効果的なコスト削減/経費削減の方法|低コスト体質が競争優位性を高める

効果的なコスト削減/経費削減の方法

 

コスト削減(経費削減)は、会社の事業価値を高める必須活動になる。

 

なぜなら、同じ商品を競合他社よりも低コストで提供できれば、市場競争を優位に展開することができるからだ。

 

この記事では、中小企業に適したコスト削減(経費削減)の方法を詳しく解説する。

 

 

コスト削減/経費削減は最重要課題

 

コスト削減(経費削減)は、会社の事業価値を高める必須活動だ。

 

事業価値が高まれば、結果として市場での優位性も高まり、会社の競争力はますます強化される。

 

会社の事業価値、いわゆる、利益の大きさは、売上の最大化と経費の最小化の掛け算で拡大するので、コスト削減(経費削減)は会社経営に一生ついて回る、最重要課題といっても過言ではない。

 

また、資本力に乏しい中小企業にとって、低コスト体質は成長に不可欠な条件になる。

 

会社が低コスト体質であれば、営業力、販売力、機動力、開発力、など等、すべての経営活動の収益力が高まり、成長スピードが加速するからだ。

 

低コスト体質を構築するには、持続的なコスト削減が欠かせないが、コスト削減に頭を悩ます中小企業経営者は少なくない。

 

事実、コスト削減は、中小企業庁に寄せられるお悩みトップ3に入るほど多くの経営者が悩んでいる課題だ。

 

わたし自身も、コスト削減に取り組もうにも「どこから手をつけて良いのか分からない」、「経費削減の効果が出ているのか分からない」など等、コスト削減の方法に悩みを抱える経営者を数多に見てきた。

 

コスト削減を成功させるには、基本ステップをしっかり理解し、実践することが大切になる。

 

 

コスト削減/経費削減の第一歩

 

売上を作るために必要な経費のことをコストという。

 

全てのコストが無駄なく売上に貢献していればコスト削減の余地はないが、そのような状況の会社は現実的には殆どなく、どんな会社にも無駄なコストが存在する。

 

とはいっても、コスト削減は闇雲に進めても正しい効果は出ず、場合によっては、会社衰退のきっかけを作りかねない。

 

例えば、コストを削減した途端に品質やサービスが劣化した、コストを削減した途端に売上が減少し始めた、など等の状況を誘発してしまっては元も子もない。

 

正しいコスト削減を進めるうえでの必須条件は「現状把握」にある。

 

つまり、売上に対してどのような経費がどの程度使われているのかなど等、コストを集計することが、コスト削減の第一歩になる。

 

コストの集計は必ず年単位で行う。なぜなら、コストの中には1年の内にひと月しか発生しない一過性の経費が混入しているからだ。

 

(ちなみに、経営分析をする場合、単月比較や単月集計は殆ど役に立たないので、この年計の集計手法は是非覚えてほしい)

 

年計の売上、つまり、年商に対して、科目ごとにコスト金額が正確に集計されると、その会社の売上と経費の実態(関係性)が明らかになる。

 

 

コスト削減/経費削減のターゲット

 

経費の集計が終えたら、次のステップへ移行する。

 

まずは、経費の金額を降順(金額の大きいものから小さいものへ並べる)に並べ替え、上位トップ5の経費をコスト削減のターゲットに選定する。

 

殆どの会社はトップ1が人件費になり、トップ2からトップ5までは会社や業界の特性によって変わってくる。

 

売上に対するコスト構成比率が大きな経費は、売上への貢献度が大きい反面、コスト削減の効果が大きいメリットがある。

 

また、この部分のコストを抑えられれば、その業界内での市場競争を優位に進めることができる。

 

この他にも、一般的に費用対効果が低い、保険料、諸会費、地代家賃等の固定費なども、お薦めのターゲットになる。

 

なお、将来の効果が見込まれている意図的な先行投資費用などは、コスト削減のターゲットから外す。

 

 

コスト削減/経費削減のマイナスリスク検証

 

コスト削減のターゲットが決まったら、後は、コスト削減方法の検討、並びに、コスト削減方法のマイナスリスクを徹底的に検証する。

 

マイナスリスクとは、そのコスト削減策を実行することによって生じる経営悪化要因のことだ。

 

例えば、売上が下がる、顧客が離れる、顧客や取引先の不満が高まる、など等の経営悪化要因である。

 

マイナスリスクの検証を疎かにすると、経営改善のためのコスト削減が、経営悪化のきっかけを作りかねない。

 

従って、マイナスリスクの検証は慎重を期して緻密に行わなければならない。

 

▶マイナスリスクが低い場合は「コスト削減を実行」

 

▶マイナスリスクが高い場合は「コスト削減を見送り」

 

▶コスト削減後に想定以上のマイナスリスクが表面化した場合は「元に戻す」

 

といったマイナスリスクの検証を繰り返しながらコスト削減に取り組むと、経営悪化のリスクを抑えながらコスト削減の効果を上げることができる。

 

 

コスト削減/経費削減の効果測定に使える経営指標

 

コスト削減の効果測定は「売上総利益高経費率」を用いる。

 

計算式は下記の通りで、売上総利益高経費率の優良ラインは80%以下になる。

 

売上総利益高経費率=(経費÷売上総利益高)×100

 

コスト削減と共に売上総利益高経費率をモニタリングすると、削減効果をリアルタイムで把握することができる。

 

経費水準のモニタリングは、コスト削減の効果が実感できるばかりではなく、コスト上昇の早期発見も可能になるので、運用を定着させることが大切になる。

 

 

コスト削減/経費削減のまとめ

 

コスト削減活動は、企業が生存するうえで欠かせない活動である。

 

しかし、闇雲なコスト削減は、企業の寿命を縮める結果を招くこともあり得る。

 

コスト削減に失敗しないためには、この記事で解説した成功のプロセスを理解し、綿密な計画のもと、慎重に進めることが大切になる。

 

特に、コスト削減の基本プロセスであるマイナスリスクの検証作業は決して疎かにしてはならない。

 

伊藤のワンポイント
 

コストを制する者が競争を制する。コスト削減は、それほどに重要ですが、方法を誤ると衰退のきっかけを作ります。また、金額ベースのコスト削減は限界点がありますので、生産性改善をベースとしたコスト削減を推進することも大切です。ムダとムラは常に生まれ続けますから、コスト削減の芽は常にあると思ってください。