中小企業における減価償却の重要性

減価償却をしない会社は倒産リスクが高い

減価償却をしない会社は倒産リスクが高い

 

減価償却をしない会社は倒産リスクが高い。

 

事実、倒産の危機に瀕した中小企業の調査に入ると、減価償却の管理が杜撰なケースが多い。

 

減価償却とは、資産性の高い設備等を耐用年数に応じて費用化していく制度だが、法人の場合は任意償却ということもあり、減価償却を適正に行っている中小企業は決して多くない。

 

杜撰な減価償却は経営者ひとりの責任とは言えない場合がある。なぜなら、杜撰な減価償却を黙認している税理士の先生が数多くいるからだ。

 

減価償却をしない会社に表れる弊害は様々だが、例えば、会社の損益が不明瞭になる、投資効率の判定が曖昧になる、再投資の内部留保に支障がでる、など等が挙げられる。

 

場合によっては、赤字経営の根本原因を作ることもあり得る。

 

減価償却資産を保有しているにも関わらず、毎月、減価償却を行っていない中小企業は少なくないが、減価償却を適正にしないと、その資産の減価分の費用が損益に反映されないため、正しい損益計算ができなくなってしまう。

 

早速、具体的な事例を参考に、減価償却をしない会社の弊害を解説していこう。

 

例えば、年間200万円のアルバイト1名を解雇して、その作業を800万円の機械で代替したとする。

 

機械の耐用年数を5年とすると、年間の減価償却費は160万円(定額法)となる。

 

売上は1,000万円、アルバイト料以外の経費は600万円とする。

 

機械導入前の損益計算は下表の通りである。

科目

金額

科目

金額

アルバイト料

200万円

売上

1,000万円

その他経費

600万円

 

 

当期利益

200万円

 

 

 

アルバイトを解雇し機械を導入した後の損益計算(減価償却をしない)は下表の通りである。

科目

金額

科目

金額

(減価償却費)

(0円)

売上

1,000万円

その他経費

600万円

 

 

当期利益

400万円

 

 

 

アルバイトを解雇し機械を導入した後の損益計算(減価償却を適正にした)は下表の通りである。

科目

金額

科目

金額

減価償却費

160万円

売上

1,000万円

その他経費

600万円

 

 

当期利益

240万円

 

 

 

減価償却をしないケースは当期利益が400万円で、減価償却を適正にしたケースは当期利益が240万円である。

 

減価償却をした場合としない場合の利益の差は、160万円もある。

 

アルバイトを解雇して機械を導入した後の会社の損益計算として正しいのどちらだろうか?

 

考えるまでもなく、答えは後者である。

 

減価償却を適正に行うと、機械導入前後の損益を正しく比較できるので、費用対効果(※1)の判定を正確に下すことが可能になる。

 

(上記例の場合は機械導入が利益40万円の押し上げ効果に繋がったので、機械導入の判断は正しかったということが証明された)

 

一方、減価償却をしないと、正しい利益が把握できなくなり、合理的な設備投資の効果検証ができなくなる。

 

更に、減価償却費未計上分が利益の過大計上に繋がり、その利益に対して、法人税がかかってしまう。

 

(上記例の場合、160万円×実効税率40%=64万円もの現金が法人税として外に流失してしまう)

 

このように減価償却は、正しい損益計算(投資効率の判定)のために必要なだけでなく、節税効果(投資資金の留保)の側面もあるのだ。

 

つまり、正しい減価償却は、会社の投資効率の判定や投資資金の留保を推進し、会社の成長発展を後押しするのである。

 

なお、減価償却の概要については次の記事でご理解頂きたい。

 

⇒⇒減価償却の基本「分かり易い減価償却の解説」

 

⇒⇒減価償却の応用「減価償却費とは/見方と仕組み」

 

※1 費用対効果とは、投下した資本(費用)に対して利益がどれだけ増加したかを測定すること。投下した資本(費用)よりも利益の増加額が多ければ費用対効果が高いということ。

 

 

減価償却費は現金が残る特殊な費用!

 

減価償却は現金支出が伴なわないので、費用計上しても、現金がなくなるわけではない。

 

従って、上記例の場合であれば、年間160万円の減価償却費分の現金が、償却期間が5年なので、5年間で800万円の現金が会社に残る計算になる。

 

この800万円の使い道を誤ると、会社の倒産リスクが高まることになる。

 

なぜなら、減価償却費で貯蓄した現金(内部留保)が、再投資の原資になるからだ。

 

もし仮に、減価償却費で貯蓄した現金を、経営者の報酬や接待交際費に散財してしまったらどうなるだろうか?

 

当然ながら、ある日突然、耐用年数が過ぎた機械が壊れてしまい投資が必要になったときに十分な現金を用意することができなくなってしまう。

 

このように、減価償却費を適正に行っていても、投資計画を意識して内部留保を積み立てておかないと、せっかく手元に残った現金を、再投資に活かすことができなくなる。

 

減価償却の基本は、適正な減価償却費の計上と、投資計画の作成・運用にあるのだ。

 

➡NEXT「社長が仕事をしない会社は倒産する」へ

 






 


人気記事ランキング


中小企業が衰退する原因は「現状課題の見落とし」に尽きます。逆に会社の現状課題に真剣に向き合っている中小企業は間違いなく成長しています。成長と衰退を分かつ重要ポイントを徹底解説しています。

中小企業の倒産原因である経営課題の見落としは、経営の成功を支える「経営の思考法」でカバーすることができます。中小企業経営者が身につけるべき思考法を事例を交えて徹底解説しています。

会社経営の正しい経営サイクルを理解し定着させている中小企業経営者は少なくありません。経営者がマスターすべき経営サイクルを実例を交えながら分かりやすく徹底解説しています。

⇒人気記事ランキングをもっと見る


トップページに戻る


経営カテゴリ一覧に戻る


経営カテゴリ:会社経営税務節税会計財務法務法律人事組織銀行融資資金繰り売上拡大利益拡大生産性改善経営管理経営戦略投資戦略管理会計財務分析経営診断倒産衰退

 
トップページ 全記事一覧 無料PDF冊子 無料経営講座 無料相談・お問合せ