ブランド品は誰がどこから見ても、それ相応の客観的評価が備わっているので、ブランド品で身を固めれば、周囲の評価に安心していられるメリットが得られる。
一方で、ブランド志向の度が過ぎると、外面的な評価を気にするあまり、本質的なことを見落とすデメリットが生まれる。
この記事では、ブランド志向のダメな経営者の事例について、詳しく解説する。
ブランド品で身を固めれば、周りからの評価を気にせず安心していられるというメリットがある。
もしも、ブランド志向の人がノンブランド品を身に着けると周囲の評価が気になってしまい不安が付きまとうかも知れない。
一方、ノンブランド品はどうだろうか?
ノンブランド品には客観的評価が備わっていないが、ブランド品よりも安価で品質が同等、もしくは、それ以上のものが往々にある。
ホンモノを見抜く能力がなければ良い品に巡りあうことはできないが、ホンモノを見抜く能力を持っているのであれば、こちらの方が賢い選択といえなくもない。
中小企業の経営者に必要なのは、後者のホンモノを見抜く能力だ。
なぜなら、ビジネスの世界では「ブランド」が虚像であることが往々にしてあるからだ。
大企業の巨大ブランドひとつとっても、嘘で「ホンモノ」を作っているケースはたくさんあり、逆に、無名の中小企業の方が「ホンモノ」を提供しているケースが多い。
例えば、高級時計のロレックス1点を構成する部品の数は約300点といわれている。つまり、1点のブランド品を、ネジや歯車などの約300点もの「無名のホンモノ」が支えているということだ。
昨今の経済は飽和状態に入りつつあり、地球上の資源もいつ枯渇するか分からない。発想の転換的な新サービス(主にIT系)は市場拡大の余地があるが、新たにモノを作れば売れるという時代は既に終わっている。
中小企業のモノづくりに限っていえば、これからの時代に求められるのは、本質に沿ったホンモノの商品作りだ。
ブランドに惑わされないホンモノを見抜く能力は、中小企業経営者の必須スキルといっても過言ではないのだ。
行き過ぎたブランド志向の社長は、ホンモノを見抜く力に欠けているタイプが少なくないが、コツさえ掴めばホンモノを見抜く能力を高めることができる。
例えば、たったひとつの分野だけでもいいので、本質を理解する努力を続けると、自ずとホンモノを見抜く能力が高まる。
具体的には、物事の本質を理解するために物事の成り立ちや歴史的背景、自然の摂理や世間の仕組みなど等をつぶさに観察すると、徐々に物事の本質を見抜く能力が身につく。
よく「一芸を極めた人は同じ境地に辿りつく」、「表現は違うが言っていることは一緒」ということがあるが、ひとつの物事の本質を極めると、どの分野の本質もみえてくるものだ。
会社経営者がブランド志向だと、物事の本質を見落として経営判断を誤ったり、自身の経営判断に自信を持てなくなったり、近視眼的な視野の狭さに陥ったりすることがある。
場合によっては、何を信じていいのか分からなくなるノイローゼ的思考に陥ることもあるので、行き過ぎたブランド志向の弊害は決して小さくない。
大企業のブランド同様、肩書ばかりが立派なコンサルタントが能力のあるコンサルタントとは限らない。
ブランド志向の経営者がコンサルタントや顧問を会社に迎えるとき、肩書ばかりを気にして、肝心のコンサル能力を見抜けない場合がある。
例えば、経営改善能力が低いコンサルタントに報酬のみを吸い取られるという、実に都合の良い関係性はかなり多くの中小企業で見受けられる。
心当たりのある経営者は一度コンサルタントの能力判定を行い、経営改善に貢献していないと判明した場合は、コンサル契約を解約することお薦めする。
また、会社の調度品や什器を高級ブランド品で揃える見栄っ張りなブランド志向の経営者もいるが、普通の会社であれば、そこまでブランド品にこだわる必要はない。
そもそも、取引先や来客者もそこまで気にして見ていないし、行き過ぎたブランド志向で経費を無駄に使うよりも、会社の成長投資にお金を使った方がよほど効果的だ。
「ボロはきてても心は錦」の詩の通り、大切なのは中身である。
経営者のブランド志向や高いプライドは会社経営に役立ちません。むしろ弊害の方が多いです。変なこだわりは捨てて、顧客や社員の幸せのために何をすべきなのか、或いは、ライバルに勝つためには何をすべきなのか等、本質的な視点で物事や情報を整理し、ホンモノに寄り添った言動に徹することの方がよほど大切です。