中小企業の経営診断/秘訣と効果
中小企業が定期的に経営診断を行うと、会社衰退のリスクがどんどん低下する。
なぜなら、経営診断を行うと、会社経営の問題点と現状と目標の乖離が明らかになるからである。
会社衰退の最大の原因は「経営課題の見落とし」にあるので、経営診断の効果は極めて大きいといえる。
また、現状と目標の乖離が明らかになると、やるべきことが明確になるので、経営診断をするかしないかで、会社の成長スピードが大きく変わってしまう。
中小企業が経営診断を有効活用するには基本効果と、経営診断効果を最大化する秘訣を理解することが欠かせない。
なぜなら、経営診断の本来の目的と効果の理解が不十分だと、経営診断の効果を十分に活かせないからだ。
早速、中小企業経営者が理解すべき、経営診断の3つの基本効果と、経営診断の効果を最大化する3つの秘訣を紹介したい。
経営診断の3つの基本効果とは?
中小企業の経営診断の本来の目的は、次に解説する3つの効果を理解すると見えてくる。
それは、「正常値が見つかる」、「異常値が見つかる」、「強みと弱みが見つかる」の3つの効果である。
それぞれの経営診断効果の詳細解説は、下記の通りである。
経営診断の効果「正常値が見つかる」
中小企業の経営を取り巻く環境は十人十色である。
従って、経費バランスや利益水準等々、様々な経営指標の正常値は、会社によってまちまちになる。
経営診断を行うと、その会社に適した様々な経営指標の正常値を見つけることができる。
正常値は、会社のあるべき姿の標準値でもある。
従って、正常値が明確になると、正しい数値目標が定まり、効率的に経営改善を進めることができる。
結果として、会社の成長スピードは一層加速する。
経営診断の効果「異常値が見つかる」
経営診断を行うことで経営指標の正常値が見つかるということは、裏を返せば、異常値が見つかるということでもある。
人間の身体も健康診断や人間ドックを通じて正常/異常の判定を行うが、会社も同じである。
違うのは、正常値の範囲設定が会社によって違うことぐらいである。
当然ながら、経営診断の結果が異常だった場合は、異常の深刻度をしっかり検証して、正常化の対策を真剣に考えないと、病状は悪化するばかりとなる。
病状の悪化を食い止めることができなければ、待ち受けるのは死、いわゆる経営破綻である。
経営診断の効果「強みと弱みが見つかる」
経営診断に用いる経営資料は財務諸表ばかりではない。
顧客毎の収益データ、社員の労働データ、市場動向等の会社経営に関わる全てのデータが経営診断の対象データになる。
さまざまな角度から経営診断を行い、会社全体から経営細部に至るまで、正常/異常の判定ができると、会社の強みと弱みが見えてくる。
会社の強みと弱みが明確になると、自ずと、経営方針や経営戦略も明確になる。
会社成長の原動力は、会社の強みである。
経営診断で発掘した会社の強みを強化する、或いは、会社の弱味を解消する、といった経営改善を推進すると、会社の成長スピードは自ずと加速する。
経営診断の効果を最大化する3つの秘訣とは?
経営診断の効果を最大化する秘訣は、次の3つである。
それは、「継続する」、「変化を見つける」、「行動する」の3つの秘訣である。
それぞれの経営診断効果を最大化する秘訣の詳細解説は、下記の通りである。
経営診断の秘訣「継続する」
経営診断は年に1回では効果がない。
最低でも月次決算のたびに、毎月行わないと経営診断の効果がでない。
なぜなら、経営診断の正常/異常の判定基準は、自社の業績状況、或いは、周囲の経営環境や時間の経過と共に変化していくからだ。
入ってくる情報(インプット)が変われば、導き出される答え(アウトプット)が変わるのは当然である。
例えば、たった1回の経営診断で、全ての経営方針や経営戦略を決めてしまい、盲目的に会社を経営していては、失敗するのは時間の問題となる。(場合によっては、失敗しか道がないといった状況に陥ることもある)
継続性を持って経営診断を続けることが、経営診断効果を最大化する秘訣である。
経営診断の秘訣「変化を見つける」
経営診断で会社の数字をモニタリングしていると、些細な数字の変化に気が付くことができる。
変化には、良い変化もあれば悪い変化もあるが、何れにしろ変化を先取りすることができれば、安定した会社経営を実現しやすくなる。
例えば、良い変化を先取りすることができれば、自信を持って成長スピードを加速するためのアクセルを踏み込むことができる。
逆に、悪い変化を先取りすることができれば、積極経営にブレーキをかけて、堅実経営にシフトすることができる。
また、経営診断の正常/異常の判定基準は、自社の業績状況、或いは、周囲の経営環境や時間の経過と共に変化する。
小さな変化に気が付くことができれば、経営診断の正常/異常の判定基準を常に最適化することができる。
会社経営は紙一重の連続である。
小さな変化を見落とした結果、会社が衰退することは、良くあることである。
経営診断の秘訣「行動する」
経営診断を行ったことに満足してしまい、実際の行動が伴なわなければ意味がない。
未来を変えるのは、行動のみである。
そして、経営診断の結果を具体的行動に落とし込むのは経営者の仕事である。
中小企業において、経営者が行動しなければ、会社の未来は一ミリも変わることはない。


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