中小企業の社員教育を成功させる方法|社員教育は社長の仕事

中小企業の社員教育を成功させる方法

 

組織力と業績は比例関係にあるので、社員教育ほど重要な取組みはない。

 

事実、業績が好調な中小企業ほど、社員教育の仕組みが充実かつ定着している。

 

この記事では、中小企業の社員教育を成功させる方法について、詳しく解説する。

 

 

なぜ中小企業経営者は社員教育に悩むのか?

 

社員教育に頭を悩ます中小企業経営者は少なくない。

 

例えば、

 

「どうしてうちの社員はレベルが低いんだろうか?」

 

「普通はこれくらい教えなくても出来るだろう?」

 

「普通は、これくらいは気が付くだろう?」

 

と、自分の会社の社員のレベルの低さに思わず嘆く経営者は珍しくない。

 

普通の20歳代や30歳代だったら...或いは普通の40歳代だったら...極めつけは普通の50歳代や60歳代だったら...

 

このような不満を持つ経営者が比較対象として思い描く社員像は普段何気なく接している大手企業で働く社員が多い。

 

例えば、大手や地銀の銀行員、大手や高級自動車のディーラー販売員、大手保険会社の外交員などだ。

 

じつは、大手企業と中小企業の社員教育環境は、天と地ほどの差がある。

 

大手企業の社員は「後輩・同期・先輩・上司・人事部」の5つの教育者に常に囲まれた教育環境で働くことになる。

 

後輩と同期に対しては対抗心が働くので、知的好奇心と向上心が育まれる。

 

先輩と上司からは社会常識や業界慣例、TPOや礼儀作法に至るまで、社会人としての常識を細かく教育される。

 

専門の教育機関である人事部からは基本のマナーから時世に応じた専門研修が随時提供されるので、ビジネススキルが育まれる。

 

このように、大手企業の若手社員は「後輩・同期・先輩・上司・人事部」の5つの教育者に囲まれた環境で社員教育を受けるので、会社に数年も在籍すれば、知らず知らずの内に、あか抜けたビジネスパーソンに仕上がる。

 

 

中小企業の社員教育環境は大企業に及ばない

 

わたし自身も上場企業に約10年間勤めていたので、例外なく大企業の社員教育の恩恵に預かった。

 

例えば、後輩や同期への対抗心を糧に飽くなき向上心を持って出世競争に挑み、先輩からは、言葉遣いからビールの注ぎ方まで一挙手一投足に至るまで叱責され、上司からは、接待ゴルフ等の機会にTPOや礼儀作法をみっちり教え込まれた。

 

さらに、人事部が提供する専門スキル研修を数多く受講したので、ビジネススキルもしっかり磨くことができた。

 

片田舎の農村出身の私ですら在籍期間わずか10年足らずでそれなりの社会常識が身についたことを考えると大手企業の社員教育環境はなかなかのものだ。

 

一方、中小企業はどうだろうか?

 

教育機関である人事部は当然なく、アルバイトやパートさんを除いた正社員だけで考えると、後輩は一人かふたり、同期はいない、先輩は年の離れた50代、60代という組織構造も珍しくないのではないだろうか?

 

なかには、教育者が経営者ひとりという中小企業もあるだろう。

 

このように、教育者が極端に少ないなかで、社員が自力で成長するには限界がある。

 

普通に考えても中小企業の社員教育環境では大手企業並みの人材が育たないであろうことは容易に想像がつくだろう。

 

つまり、新人時代から中小企業で働く社員に対して、大手企業並みの社員レベルを求めるのは酷な話なのだ。

 

 

中小企業の社員教育は社長の仕事!!

 

中小企業の社員教育社長の仕事になる。

 

そして、中小企業の社員教育を成功させるうえで欠かせないポイントは、社長が抱いている「普通の概念を壊す」ことだ。

 

これが普通という目で社員を見ている限り、上手な社員教育はできない。

 

「出来ないのが普通」と考え、社長自身が社員の不足に気付いたその瞬間瞬間に教育していく意識なくして、中小企業の社員教育は成功しない。

 

また、小さな会社ほど社長自身が社員教育に積極的に関与しない限り、成功はあり得ない。

 

若手社員には、良い教育者である後輩も同期も先輩もろくにいないのだから、当然と言えば当然である。

 

また、一回言って分かる人間など、そうそういない。

 

同じことであっても、その瞬間その瞬間、初めてのような気持ちで、腹を立てずに繰り返し教え込む優しさが社員教育を成功させる秘訣でもある。

 

中小企業の社員を”人財”に育て上げるうえで社長に必要なのは「諦めの悪さ」で、経営者の諦めの悪さなくして、中小企業の社員教育を成功させることは困難といっても過言ではない。

 

 

社員教育の肝「作業と仕事の違いとは?」

 

中小企業によくある光景だが、仕事を教えず作業を教えている社長がいる。

 

手順や動作といった作業を覚えることは大切だが、何のための作業なのかを教えなければ仕事を教えたことにはならない。

 

作業と仕事は違う。

 

本当の意味での仕事を体得しなければ、自主性と責任感、そして、自らの考えで行動し、様々な問題を乗りこえる応用力は身につかない。

 

当然ながら、作業を覚えているだけでは本人が成長することもなく、せっかくの人材が会社に貢献することもない。

 

仕事の本質を教え込むことも、中小企業の社員教育を成功させる秘訣になる。

 

伊藤のワンポイント
 

社員や組織の問題に頭を抱えている中小企業経営者は実に多いです。業績の良し悪しや業種業態関係なく、本当に沢山の経営者が悩んでいます。「企業は人なり」と云いますが、こうした人の悩みを解消しない限り、企業の成長は見えてきません。そのために必要なことは、社長のコミュニケーション能力を磨くことです。