粉飾決算は犯罪行為です

粉飾決算に手を染める倒産会社の事例

粉飾決算に手を染める倒産会社の事例

 

粉飾決算(※1)は他人を欺く犯罪行為である。

 

当然ながら、真っ当な会社経営を目指す経営者は、絶対に手を出してはならない。

 

粉飾決算の動機は、上場企業であれば株価操作、経営責任の回避など等、中小企業では、助成金や銀行融資の受取り、事業承継時の株価操作など等、さまざまあるが、先に述べた通り、粉飾決算は他人を欺くために行われる詐欺行為だ。

 

また、粉飾決算はその場しのぎの行為なので、一度手を染めると後戻りするのが非常に大変だ。

 

上場企業であれ中小企業であれ、経営者が交代すると簡単に発覚してしまう幼稚な詐欺行為でもある。

 

業績が悪い会社ほど多いのも粉飾決算の特徴だ。

 

つまり、粉飾決算は会社衰退の第一歩といっても過言ではない。

 

 

粉飾決算の具体的事例

 

粉飾決算は経営者の承認がなければできないケースが殆どだ。

 

一時の利益を確保するため、という軽い気持ちで粉飾決算を承認する経営者も少なくないが、粉飾決算は立派な犯罪行為である。

 

粉飾決算に頼らずとも、あるがままの業績を正直に反映してこそ、経営者の誠実な姿勢が相手に伝わるものだが、粉飾決算に手を染める経営者は後を絶たない。

 

業績悪化の原因が特定されていて、将来の見通しが示せるのであれば、一時の業績悪化は取るに足らない事象であるにも拘わらずだ。

 

真っ当な会社経営を目指す中小企業経営者は、犯罪行為である粉飾決算には、決して手を染めてはならない。

 

中小企業の粉飾の事例は様々だが、倒産企業に多い代表的な例を解説していこう。

 

 

粉飾事例その1「在庫の水増し」

 

在庫の水増しは最も多い粉飾の手口である。

 

例えば、期末在庫が100しかないにも関わらず、架空の在庫として100を水増して200とした場合、売上原価がマイナス100となり、その分、利益がプラス100になる。

 

このように、在庫の水増しは、利益の増額のために用いられる粉飾行為だ。

 

下の図は、適正な売上原価の算定と、粉飾決算の原価算定を比較したものだ。

 

 

ご覧の通り、粉飾決算を行った方は、在庫水増しの分だけ売上原価が100少なくなっている。

 

売上が2,000あったと仮定すると、双方の損益計算は下記の通りとなる。

 

適正な売上原価算定

売上2,000-売上原価1,000-総経費900=営業利益100

粉飾決算の原価算定

売上2,000-売上原価900-総経費900=営業利益200

 

ご覧の通り、粉飾決算を行った方は、一時的に営業利益が100増加することになる。

 

そして、翌年に粉飾決算を解消した場合の、当初から適正な売上原価を算定していたケースと、前期に粉飾決算を行っていたケースの原価算定の比較は下図の通りとなる。

 

 

ご覧の通り、粉飾決算を行っていた方は、在庫水増しが解消された分、売上原価が100多くなっている。

 

前年同様、売上が2,000だった場合、双方の損益計算は下記通りとなる。

 

適正な売上原価算定

売上2,000-売上原価1,000-総経費900=営業利益100

粉飾決算の原価算定

売上2,000-売上原価1,100-総経費900=営業利益0

 

ご覧の通り、翌年に粉飾が解消されると、営業利益が100減少する。

 

適正な処理と粉飾決算の処理の利益変動をまとめると下表の通りとなる。

 

適正な処理を継続

1年目の営業利益100 ⇒ 2年目の営業利益100

粉飾を行い翌年解消

1年目の営業利益200 ⇒ 2年目の営業利益 0 (粉飾解消)

粉飾決算を継続

1年目の営業利益200 ⇒ 2年目の営業利益100 (粉飾継続)

 

これが「在庫水増し」の粉飾事例だ。

 

一般的には、一度粉飾決算に手を染めると、水増し在庫を抱えたまま翌年、翌々年、、、というように、永遠に粉飾を解消することが出来なくなってしまう。

 

過去の経験から言うと、倒産の危機に瀕するような会社の殆どで在庫水増しの形跡が残っていた。

 

その場しのぎの経営では、一事が万事、何れ行き詰るのは明白だ。

 

 

粉飾事例その2「売上の水増し」

 

