資金繰りとは?|資金繰り改善・ショート原因・銀行融資と借金経営の要点

資金繰りとは?|資金繰り改善・ショート原因・銀行融資と借金経営の要点

 

資金繰りとは、事業活動に関わる現預金の出納管理のことである。

 

会社は現金が無くなると同時に経営が破たんするので、資金繰りは企業の生命線になる。

 

この記事では、資金繰りとは何か、並びに、資金繰りの改善方法、ショート原因、銀行融資と借金経営の要点について、詳しく解説する。

 

 

資金繰りとは?

 

資金繰りとは、事業活動に関わる現預金の出納管理のことである。

 

会社は現金が無くなると同時に経営が破たんするので、資金繰りが企業の盛衰を握っており、資金調達手段が限られる中小企業ほど、重要な経営管理になる。

 

資金繰りは、小さな会社や現金商売ほど分かりやすく、掛け商売や手形商売等の信用取引、或いは、借金借入や返済等の財務取引が増えるほど複雑になる。

 

なぜなら、信用取引や財務取引が増えるほど、利益と現金の動きが一致しなくなるからだ。

 

この利益と現金の動きが一致しないところに資金繰りの難しさがあり、たとえ利益が出ていたとしても、資金繰りを誤ると簡単に会社経営が破たんする。(事実、ある年の半数の倒産企業は黒字倒産だったというデータが残っている)

 

 

資金繰り表とは?

 

資金繰り表とは、事業活動に関わる現預金の出納管理表のことである。

 

資金繰り表は、将来の現預金の収支金額を表管理することで、直近の資金繰り(現預金の収支や残高)を把握するために作成される。

 

資金繰り表の収入(入金)は発行した請求書をベースに、資金繰り表の支出(出金)は受領した請求書をベースに計算すれば簡単に表作成することができる。資金繰り表の収支管理は、主に四つの取引に分かれ、それぞれの解説は以下の通りである。

 

営業収支

資金繰り表の営業収支は、本業の営業取引に該当する現預金の収支のことで、収入(入金)は「売上(売掛金・受取手形等)」、支出(出金)は「売上原価(買掛金・支払手形等)・販売管理費(減価償却以外の経費未払金)」が主な対象になる。

 

経常収支

資金繰り表の経常収支は、本業の営業外取引に該当する現預金の収支のことで、収入(入金)は「受取利息」、支出(出金)は「支払利息」が主な対象になる。

 

財務収支

資金繰り表の財務収支は、金融機関等との財務取引に該当する現預金の収支のことで、収入(入金)は「借入」、支出(出金)は「返済」が主な対象になる

 

その他収支

資金繰り表のその他収支は、一過性経費、設備投資、資産売却等に該当する現預金の収支のことで、収入(入金)は「資産売却益」、支出(出費)は「税金・設備購入費」が主な対象になる。

 

 

資金繰りは運転資金が分かれば改善できる

 

資金繰りは、運転資金が分かれば改善できる。

 

運転資金とは、事業活動に必要な最低資金なので、運転資金以上の現金を生み出せば、資金繰りが良好に改善されるからだ。

 

運転資金は様々な計算方法があるが、簡易的に求めることができ、単純に売上から、現金流出のない「減価償却費と経常利益(内部留保)」を引く方法で計算できる。

 

簡易的な運転資金の計算方法

運転資金=売上-(減価償却費+経常利益)

 

※月商に波がある場合は、過去12か月間の平均月商で計算する(減価償却費、経常利益含む)

 

この運転資金が外部に流出する現預金になるが、この運転資金の3倍以上を絶対目標に掲げて資金繰りの改善を推進すると、資金繰りが良好に改善され、更に、成長投資に回す余剰資金や経営悪化に備えた余剰資金の貯蓄が十分にできるようになる。

 

 

なぜ黒字経営でも資金繰りがショートするのか?

 

なぜ黒字経営でも資金繰りがショートするのか?

 

その答えは簡単で、現金回収の意識が弱いと、売上があろうが、利益があろうが、現金回収のスピードが鈍化し、資金繰りショートのリスクがどんどん高まる。

 

売上を増やすのは当たり前。利益を増やすのも当たり前。大切なのは、売上と利益を速やかに現金に変える意識を強く持つことである。

 

売上の掛け売り(売掛金・受取手形)はスピーディーに回収できているか、利益以上に商品在庫、固定資産、借金返済等が増えていないか、など等、売上と利益を現金として残す意識を強く持つことが資金繰りのショートを防ぐ唯一の方法になる。

 

売って終わり、利益を出して終わりでは、現金が増えることはない。

 

そして、現金回収が杜撰になるほど、資金繰りがショートする可能性が上がり、当然ながら、現金が無くなれば、その瞬間に会社経営は破たんする。

 

 

資金繰りを助ける銀行融資の要点

 

資金繰りを助ける手段として銀行融資がある。

 

銀行融資(借金)の是非は様々な論争を生んでいるが、そもそも、借金は悪い選択ではない。

 

資金効率も投資効率も上がるので、借金ありきの投資が成功すれば加速度的に会社が成長するからだ。

 

例えば、1千万円の利益で成長投資を推進するケースと、1千万円の利益を担保に1億円の融資を引き出して成長投資を推進するケースを比べた場合、成長速度が速いのは後者である。

 

但し、注意も必要だ。

 

借金は人様のお金なので返済義務がある。従って、借金経営の失敗リスクをしっかり認識し、万全を期すことが大切になる。ここが甘くなると、返済苦に陥り、借金経営に失敗する。

 

ちなみに、多少の借金は常に抱えていた方が良い。銀行との取引(融資実績・返済実績)が全く無ければ、新規融資の書類審査や融資手続きに相応の時間がかかるからだ。

 

必要な時に、必要な融資を引き出すには、多少の借金を抱えて、常日頃から返済実績を作っておくことが重要なポイントになる。

 

 

資金繰りを助ける借金経営の正攻法

 

最期に、資金繰りを助ける借金経営の正攻法について解説する。

 

借金経営は、複数銀行から借りるのが正攻法になる。なぜなら、ピンチの時に助かり易いからだ。

 

どういう事かというと…。

 

会社はお金が無くなった瞬間に倒産する。つまり、手元にお金が残っている以上、会社は倒産しない。

 

しかし、借金経営が常態化しており、なお且つ、多額の借金を抱えている場合は、倒産状態に陥る可能性が高まった時点で、借金の強制弁済、或いは、追加融資の停止処分が下り、倒産に追い込まれるケースがある。

 

黒字倒産が最たる例になるが、こうなると、たとえ利益を出していたとしても、資金繰りに窮して、会社はあっさり倒産する。(黒字倒産は中小企業だけでなく上場企業でも起こり得る良くある失敗パターンである)

 

こうした場合、複数銀行から融資を受けることで、借金の強制弁済(貸し剥がし)のリスクを抑えることができる。

 

一つの銀行が貸し剥がし等の強硬姿勢に転じたとしても、取引実績のある他の銀行が助けの手を差し伸べてくれることがあるからだ。

 

従って、借金をする場合は、リスクヘッジのためにも、複数銀行から借りておくのが安心・安全になる。

 

資金のゆとりは、会社経営を円滑に進めるだけでなく、経営者の心のゆとりにも繋がるが、借金には、借りたお金以上に返さなければならないという危険な副作用がある。

 

融資目的、返済計画、借金用途が曖昧だと、借金がきっかけで会社が衰退するので、借金する際は、綿密に検討することをお薦めする。