中小企業の経営診断の基本ステップ

中小企業の経営診断|対比と事実認識

中小企業の経営診断|対比と事実認識

 

会社の経営状況を経営診断したいと思っていても、どこから手を付けて良いのか分らない、といった中小企業経営者の方もいらっしゃると思います。

 

中小企業の経営診断能力を磨くには、確かな経営診断の手法と共に基本のステップを理解することが大切です。

 

例えば、会社の売上の状況を経営診断する場合、まず初めに、現状の売上を知る必要があります。

 

いわゆる、「事実認識」です。

 

次に、現状の売上が適正か否かを判断するために、比較を行う必要があります。

 

いわゆる、「対比」です。

 

経営診断は、全て、この2つのステップで行われます。

 

事実認識

 

対比

 

つまり、「事実認識」→「対比」が、経営診断の基本のステップになります。

 

 

中小企業の正しい経営診断手法とは?

 

経営診断の基本のステップを理解した上で、中小企業経営者が正しく経営診断を行うには、抑えるべきポイントがあります。

 

それは、事実認識と対比の「対象データ」です。

 

例えば、事実認識と対比の対象データが経営診断と関連性の低いものであったなら、正しい経営診断結果は導き出されません。

 

経営診断結果が誤っていれば、結果をもとに検討する経営改善策が全て誤った方向に誘導されてしまいます。

 

従って、正しい対象データを元に経営診断(事実認識と対比)を行うことが大切です。

 

 

事実認識の対象データ

 

事実認識の対象データは、年単位であれば確定決算書、月単位であれば月次決算書(月次試算表)を採用します。

 

決算書には、会社の業績が全て集約されています。従って、事実認識の対象として最も信頼できる経営データとなります。

 

例えば、いち社員が今月の売上は〇〇円でしたと口頭で自己申告した数値(売上高)と、月次決算書に記載されている売上高の2つを比較した場合、信頼すべきデータは後者ですよね。

 

事実認識の対象データには、信ぴょう性の高い経営資料を用いることが重要なのです。

 

決算書には、売上高のほか、売上原価、売上総利益、販売管理費、営業利益、営業外費用、営業外収益、経常利益と、会社の経営状況を診断するために必要な経営情報が全て揃っています。

 

 

対比の対象データ

 

対比の対象データは、月単位であれば前月実績もしくは前年同月実績、年単位であれば前年実績を採用します。

 

対比とは別のアプローチで比較する類比という比較方法があります。類比とは、同類、もしくは似ている対象と比較する方法です。例えば、同じ業界、同じ規模の会社等々の平均や実績が採用データとなります。

 

対比は自分を知るための比較、類比は他人を知るための比較ともいえます。

 

会社の成長は、「他人に合わせた経営改善」よりも、「自分を知り、自分を正す経営改善」を徹底した方が成長のスピードが加速します。

 

従って、経営診断を行う際の比較は、類比よりも「対比」の方が重要です。

 

 

正しい経営診断は正しい経営改善の根拠となる

 

正しい事実認識と対比を経て導き出された経営診断結果は、正しい経営改善を行うための根拠として採用することができます。

 

また、経営診断の範囲を広げると、売上成長率、売上総利益高営業利益率、自己資本比率等々、会社の経営改善に有効なあらゆる経営指標の経営診断も行うことができます。

 

但し、経営診断は、会社の状況を知るためのひとつの手段にすぎません。

 

当然ながら、経営診断を会社に取り入れても、業績が改善するわけではありません。

 

よくありがちなパターンですが、経営診断だけで満足してしまい、経営改善に進む足が止まってしまう経営者がいます。

 

これでは、経営診断に費やした時間と労力が全てムダとなってしまいます。

 

経営者の行動が伴わなければ、経営診断の意味はないのです。

 

例えば、わたしが経営指導に入った際に、「会社のこの部分を改善しなければなりません」と指摘すると、「それは分っています」と、堂々と返答する中小企業経営者の方が稀にいます。

 

当然ながら、”分かっているだけでは、分かっていることにはなりません”し、行動が伴わなければ実績は1mmも改善しません。

 

経営問題の重要性を本当に分かっていれば、行動が伴うはずです。行動が伴わずに経営問題が放置されているということは、「理解が不十分」ということです。

 

分かっていないことを分かっていると思い込むことを妄信と言いますが、妄信の経営ほど怖いものはありません。

 

中小企業の安定経営を実現するうえで経営診断は大切な仕事ですが、経営診断結果をもとに導き出した経営改善策を実行に移さない限り、何の意味も成さないのです。

 

経営診断然り、経営改善然り、会社を正しい方向に導くのは経営者の大切な仕事です。

 

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