中小企業の売上倍増計画の作り方
中小企業の売上を倍増させるには、売上倍増の道筋を示す事業計画作りが欠かせない。
なぜなら、売上倍増の道筋を示す事業計画は、明確な目標と行動原理を組織に与え、目標達成の実現度を高めてくれるからだ。
当然ながら、売上倍増計画がなければ、売上倍増を実現することは容易ではない。
計画がない中で売上を倍増させるために闇雲に動いた結果、失敗しか道がないという状況に陥る可能性もある。
例えば、売上倍増を目指して急成長した後に衰退する、多角化がきっかけで衰退する、経営者が交代した途端に衰退する、といった症状は、然るべき売上倍増計画があれば、そうそう起こり得ない。
中小企業は資本力に乏しいので、行き当たりバッタリの経営は必ず失敗する。
売上倍増という明確な目標を達成するには、然るべき事業計画がなければならないのだ。
売上倍増計画は3つのステップに分けて組み立てると実現度の高い計画に仕上がる。
3つのステップのひとつ目は「本業の安定化計画」、ふたつ目が「本業の5ヵ年計画」、そして三つ目が「新規事業の5ヵ年計画」である。
どれか一つでも欠けると売上倍増計画の実現度が著しく低下する。
売上倍増計画を構成する3つのステップについてさらに詳しく解説していきたい。
売上倍増計画作りのポイント
売上倍増計画作り、並びに、計画を構成する3つのステップの主なポイントは下記の通りである。
売上倍増計画ステップ1「本業の安定化計画」
売上を倍増させる原動力になるものは「会社の強み」である。
中小企業に限らず、すべての会社は「コレという強み」がなければ売上を伸ばすことができない。
従って、売上を倍増させるためには、まず第一にすべきことは、会社の強みを磨き上げ、本業を安定成長のステージに引き上げるための安定化計画を作成することである。
会社の強みが市場に根付くと徐々にオンリーワン要素が色濃くなり、競争力が高まると共に、売上が倍増しやすい環境が整ってくる。
資本力が乏しく、経営資源が限られている中小企業の場合、会社の本業が安定しない内から中途半端に他の事業に手を出して売上倍増を狙っても、そうそう成功するのものではない。
何よりも優先して会社の本業を安定化させることが、売上倍増を成功させる秘訣である。
売上倍増計画ステップ2「本業の5ヵ年計画」
会社の本業が安定化したら、本業の5ヵ年事業計画を作成する。
この計画は、「本業の事業規模が5年後に果たして何倍になるのか?」という、本業の限界点を探るために作成するものである。
本業の売上規模を拡大するには、深堀り戦略が最も適している。
なぜなら、本業の深堀りを推し進めると、至らない点が解消されていき、競争力と共に、市場独占度がますます高まっていくからだ。
とはいっても、本業の市場規模には限界がある。
売上を倍増させるには相当の労力と時間がかかるし、本業の売上を5年で倍増させる事も、簡単なことではない。
売上倍増計画ステップ3「新規事業の5ヵ年計画」
本業の5ヵ年計画で、本業の売上規模が5年後に倍増しないことが分れば、あとは、新規事業(或いは新商品・新サービス)を立ち上げて売上倍増を狙うしかない。
新規事業を立ち上げる場合は、既存市場(顧客)と既存ノウハウ(技術・強み)の一方を掛け合わせた「既存×新規」の戦略が最も適している。
例えば、カメラ市場がアナログのフィルムカメラからデジタルカメラに移行した1990年代、日本最大のカメラフィルム製造企業だった富士フィルムは、フィルム製造で培った技術を化粧品分野に転換し、新しい市場(顧客)を切り拓いた。
この事例などは、既存×新規を掛け合わせた新規事業の典型例である。
なお、本業の既存ノウハウ(強み)が強ければ強いほど、新規事業の売上規模が大きくなる傾向にある。つまり、本業の深掘り戦略の計画精度が新規事業の成功を決定づけるのだ。
なお、新規×新規の新規事業は、両方、素人分野なので、失敗の確率が100%近くになる。
売上倍増どころか、衰退あるのみといった状況に陥る可能性が高いので、決して手を出してはならない。


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