人件費削減を成功させる4つの方法|中小企業のコスト削減法

会社の人件費削減を成功させる4つの方法

 

中小企業において、人件費が正しくコントロールされている会社は決して多くない。

 

事実、適正な人件費率はどの程度なのか、社員を増員した方が良いのか、はたまた減員した方が良いのか、人件費を削減するにはどのように進めれば良いのか、など等、人件費のコントロールに頭を悩ます中小企業経営者はじつに多い。

 

この記事では、人件費削減を成功させる4つの方法について、詳しく解説する。

 

 

人件費削減の重要性

 

会社成長の大原則は「売上の最大化と経費の最小化」を同時に進めるところにあるので、人件費の削減、或いは、人件費のコントロールほど重要な取り組みはない。

 

また、殆どの中小企業は、会社の経費のなかで人件費が最大のコストを占めているので、人件費の削減やコントロールは、最重要課題といっても過言ではない。

 

すべての人件費が一切のムダやロスがなく売上に貢献していれば人件費削減の余地はないが、実際にそのような会社は存在せず、どんな会社にも無駄な人件費がある。

 

しかしながら、人件費の削減は闇雲に行っても期待する効果は上がらないし、逆に、誤った人件費の削減がきっかけで業績が悪化することもある。

 

しかも、中小企業においては、人員や人財が限られているので、人件費削減の過程や方法論を誤ると、大企業よりも簡単に業績が悪化しやすい。

 

中小企業経営者が人件費削減で失敗しないためには正しい過程や方法論を抑える必要があり、特に、人件費の集計・適正判定・方法論検証・リスク検証は外せない。それぞれの人件費削減のステップについて、順を追って詳しく解説する。

 

 

人件費削減ステップ1「集計」

 

人件費削減ステップ1は「集計」だ。

 

集計とは、人件費削減の出発点として、第一に会社の人件費がどのように使われているのかを把握することだ。

 

人件費の集計は必ず年計で行う。なぜなら、人件費には年に1回程度しか発生しない一過性のもの(ボーナス・退職金・繁忙期・閑散期等)が必ず混入しているからだ。

 

年間売上に対応する年間人件費が分かると、その会社の売上と人件費の関係性が明らかになり、削減プランが立てやすくなる。

 

 

人件費削減ステップ2「適正判定」

 

人件費削減ステップ2は「適正判定」だ。

 

適正判定とは、現状の人件費水準がどの程度なのかを把握・判定することだ。

 

人件費水準が適正であるにも関わらず、闇雲に人件費削減を進めた結果、様々な衰退リスク(売上減少・生産性悪化・人財流出等)を招いては元も子もない。

 

人件費の適正水準は売上総利益高人件費率で判定する。また、人件費率の適正判定をする際は必ず、売上総利益高経費率と売上総利益高営業利益率も求める。それぞれの計算式は下記の通りだ。

 

売上総利益高人件費率=(総人件費÷売上総利益)×100

 

売上総利益高経費率=(総経費÷売上総利益)×100

 

売上総利益高営業利益率=(営業利益÷売上総利益)×100

 

売上総利益高人件費率の適正判定は、次の判定表に照らし合わせて判断する。

 

売上総利益

100

100

100

100

100

人件費

70

60

50

40

30

その他経費

20

30

40

50

60

営業利益

10

10

10

10

10

人件費率

70%

60%

50%

40%

30%

その他経費率

20%

30%

40%

50%

60%

事業構造

労働集約型

中間

資本集約型

 

上表は人件費率の標準ラインを示しているが、まずは、事業構造が労働集約型なのか、資本集約型なのかを判定する。労働集約型の産業(コールセンター等)は人件費率が高く、資本集約型の産業(無人の工場等)は人件費率が低くなる。

 

(詳しい判定方法はこちらの「人件費と人件費率の計算と理想の目安から労働分配率との関係性まで徹底解説」を参考にしてほしい)

 

売上総利益高人件費率が標準以下の場合は、人件費率の水準が高く、人件費削減の余地があるということである。

 

なお、この状態を放置すると、赤字経営への転落、コスト競争力の低下など等、様々な衰退リスクが高まるので、速やかに人件費削減を検討しなければならない。

 

 

人件費削減ステップ3「方法論検証」

 

人件費削減ステップ3は「方法論の検証」だ。

 

中小企業の人件費削減は、リストラ(解雇)ではなく、労働生産性の改善、時短推進、機械化推進など、社員の雇用を守りながら進める削減方法が効果的だ。

 

著しく悪化した赤字経営であれば致し方ないが、リストラ策は赤字事業(赤字ライン)や問題社員に限定した方が得策だ。

 

真面目な社員の雇用を守りつつ、労働生産性の改善、時短推進、機械化推進等の取り組みを定着させると、社員の技能と能力が上がるので、自ずと、働き方の生産性が高まり、結果として人件費が下がる。

 

なお、商品やサービスの品質を下げる人件費削減や社員の安全を損なう人件費削減は絶対にやってはいけないので注意してほしい。

 

【関連記事】社員のリストラは最悪の方法

 

 

人件費削減ステップ4「リスク検証」

 

人件費削減ステップ4は「リスク検証」だ。

 

リスク検証とは、人件費削減を実行した場合、会社経営に及ぼすマイナスリスクを検証することだ。

 

マイナスリスクの例 : 売上減少、生産性低下、人件費増加、効率悪化、品質低下、サービス低下、安全性低下、労災や事故の増加、など等

 

このマイナスリスクの検証は人件費削減の最重要作業になる。この作業を疎かにすると、人件費削減が仇となって会社経営が悪化することがあるからだ。

 

リスク検証の方法は簡単で、例えば、マイナスリスクが高い場合は、「人件費削減を見送る」、或いは、「人件費削減の方法論を再検討」する。

 

マイナスリスクが低ければ「人件費削減を実行」に移す。人件費削減後にマイナスリスクが表面化した場合は「元に戻す」といった要領でリスク検証を継続することが、人件費削減に失敗しないコツになる。

 

伊藤のワンポイント

殆どの会社にとって人件費は最大のコストです。だからこそ、人件費に悩みを抱える経営者が多いのです。人件費を削減するうえで注意すべき点は、自分の会社に合った人件費の適正水準を抑えることです。その基準が曖昧になると、人件費の増減コントロールを上手に行うことができなくなります。

 

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