現実逃避する社長は、ダメ経営者の典型だ。
現実から逃げてばかりいても、現状は何一つ変わらないし、いつまで経っても状況は好転しないからだ。
世界的経営コンサルタントのピーター・F・ドラッカーは「未来を語る前に現実を知らなければならない。人は現実からしかスタートできない。」と語ったが、全くその通りだ。
会社経営であれば、現実を知り、弱みと強みを把握し、弱みを正し、強みを伸ばすことが企業繁栄の原理原則になる。会社の繁栄は、いつも現実から始まるのだ。
とはいえ、すべての現実逃避を否定するつもりはない。現実逃避は、いたって普通の自然現象だからだ。
人は、現実に直面し、そこから不安や不信を感じると、防衛本能が働き、一旦、現実から目を背ける習性がある。現実から逃げる、隠す、誤魔化すなどの言動は典型だ。
現実逃避は、誰しもが経験する自然現象だが、大切なことは、いつかは、その現実を受け入れなければならない、ということだ。
現実から逃げたり、隠し続けたりしても、不安や不信は解消されない。むしろ、不安や不信が大きくなり、現実がさらに壊れる可能性がある。
成功者は、一旦、現実から逃げたとしても、時を経ずして現実を受け入れる。
力量不足、状況悪化、自己責任などの現実を受け入れれば、必ず状況が好転することを知っているからだ。
会社経営も社長業も、嘘や誤魔化しで乗り切れるほど甘くはない。
他人ではなく、自分に責任を帰結させないと、我がこととして現実改善に取り組めないし、現実を正確にキャッチアップすることもできない。
力量が不足していれば、それを補う努力が必要だし、状況が悪化したのなら、すぐに打ち手を用意しなければならない。
当然、その打ち手、あるいは、マインドの切り替えが遅れると、倒産リスクは大きくなる。恐れず、防御せず、自らがコントロールせず、あるがままに現実を受け入れないと、現実は変わらないし、未来は明るくならないのだ。
ある予備校の講師は、新入りの浪人生が学び始める前に、必ず次のようなメッセージを贈るそうだ。
『ここにいる人の中には、なぜ自分が志望校に落ちたのか分からない人もいるでしょう。自分はそんなにバカじゃない、何となくわかっている。そんな甘い考えで、目の前の現実を受入れようともしない。だから落ちたんです。これから一年間、あなた達は徹底的に自分の現実を思い知らされます。できない現実を突き付けられます。それを克服した者だけが志望校に合格すると思いなさい!』
これを聞いた新入りの浪人生たちは、できない現実をしっかり直視しながら勉学に励み、飛躍的に学力を上げるそうだが、これは、会社経営も一緒だ。
現実を直視するほど、業績は好転する。どんなにしんどい状況でも目の前の現実から目をそらさず、追い詰められた時ほど、前向きに、明るい未来を信じて現実を受け入れてほしい。そうすれば、きっと、前に向かう勇気が湧いてくるはずだ。
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