売上の水増しも在庫の水増し同様、多く使われている粉飾の手口だ。

 

売上の会計処理は会社や業種によって様々だ。

 

例えば、売上の計上基準は、現金主義と発生主義の二つの基準がある。

 

現金主義とは会社に入金があった時点で売上を計上する主義のことで、発生主義とは商品等を納品して売上債権が発生した時点で売上を計上する主義のことである。

 

会社の会計期間は1年間と定められているので、どちらの主義を採用するかで、会社の売上は大きく変わってくる。

 

また、会計処理の原則は、会計期間途中で変更することができない。なぜなら、恣意的な会計処理(収支操作)ができてしまうからだ。

 

発生主義と現金主義の比較は下図の通りだ。

 

 

商品が納品されて売上債権(売掛金、受取手形等)が発生した時点で売上計上されるのが「発生主義」で、現金の入金があった時点で売上計上されるのが「現金主義」だ。

 

売上と同じ要領で、仕入や経費の会計処理も同様の仕組みになっている。

 

もしも、同一会計期間内で、発生主義と現金主義を織り交ぜて会計処理を行うと簡単に粉飾を行うことが可能となる。

 

また、前受金を売上に計上する粉飾手口もある。

 

例えば、塾サービスや雑誌定期購読サービス等、1年分のサービス料が事前に発生するケースがあるが、この場合は、会計期間中の売上と翌期会計期間の売上を分別する必要がある。

 

下図は、6/1に1年分の受講料1,200を先払いで受け取った場合の取引例を表したものだ。

 

 

発生主義、現金主義ともに、適正な仕訳は下表の通りだ。

 

『当期(取引発生年度)』

 

借方

貸方

発生主義

現金1,200

売上600

前受金600

現金主義

現金1,200

売上600

前受金600

『翌期』

 

借方

貸方

発生主義

前受金600

売上600

現金主義

前受金600

売上600

 

上記ケースで取引発生年度に1年分の売上を計上してしまうと、売上の水増しになり粉飾決算になってしまう。

 

売上の水増しは倒産末期の会社がよく使う粉飾の手口だ。

 

 

粉飾事例その3「循環取引」

 

循環取引とは、主に子会社を使った売上水増しの粉飾取引のことである。

 

循環取引の仕組みは下記の通りだ。

A社

 ↓

A社がP社から P社の商品を1,000円で仕入

B社

 ↓

A社からB社へ P社の商品を1,200円で転売(伝票のみ)

C社

 ↓

B社からC社へ P社の商品を1,400円で転売(伝票のみ)

A社

 ↓

C社からA社へ P社の商品を1,600円で転売(伝票のみ)

Z社

A社からZ社へ P社の商品を2,000円で販売

 

A社の商品は動かず、伝票だけA社→B社→C社→A社と循環して一巡する。

 

A社は最終的にZ社にP社の商品を販売して取引が完了するが、本来であれば1,000円の利益が生み出せるはずが、A社→B社→C社→A社と循環取引を行ったため、然るべき利益▲400円を失っている。

 

一方でB社とC社は商品がないにも関わらず売上が水増しできたほか、+200円×2社の利益を確保することができている。

 

最終的な販売者がB社かC社であれば粉飾取引にはならないが、A社→B社→C社→A社と循環をしたのち、最終販売者がA社になっているので、循環取引が成立し、粉飾取引になる。

 

循環取引は、親会社の利益圧縮、親会社から子会社への利益還流や資金繰り支援の目的で行われることが多い。

 

 

粉飾事例その4「架空取引」

 

架空取引とは、主に子会社を使った売上水増しの粉飾取引である。

 

架空取引の仕組みは下記の通りだ。

A社

B社と月額100万円の業務委託契約を締結した

B社

A社から毎月100万円を受け取るが、業務委託内容の仕事は提供していない

 

B社にとっては売上の水増しにあたり、粉飾取引になる。

 

架空取引は、循環取引同様、親会社の利益圧縮、親会社から子会社への利益還流や資金繰り支援の目的で行われることが多い。

 

ちなみに、架空取引は実態がないので、非常に悪質な粉飾だ。

 

※1 粉飾とは物事の表面や上辺を飾り立てたり、とりつくろうこと。粉飾決算とは、会計用語の一つで、会社が不正な会計処理を行い、内容虚偽の財務諸表を作成すること。収支の偽装、虚偽の決算報告のこと。

 

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