中小企業にとって経費削減は欠かせない取り組みになる。
なぜなら、中小企業が厳しい経済環境で生き抜くには、大企業や競合他社よりも低コストで、より高い品質の商品やサービスを提供しなければならないからだ。
この記事では、経費削減を成功させる4つの方法について、詳しく解説する。
会社成長の大原則は「売上最大化と経費最小化」を同時に進めるところにあるので、経費削減は中小企業が生き残るため、更には、会社成長のための重要な取組みになる。
また、会社経営は売上以下のコストで運営することで初めて成立するので、経費削減、或いは、経費コントロールは、最重要課題といって過言ではない。
すべての経費が無駄なく売上に貢献していれば問題ないが、現実的にそのような会社はなく、全ての会社に無駄な経費がある。
しかしながら、経費削減は闇雲に行っても期待する効果は上がらないし、逆に、誤った経費削減がきっかけで業績が悪化することもある。
中小企業経営者が経費削減で失敗しないためには正しい過程や方法論を抑える必要があり、特に、経費の分類集計・適正判定・対象選定・リスク検証は外せない。それぞれの経費削減のステップについて、順を追って詳しく解説する。
経費削減ステップ1は「分類集計」だ。
分類集計とは、会社の経費がどのように使われているのかを把握することである。
そもそも、経費とは何かというと、売上を作るために必要なコストのことで、どんな会社にも売上に貢献していない無駄なコストがある。
そうした無駄なコストを発掘するには、どのような経費が、どの程度使われているのかを科目ごとに分解し、集計することが不可欠になる。
経費の分類集計は必ず年計で行う。なぜなら、経費には年に1回程度しか発生しない一過性のものが必ず混入しているからだ。
年間売上に対応する年間経費が集計されると、その会社の売上と経費の関係性が明確になり、経費削減のプランが立てやすくる。
経費削減ステップ2は「適正判定」だ。
適正判定とは、現状の経費水準がどの程度なのかを把握・判定することだ。
経費水準が適正であるにも関わらず、闇雲に経費削減を進めた結果、様々な衰退リスク(売上減少・生産性悪化・品質低下等)を招いては元も子もない。
経費の適正水準は売上総利益高経費率で判定する。計算式は下記の通りである。
売上総利益高経費率=(総経費÷売上総利益)×100
優良80%以下 標準90% 要改善90%以上
売上総利益高経費率が90%以下であれば標準から優良の範囲なので、比較的緩やかな経費削減方針で大丈夫だが、売上総利益高経費率が90%以上の場合は、なるべく速やかに経費削減を進めた方がよい。
売上総利益高経費率が100%を超えている場合は、赤字経営(売上よりも経費が多い)に陥っているという事なので、待ったなしで経費削減を進める必要がある。
経費削減ステップ3は「対象選定」だ。
中小企業の経費削減は、なるべく年計金額の大きい部分を対象に選定するのが効果的だ。
上位コストの水準を、業界内、或いは、ライバル企業よりも抑える事ができれば、競争優位性が飛躍的に高まるからだ。
また、諸会費や保険料、接待交際費等の費用対効果の低い経費も削減対象としておススメだ。
経費削減の方法論として効率改善もお薦めで、例えば、自動消灯、自動ドア、IT活用などの自動化推進、最新の技術やノウハウを取り込んだ業務効率化等は経費削減に有効だ。また、節約や文具の共有化も経費削減効果がある。
なお、商品やサービスの品質を下げる経費削減や社員の安全を損なう経費削減は絶対にやってはいけない。
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経費削減ステップ4は「リスク検証」だ。
リスク検証とは、経費削減を実行した場合、会社経営に及ぼすマイナスリスクを検証することだ。
マイナスリスクの例 : 売上減少、生産性低下、人件費増加、効率悪化、品質低下、サービス低下、安全性低下、労災や事故の増加、など等
このマイナスリスクの検証は経費削減の最重要作業になる。この作業を疎かにすると、経費削減が仇となって会社経営が悪化することがあるからだ。
リスク検証の方法は簡単で、例えば、マイナスリスクが高い場合は、「経費削減を見送る」、或いは、「経費削減の対象選定を再検討」する。
マイナスリスクが低ければ「経費削減を実行」に移す。経費削減後にマイナスリスクが表面化した場合は「元に戻す」といった要領でリスク検証を継続することが、経費削減に失敗しないコツになる。