中小企業の利益改善手法と着眼点|利益ロス排除が利益拡大の正攻法

中小企業の利益改善手法と着眼点|業績を簡単に改善する利益改善法

 

中小企業の業績を上げる効果的な利益改善手法は簡単である。

 

徹底的に利益ロス(喪失)を排除すると、会社の全体利益(業績)が改善される。

 

この記事では、中小企業の利益改善手法、並びに、利益改善の効果を上げる着眼点について、詳しく解説する。

 

 

中小企業の利益改善の基本

 

中小企業の利益改善は、徹底した利益ロス(喪失)の排除が正攻法になる。

 

事業活動の中に潜んでいる利益ロスが排除されると、会社の全体利益(業績)が簡単に改善される。

 

利益ロスは、どんな会社にも存在する。

 

そして、どんなに小さな利益ロスであっても、放置すればするほど大きくなり、それが利益悪化のリスクになる。

 

利益ロスの垂れ流しは、いってみれば、お金の垂れ流しと同じなので、放置し続けるほど利益(お金)がなくなり、最終的には、お金が底をついた瞬間に会社が倒産する。

 

会社の業績悪化を未然に防ぐには、日頃から利益ロスを排除し、利益改善を継続することが不可欠で、この利益ロスの排除スピードが加速するほど、利益改善のスピードも加速する。

 

 

利益改善の効果を上げる着眼点

 

利益ロスの排除に着目した利益改善を推進している中小企業経営者は決して多くない。

 

例えば、利益改善の手段が、利益ロスの排除ではなく、売上拡大という経営者は珍しくない。

 

今なお、売上が増加すれば会社の業績が改善されると信じている経営者は少なくないが、売上は会社の利益を構成するいち要素でしかない。

 

売上を増やしても利益が増えないことは良くあることで、売上増加の一方で、利益が減少するケースは、利益改善の典型的な失敗パターンになる。

 

利益改善は売上拡大よりも利益ロスの排除に着目した方が、改善スピードが格段に上がる。

 

効果的かつ効率的な利益改善を実現するには、利益改善の基準を売上ではなく、利益に置くことが大切なのだ。

 

 

利益改善に不可欠な利益ロスはどこにある?

 

利益改善は、利益ロス(喪失)を発見し、そのロスを徹底的に排除することが欠かせない。

 

そのためには、会社の損益構成のどの領域にロスが潜んでいるのかを理解する必要がある。

 

会社の損益を構成する要素は下表の通りになる。

 

売上

会社の売上

売上原価

売上に連動する原価(仕入・製造原価・外注費等)

売上総利益

売上-売上原価

販売管理費

売上に連動する経費(人件費・変動費・固定費等)

営業利益

売上総利益-販売管理費

 

損益構成の中で利益部分は、売上総利益と営業利益の2つだが、この2つの利益部分を拡大するために行うのが利益改善の目的になる。

 

そして、利益ロスが発生する部分は、それ以外の「売上・売上原価・販売管理費」の3つで、この3つの領域が利益ロスの温床になる。

 

 

利益を改善する利益ロスの解消方法

売上・売上原価・販売管理費の3つの領域に潜んでいる利益ロスを発見し、適宜、排除することができれば、自ずと会社の利益が改善される。

 

会社の利益が改善されると、成長投資の原資が増加し、会社の成長スピードが加速する。つまり、利益改善が会社の事業規模を一層押し上げる。利益ロスを解消する利益改善の具体的方法について、順を追って詳しく解説する。

 

利益改善方法「売上の利益ロス解消」

 

意外なことに、利益ロスは売上の中にも潜んでいる。

 

中小企業にありがちな例が価格設定の失敗である。例えば、商品の付加価値が高いにも関わらず、価値に見合わない低価格で販売している会社が稀にある。或いは、販売消費地が大都市圏にも関わらず、地方水準の低価格で販売している会社もある。仮に適正価格150円の商品を100円で販売すると、▲50円の利益ロスが発生する。

 

また、売上構成比率の下位20%を占める販売先は会社全体の利益に貢献していない可能性が高い。例えば、売上の割に手間が多く利益が少ない取引、或いは、利益が出ない赤字取引などは典型だ。仮に100円の売上に対して150円の経費を費やした取引があると、▲50円の利益ロスが発生する。

 

付加価値と消費地に合わせた価格設定、利益の出ない販売先の取引停止は、何れも利益ロスの排除に繋がる有効な利益改善方法になる。

 

利益改善方法「売上原価の利益ロス解消」

 

売上原価は、利益ロスの宝庫である。

 

売上原価には売上に連動する仕入、製造原価、外注費などが含まれているが、仕入の利益ロスは、仕入先や仕入方法を工夫して仕入単価を下げる、製造原価の利益ロスは、容器等の包材等の材料費を工夫する、歩留まりや廃棄率を改善する、製造効率を工夫するなどの方法がある。

 

そのほかにも、製造商品の組み合わせや人員配置、製造ラインの組み換え等々、労働効率の様々な非効率要因を洗い出し、利益ロスを探る方法もある。

 

また、商品の付加価値を高めるために売上原価が上昇した場合は、必ず、コスト上昇分を売上に価格転嫁することも利益ロスを防ぐ大切なポイントになる。

 

仕入や製造原価の利益ロスの排除、製造ラインの生産性向上などは、何れも利益ロスの排除につながる有効な利益改善方法になる。

 

利益改善方法「販売管理費の利益ロス解消」

 

販売管理費は、売上原価同様、利益ロスの宝庫である。

 

販売管理費には、人件費(ヒト)のほか、水道光熱費等の変動費、家賃等の固定費が含まれているが、経費の利益ロスは、消耗品の調達先を工夫する、印刷物や広告物の発注先を工夫する、必要性の低い固定費を削減するなどの方法がある。

 

また、営業ルートや配送ルートの損益分析、催事やイベントの損益分析等々、個別損益を分析し、利益ロスを探る方法もある。

 

なお、販売管理費は利益ロスの宝庫なので、徹底的に取り組むと、大きな利益改善効果が得られやすい。

 

伊藤のワンポイント
 

利益改善の基本は徹底した利益ロスの排除になります。売上の在り方、経費の使い方、組織の動き方、商品の作り方等々、利益ロスは事業活動のあらゆる領域にあります。会社全体の利益ロスが少なくなると、ライバルよりも優位なコスト構造が確立されて、自ずと利益が最大化されます。