経営判断の自信を高める方法|経営者の判断力を上げる秘訣

経営判断の自信を高める方法|経営者の判断力を上げる秘訣


会社経営において、自信のない経営判断ほど怖いものはない。


なぜなら、資本力に乏しい中小企業ほど、経営者のほんの小さな経営判断ミスが原因で会社が衰退するからだ。


この記事では、経営判断の自信を高める方法について、詳しく解説する。



自信のない判断は恐怖を招く


自信のない判断ほど怖いものはない。


例えば、


船舶の運転免許を持っていない船長の客船に乗る乗客はいるだろうか?


パイロットの免許を持っていない機長の飛行機に乗る乗客はいるだろうか?


会社の長は、経営者である”社長”である。


会社の社長免許はないが、経営判断に自信がないと思っている社長の下で働きたいと思う社員はいるだろうか?


社員にとって会社は自分の人生を託す大切な場所だ。恐らく、経営判断に自信がないと思っている社長のもとで働きたいと思う社員はいないだろう。


会社の長として社員に安心感を与えるには、経営判断に自信を持つことが欠かせないが、経営判断の自信を高める方法を誤ると、かえって失敗リスクが高まる。


例えば、昨今は経営判断の自信を高めるためにメンタル強化に走る経営者も多いようだが、果たして、メンタルを鍛えただけで、経営判断に自信が持てるだろうか?


出来ないことを出来ると思い込むことを妄信というが、妄信の経営判断ほど怖いものはない。


なぜなら、妄信には根拠がないからだ。やはり、疑問が残る...。



経営判断の自信を高める効果的方法


経営判断の自信を高める方法は難しくない。


会社経営の基本中の基本である、会社の数字を正しく理解するだけでよい。


会社の数字には事業活動の全ての結果が表れている。良い経営も悪い経営も、会社の数字を見れば一目瞭然で、しかも、言葉は曖昧だが数字は正直だ。


例えば、会社の数字を根拠にした経営判断を繰り返すと、自ずと、経営判断と想定結果の差異が小さくなる。


さらに、会社の数字を長期間モニタリングし続けると、自然と、判断と結果の因果関係が経営者の頭の中に蓄積される。


判断と結果の因果関係の蓄積量が増えるほど、正しい経営判断を支える根拠情報も蓄積され、結果として、経営判断の精度が一段と上がる。


ここまでくると、経営判断の自信が高まるのは時間の問題となる。



経営判断の自信を高める数字の活用法


会社の数字に苦手意識を持つ経営者は少なくないが、会社の数字を正しく理解する方法は難しくない。


毎月の業績確認を習慣化するだけで、数字の理解が深まり、経営判断の自信がどんどん高まる。


財務諸表の読み方をすべて理解する必要はなく、チェックポイントを絞り込んで数字を読み解く訓練を継続するだけで数字の理解度はグッと高まる。


下表は、最低限、毎月チェックすべき項目になる。


貸借対照表

「現金」、「純資産」

損益計算書

「売上」、「売上原価」、「売上総利益」、「販売管理費」、「営業利益」


それぞれのチェック方法は前月比較、前年比較、年計比較、など等、色々あるが、とにかく、経営者の経営判断と会社の数字の関連性を診ることを習慣付けることが大切だ。


業績確認を習慣化すると、最初のうちは財務諸表がよく理解できなくても、


▶「うちの会社は売上に波がある」


▶「今月は経費を削減した効果で利益が上がっている」


▶「今月は新規取引先が増えたので売上が上がっている」


など等、徐々に会社の数字に対する理解力が、感覚的に身についてくる。


さらに、会社の数字を起点とした、Plan(計画)→Do(実行)→Check(数字を見る)→Act(修正・改善)のPDCAサイクルも効果的に回り始める。


自分の経営判断と会社の数字を照らし合わせる習慣が身につくと、経営判断の自信は確実に高まる。



経営判断の自信が育たない思考パターン


当たり前だが、会社の数字を無視した会社経営を続けている限り、経営判断の自信は一向に高まらない。


以下は、経営判断の自信が育たない経営者の典型的な思考パターンになる。


社長:(経営判断を下す)


部下:「社長、どうもあれは効果がないようです。」


社長:「...。」


経営判断→部下の進言→最初に戻る、といった会社の数字を無視した思考では、数字を起点としたPDCAサイクルが回らず、行き当たりバッタリの会社経営に陥る。


これでは、経営判断に自信がつかないのは明白であり、逆に余計な心配事が増えるだけだ。


世阿弥の言葉「強き稽古、物数を尽くせよ」。


最初から才能のある経営者は、そういない。何事も基本に忠実に、経営判断と会社の数字の照合を習慣化することが、経営判断の自信を高める確かな方法である。