減価償却の管理にある場合もあります。減価償却をしない場合の弊害と対策を分かりやすく解説しています。
どんぶり経営の会社は倒産する
どんぶり経営が常態化し会社の数字が曖昧になると、全ての経営判断が曖昧な根拠の上に成り立つことになります。倒産リスクの高いどんぶり経営の弊害を分かりやすく解説しています。
粉飾決算に手を染める倒産会社の事例
粉飾決算は他人を欺く犯罪行為です。全うな会社経営を目指す経営者であれば絶対に手を出してはなりません。倒産企業に多い粉飾決算の事例を分かりやすく解説しています。
経営に失敗する社長は数字を軽視する
経営に失敗する人は「根拠のない経営判断」、つまり、勘に頼った会社経営で行き詰っています。経営に失敗しないための経営判断の根拠をどこに求めたらよいのかを分かり易く解説しています。
有能な社員が辞める会社は倒産が近い
有能な社員が会社を辞めと会社の倒産リスクが飛躍的に上がってしまいます。なぜ有能な社員が辞めるのか?経営者が気を付けるべきポイントを分かりやすく解説しています。

 
トップページ 全記事一覧 無料PDF冊子 無料経営講座 無料相談・お問合せ