後継者を育成しない中小企業の末路|後継者育成なくして企業の存続なし

後継者を育成しない中小企業の末路

 

後継者育成をしない中小企業の末路は悲惨だ。

 

なぜなら、会社経営は、社長である経営者がいなければ成り立たないからだ。

 

この記事では、後継者を育成しない中小企業の末路について、詳しく解説する。

 

 

後継者育成なくして企業の存続なし

 

中小企業においては、会社の業績が経営者の能力に比例するので、後継者の存在はとても重要だ。

 

例えば、後継者の経営能力が高ければ会社の寿命は伸びるが、後継者の経営能力が低ければ、いかに好調な会社であっても倒産のリスクが高まり、会社の寿命が短くなる。

 

会社の将来は後継者育成で決まるといっても過言ではなく、これは大企業であっても中小企業であっても同じだ。

 

ちなみに、会社を設立してから50年後の生存率は2%程度と云われている。

 

9割以上の会社が設立から50年以内に消え去る理由は様々だと思うが、後継者育成の失敗で会社が倒産、或いは、閉鎖するケースは珍しくない。

 

経営者もヒトである。

 

当然ながら、永遠の命を持っている経営者など、この世にいない。

 

自分の寿命と会社の将来を意識すれば、誰しもが自然と後継者育成に着手しそうなものだが、なかなか実行できないのが後継者育成の難しいところだ。

 

 

後継者育成はいつから始めれば良いのか?

 

最近は60歳を超えても明朗快活に活躍している経営者も少なくないが、やはり、60歳を超えてから後継者育成を始めたのでは少し遅い気がする。

 

例えば、経営の神さまと謳われた松下幸之助氏は、身体の不調もなく会社の創業期から社長として第一線で活動していたが、ある日、鏡にうつる自分の姿を見て、「自分は、こんな年老いた爺さんだったのか」と愕然として、すぐさま経営の第一線から引いたと云われている。

 

このとき松下幸之助氏は68歳であったが、一瞬で後継者育成の重要性を理解し、すぐさま後継者に社長の座を譲ったのだろう。

 

松下幸之助氏が後継者に社長の座を譲って、完全に現役を引退したのは12年間後の80歳の時である。

 

つまり、後継者に安心して会社経営を任せられるまで10年以上の歳月がかかったということだ。

 

いつまでも社長の座にしがみついていては、後継者育成はできない。

 

自分の寿命なり、引退時期を予め決めて、そこから逆算して後継者育成に取り組むことが、将来安泰の秘訣である。

 

経営者にとって後継者育成は、最後の大仕事だ。

 

そして、後継者育成の出来不出来が、その後の会社の明暗を分かつのだ。

 

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後継者育成を成功させるには

 

経営者の仕事は多岐にわたる。

 

日々の経営判断、経営采配、人材育成、投資判断、組織管理、営業戦略、開発戦略、等々、挙げたらキリがない。

 

経営者は、これら諸々の経営判断を最善に導く必要がある。

 

そのために最低限必要なことは「会社の数字を深く理解する」ということだ。

 

なぜなら、会社の数字が深く理解できていれば、業績悪化に直結する失敗を犯すリスクが低下するからだ。

 

また、数字力は、経営者の立場になる前であっても磨くことができるので、後継者育成の導入部分に最適の教育テーマといってよい。

 

数字力以外の経営能力は、実際に経営者の立場にならないと身につかないことが沢山ある。

 

例えば、経営者の勘や覚悟、経営判断の極意と根拠、人材掌握のコツなど等、挙げたらキリがない。

 

後継者の経営能力をしっかり見極めるためには、後継者に社長の座を譲った後も会長職にとどまり、最低でも3年間(3期分)は、後継者を監督する立場で教育を行う期間が必要だ。

 

万が一、業績悪化の兆候が見られれば外部からプロの経営者を招聘して会社の経営を任せるのもひとつである。

 

後継者育成は一朝一夕ではいかない。

 

後継者育成は最低でも10年はかかると思って事前に手を打たなければならない。然るべき後継者がいなければ、長期的な会社経営は不可能なのだ。

 

伊藤のワンポイント
 

後継者育成は経営者の最後の大仕事です。最低10年はかかると思って、先手先手で教育を進めるのが成功の秘訣です。後継者への教育開始は、気力体力が溢れている50代がベストです。気力体力が落ち目、或いは、業績が落ち目になってからの後継者育成は、失敗リスクが高いので気を付けてください。